2015年06月08日

第69回トニー賞授賞式

 トニー賞といえばブロードウェイで公演された舞台演劇に贈られる賞、ということは演劇好きにとっては日本でも常識であるが、まぁ、アカデミー賞ほどの知名度がないのは事実。 しかしそれを去年からWOWOWが生中継を開始したことで、演劇ファン人口が増えたということか? ブロードウェイミュージカルなどを日本に輸入してこようという下地か?、などといろいろ勘繰っておりましたが、まぁ容易くニューヨークに行って観劇できる人はいいですが、そうではないあたしのような人間にとって<本場の最前線>の情報に触れられるのはとても貴重。
 おまけに今年は渡辺謙がノミネートされているので、あまり興味のない人にもアピールできる絶好のチャンス!
 というわけで、這いずりながら起き(8時には間に合わなかったのでレッドカーペットの模様はほとんど見られなかったが)、授賞式を全部見た。
 昨年のヒュー・ジャックマン司会の演出に比べると、今年はなんだか雰囲気が緩め(司会がトニー賞常連のアラン・カミング&クリスティン・チェノウェスだったからであろうか)。 全体的にアットホームな雰囲気でありました。
 つくづく思うのは・・・ミュージカルってアメリカのものなんだなぁ、ということ。 国民性にあった娯楽、とでもいいましょうか。 だからストレートプレイ(普通の台詞中心の演劇)はイギリス勢のほうが強いし、名作が多い気がする。
 まぁ、ステージでワンシーンを披露しろ、となればミュージカルのほうが絵になるし、華があるから、授賞式もミュージカル部門が花形といった趣だし。

  王様と私舞台.jpg そんなわけで、『王様と私』から“Shall we dance?”が披露された。
 ユル・ブリナー版の映画はテレビのロードショーで見たことありますが・・・謙さんの王様はそれよりももっと軽やかで、威厳もしっかりあるけどユーモアもある、という印象。 まったく新しい『王様と私』をつくり上げたことがプロデューサー・演出家含めてトータルで評価された理由でしょうか。
 ミュージカルはあまり得意ではないあたしですが、今回、いろいろと賞を獲った『ファン・ホーム』は観てみたいかも。 いかにもミュージカル、という演出ではなくて、半分くらいストレートプレイ、登場人物たちが心情を託すのが歌、という感じなので(おまけに12歳子役少女の歌が胸に刺さった)、これはあたしも楽しめそうです。
 授賞理由として「まったく新しいミュージカルのスタイルで」みたいなことを言われていたので、やはりアメリカではこういうパターンのミュージカルは珍しいのでしょう(日本で言うところの『オケピ!』方式ですね)。
 授賞式のクロージングでは『ジャージー・ボーイズ』のエンディングをみんなで歌う、という楽しさ。 やはりちょっと知っているだけで、楽しめる要素は沢山。
 そういえば最近映画であまり見てないなぁ、と思ったピーター・ギャラガーがいたり、あぁ、この人よく見るんだけど名前知らないなぁ、という人がいっぱいいたり、活動の基盤をどちらに置くかの違いだけなんですよね(まぁそれは日本でもそうなんですけど、アメリカの場合は規模が違うから)。
 しかしブロードウェイ、基本は一週間で8公演。 評判がよければいつまでもロングランされてしまいます・・・謙さんが映画に戻ってこられるのはいつなのか?!

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2014年12月20日

だまし絵U@兵庫県立美術館

 そして行ってまいりました、『だまし絵U』であります。
 2009年開催の『だまし絵』には行ったんだっけ? 確か行ったよな、ポストカード買ってるし、と微妙にうろ覚えではありますが、好みの絵が結構多かった記憶はあります。 なのでわりと期待して!

  だまし絵アルチンボルト3.jpg ポスターに使うのはやはりアルチンボルトなのね。

 まず最初の部屋は、16〜17世紀の、いわゆる古典的なだまし絵が並ぶ。 あたし、こういうのがすごく好きですよ! ヘイスブレヒツの“トロンプルイユ 理髪師の道具のあるレターラック”が最高! しばしその絵の前にたたずんでニヤニヤする(しかし、そういうやつに限ってポストカードが売っていないってどういうわけなの・・・)。

  だまし絵ピアーソン2.jpg まぁ、近い雰囲気であるピアーソン
   “鷹狩道具のある壁龕”の画像とポストカードはあります。 こっちの方が一般的な評価は高いのだな・・・。
 しかしその部屋を抜けると現代アートの香りが強くなり・・・勿論、トリックアートも好きなのですが、つい絵画のほうを期待していたので微妙にがっかり感が。
 でも、これにはちょっと感動しました。

  だまし絵ケイガン2.jpg ラリー・ケイガン“トカゲ” 2008年
 壁にぐるぐる巻きにされた鋼のワイヤーが張り付けてあるだけ、と思いきや、ある方向から光を差し込むとトカゲの姿が現れる・・・実際の展示では4方向ぐらいから順番に光が当てられていて、うち3つはなんだかわからない影しかできないんだけど、突然それがトカゲの形をとる・・・という衝撃。 他にも同様な作品で蚊も現れましたけど、トカゲのほうが好き。これでカエルやペンギンもつくってほしいなぁ(あるのかもしれないけれど、展示されてはいないので)。
 後半の方になると「あれ、このへん、前の『だまし絵』のときもなかったっけ?」というような見覚えのある作品が。 まぁ、マグリットやエッシャーはいつ見てもうれしいからいいんですけど。 そしてマグリットの“白紙委任状”は何回か見ているんだけど、見るたびに「あれ、こんな小さい絵だったっけ?」と思ってしまいます(『パタリロ!』のエピソード『白紙委任の森』のせいかもしれません)。
 そんなわけで、意外な驚きもありつつ、でも若干期待しすぎたかも・・・という感想。

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2014年06月09日

第68回トニー賞授賞式



 実は、仕事が決まった瞬間つい思ったのは「しまった、トニー賞授賞式の生中継が



見られない!」ということであった。



 なので仕方ないから録画して、まっすぐ帰って見るのであった。



 今回、トニー賞の授賞式をWOWOWが中継するのは初めて。 だから井上芳雄を



オフィシャルサポーターとしてかなりの宣伝活動。 案内役は宮本亜門&八嶋智人、



解説に影山雄成(NY在住で、ブロードウェイの全部の舞台を見て日本に批評を送って



いる人)、ゲストは『アナ雪』の吹替担当神田沙也加と、トニー賞を知らない人にも、



ミュージカルファンにもアピールする王道編成。



 でも、ミュージカル寄りなんだよな・・・とストレートプレイ好きなあたしはちょっとさみしい。



 それにしても司会はヒュー・ジャックマン。 アカデミー賞の司会のときも歌って踊って



いたが、彼にはトニー賞の司会のほうがやたら楽しそう。 すっごく体力あるしパワフル



だなぁ(身体能力、高い)。



 この年に話題になったミュージカルのワンシーンをつなげて構成するような授賞式の



パフォーマンスのレベルの高さはさすが。 そりゃ、ブロードウェイといえばミュージカルが



花形だし、ちょっとのシーンだけで盛り上がれるもの、そこはストレートプレイは負ける。



しかし演劇部門でノミネートされた方々も、ミュージカル部門の方々と区別なくリスペクト



されていて、よかったなぁ、と思った(いや、当たり前なんですけどね)。



 『キャバレー』のパフォーマンスでアラン・カミングも出てきた! でもキュートさでは



『チョコレートドーナツ』のほうが上だったな・・・(何を寂しがっているのか、あたしは)。



 受賞者の発表は結構あっさり行われ、でもプレゼンターはすごく豪華だし(クリント・



イーストウッドはオープニングで通行人やってたし!)、全体的にみんなで楽しみましょう、



というお祭り感がすごくアットホーム。 アカデミー賞は格式高いけれど権威ばったもの



なんだな・・・としみじみ。 そりゃ、トニー賞の司会のほうが楽しいよね!



 しかし、仕事の疲れのせいか後半ちょっと寝てしまったよ・・・今度やる字幕版をまた



見るか〜。


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2014年03月29日

おそるべき親たち@シアター・ドラマシティ

 お久し振りの演劇鑑賞。 登場人物が5人、うちひとりが麻実れいと知り、できれば見たいなぁ・・・とだいぶ前から予定を組んだ。 しかもとったチケットは中央の2列目という素晴らしいポジション。 3月の末、これがあたしの春休み!
 ジャン・コクトーといえば『恐るべき子供たち』のイメージが強いのですが・・・その大人版も書いていたとは知らなかった。

  おそるべき親たちP2.jpg “LES PARENTS TERRIBLES” by Jean COCTEAU

 物語の中心はある家庭。 <ジプシーの家>と自ら揶揄する片付けの苦手な妻イヴォンヌ(麻実れい)と夫のジョルジュ(中嶋しゅう)。 イヴォンヌの姉・レオ(佐藤オリエ)は片付け上手のしっかり者で、おじの遺産の管理を任されつつ妹夫妻と同居して世話をしている。
 実はジョルジュははじめレオと婚約していたのだが、心変わりしたジョルジュはイヴォンヌと結婚した、という過去がある。 夫妻の一人息子ミシェル(満島真之介)をイヴォンヌは溺愛しており、ミシェルの初めての無断外泊により心配で何も手につかない、という状況から舞台はスタートする。 実はミシェルは恋人マドレーヌ(中嶋朋子)の家に泊まったのだが、のちのち、マドレーヌはジョルジュの愛人だということが分かる。
 そんなドロドロ設定が、途中から爆笑の渦をもたらす心地よさ。
 黒い舞台装置、黒い衣装でイヴォンヌ・レオ・ジョルジュが登場したときは「大丈夫?」と思ったのだが、舞台上にある蝋燭が話の進行に応じて灯り、照明で陰影をつけることで輪郭が際立つ。 その中で、全身白を着たミシェルの登場で一気に物語も感情も動くわかりやすさ。
 登場人物の関係性は全部台詞からわかるのだが、説明台詞になっていないのはやはり役者の力量のよるものだろう。 ま、シェイクスピアほど多くはないので、観客も難しいと身構える必要もない。
 人間のうちに潜むいくつもの仮面の正体。 本人たちにとっては必死なことでも他人から見れば滑稽でばかばかしい。 けれどそんな要素は多かれ少なかれ自分の中にもある・・・という戦慄は、ラストシーンで明かされる実にコクトーらしい“退廃”をより明確に浮かび上がらせる。 結果的に「ぞーっ」としたわけです。
 あぁ、ものすごく演劇らしい演劇を見た。
 麻実れいはやはりゴージャス。 スタイルがよい上に細くて長い手足にも長丁場の舞台に十分耐えられるだけの筋肉が張りつめているのがわかり、なんだかどきどき(こういうのが前列で演劇を見る特権!)。
 このメンバーの中では満島真之介がいちばん若くてキャリアも短いけど、バカすれすれの純真さを持つミシェル(勿論、その純真さもまた歪んでいたのだとあとからわかりますが)をとてもキュートに演じていて、「姉弟でこんなに芝居がうまいってなんなの!」とあとからえむさんと語り合ってしまうほど。 逆に、この経験が絶対彼の財産になる、ブレイク過程の若手を見るヨロコビだよ!、とも盛り上がれるわけですが。
 そんなわけで、ジャン・コクトーもまた追いかけ直してみたいなぁ、と思ってしまった。

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2013年01月06日

シャルダン展−静寂の巨匠@三菱一号館美術館



 東京駅丸の内南口側から徒歩で約5分、実際は美術館の入口がよくわからずに



周囲をぐるぐるし、やっと発見。 外見はレトロなレンガの洋風建築なれど、中は



最先端のセキュリティセンサーと空調を備えた小さな美術館でした。



   優しい沈黙に、つつまれる。



 一枚目の<ビリヤードの勝負>から度肝を抜かれる。 あまりに素晴らしい保存状態。



シャルダンは18世紀と記憶していたが間違っていたか?、と思うくらいの絵の表面の



つややかさ。 絵画の修復技術のレベルがすごく上がってる?、というのはエル・グレコの



ときも感じたんだけど、それとも外部の展覧会に出す前にはお化粧直しをするのかしら?



 ともかくも、ジャン・シメオン・シャルダン(1699〜1779)はフランスを代表する静物画・



風俗画の巨匠だそうである。 しかし彼の作品は世界中の美術館や個人コレクターまで



幅広く散らばっているので、彼の作品だけを集めての回顧展というのは難しいらしく、この



シャルダン展は日本で初めてのシャルダン個展。 次はいつあるのか、そもそも次がある



のかわからない、と言われてしまっては見に行くしかないでしょう、みたいな。



 今回の東京日帰り旅の目玉がこれでした。 静物画、好きです。



 そしてこの時代の静物画として欠かせない素材が現れて、ニヤリ。



   <死んだ野兎と獲物袋>



 他の画家は鴨とか鳥系が多いんですが・・・うさぎとは大胆な。



 水差しやら鍋やら、台所用品が続きますが、残念ながらシャルダンの描く肉の切り身



(腿肉や骨付き肉など)がどうもおいしそうに見えない。 鍋やらグラスは素晴らしいのに。



肉は描くのが難しいのか、それともシャルダン側に肉をあまり描きたくない気持ちがあった



のか、どうなんだろう、と考える。



   <銅の大鍋と乳鉢>

         ほら、肉がなければ何の問題もなくまとまっている。



 しかしそこを過ぎると風俗画のコーナーになる。 うーむ、シャルダンは人を描かない



方がよかったんじゃないか?、とがっかり感が押し寄せるが、あるラインを境にいきなり



完成度が高まってタッチも緻密になる。 なるほど、これなら「フェルメールに似ている」と



いう評判はダテではないぞ。



 とはいえ彼はまた静物画に戻ってきて、抜群の安定感を誇るのだ。



   <木いちごの籠>

    ポスター・チラシにも使われている絵ですが・・・木いちごよりも、グラスの中に

   ほんとに水が入ってるよ!、と見えることに驚愕。



 他にはモモ・ブドウ・スモモなどがほぼ同じ構図でちょっと周囲のものの配置を変えたり



している絵が続くのですが、「グラスに水」の衝撃には勝てない。



   <桃の籠>

      ここではグラスの中にワイン、これもなかなかいけてるが、やはり水がいちばんだ!



 なるほど、静物画の巨匠と呼ばれることに納得!



 その後、この美術館の目玉所蔵品であるらしいルドンの<グラン・ブーケ>を見たの



ですが・・・サイズが大きい上にライティングが派手派手すぎるというか絵の前からも



後ろからも光を当てているかのように見えて、一瞬あたしは「これ、スライド?」と思って



しまった(一緒に行った人は、「バス停の横の広告スペースにあるポスターみたいだと



思った」そうだ)。 よく見たらキャンバス地にパステルで描かれているのがわかるのだが、



最初に安っぽい印象を与える展示法は見直した方がいいのでは・・・でも、そう感じたのが



あたしたちだけだったらどうしよう。



 建物の中をぐるぐる回らされる流れ(で、要所要所に二重の自動ドアがあってドキドキ



させられる、引き返すことはできないのかと)なれど、こじんまりした絵を見るにはいい



スペースである。 旧財閥系でこういう美術館が東京駅から歩いて行ける範囲に一体



何か所あるんだろう、と考えると歴史を感じますね。


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2013年01月04日

メトロポリタン美術館展@東京都美術館



 というわけで、メトロポリタン美術館展でございます。



 当日券のチケット売り場に並んでいるときから、あたしの頭の中では



  ♪ タイムトラベルは楽しい メトロポリタンミュージアム ♪



 と、大貫妙子の『メトロポリタンミュージアム』がぐるぐる回りはじめ、油断すると口からも



出そうな感じに。 はしゃぎすぎですか?



 が、実際の会場はテーマ別に美術品が並べられ、それこそ時代もぐちゃぐちゃ・絵と



小物など素材も特に意識はされずに置かれていた。 まさにタイムトラベル!



   目玉はゴッホの『糸杉』



 えー、このレンブラント、明るすぎじゃない?、などと思いながら人波を縫うように



進んでいくと、『クイナ狩り』(トマス・エイキンズ)という絵の前で足が止まる。



均一に塗られた油彩、端正なタッチ、写実的。 あぁ、こういうの、やっぱり好き!



 様々なジャンルのものがあると、自分の本当に好きなものに否応なく気づかされます。



 それは次の<動物たち>のコーナーでも炸裂。 エジプトの『猫の小像』は何回も



見てる気がする(似たものが何個も存在するのであろう)けど、いつ見ても美しくて



かわいいなぁ、とほれぼれ。



 が、あたしの注目を一身に集めるものが登場する!



   『シロクマ』フランソワ・ポンポン



 ポーラーベアだぁ!(十数年前、そういうキャラクターがあったのである)



 どう見てもそっくり、絵の中のポーラーベアを三次元にしたらこれ、みたいな・・・あの



キャラはこれのぱくりだったのか、とがっくり肩を落とす。 というか、動物をリアルにでは



なく、特徴だけとらえてかわいらしくキャラクター化する、というのは日本の十八番かと



思っていたのに、すでに1923年にフランス人にやられてるとは・・・。



 ガラスケースに張り付かんばかりにして見る。 このレプリカ、ほしい!



 しかしいつまでも張り付いてばかりはいられず、名残惜しげにその場を去るが・・・



ホルス神をかたどったハヤブサの像にもニヤリとさせられてしあわせな気分になった



けど、次のフロアに行く前にもう一度シロクマの元に戻る。 頭をうしろから見た角度を



記憶に焼きつける(多分図録などは正面からしか写さないから)。



 次は花やら写真やらだったのだけれど、あたしの心はシロクマ。



 一際、人が群がっているところがあって、やっと『糸杉』の存在を思い出したほど。



しかし想像以上に厚塗りで、横から見たら何を描いているのか全然わからないってのも



すごい。 あたしはそれの二枚左に置かれていた『鱒池』ワージントン・ウィットレッジ)



ほうが好きかなぁ。



 その後、これが出てきて胸倉つかまれる感じ。



   『マーセド川、ヨセミテ渓谷』

                         アルバート・ビアスタット




 写真かっ!、と思うほどの細かさと美しさ(でも多分写真では無理)。



 この日の流れでは、あたしは19世紀アメリカ絵画が好きなのかも・・・と思わされまして、



ワイエス好きの気持ちが刺激されてるせいかもしれないけど、またいろいろ調べてみよう



かと。 ちなみにバルテュス『夏』に関しては『山』の一部拡大ではないか!、と



ツッコミを入れてしまいました。



   『トゥーライツの灯台』エドワード・ホッパー



 ええっ!、ホッパーってこんな絵も描くの!、とびっくり。 都市生活者の孤独ばかり



描いているのかと思っていた。 そんな意外性もあるけれど、この絵はとっても素敵。



暖かな陽射しとさわやかな海風を感じる。



 ♪ 大好きな絵の中に 閉じ込められた ♪ のであれば、この絵がいいかなぁ。



 と、次のコーナーでは『シロクマ』に匹敵するほどのものが!



   『カエルの分銅』メソポタミア/古バビロニア時代



 か、かわいい!! またもキャラクター文化、負けている・・・。



 残念なことに正面から左側が少々破損しているため、このカエルはこの角度がベスト。



えーっ、閃緑岩か安山岩でこんなのつくれるの〜。 川原に落ちてる石を拾ってきて、



削ったらなんとかなるのかしら・・・と一瞬わけのわからないことを考える。



 最後の部屋はテーマ<海と水流>。 ターナー、モネ、セザンヌ、ヴラマンク、ホーマーと



ビッグネーム揃い踏みの中、あたしが気に入ったのはこちら。



   『捕鯨中の事故』

                      ウィリアム・ブラッドフォード




 氷の凍てつき感とか、寒々しい空気感がよかった。 またもアメリカか・・・あ、アメリカも



やっぱり昔はクジラ捕ってたんじゃないかという証拠であることにも気づくけど、きっと



捕鯨反対を叫んでる人たちにはそういうこと言っても聞いてもらえないんだろうなぁ、と



考える。 ま、どうでもいいです。



 東京都美術館自体が新しく改装され、かなり見やすい展示になっていたのもよかったし、



内容もてんこ盛りなれど自分の気に入るものが順々に現れてくれたので、気分も上昇



したまま最後まで行けて楽しかった。



 実際のメトロポリタン美術館もこんな展示の仕方なのかしら。



 そしてあたしの頭の中ではずっと『メトロポリタンミュージアム』が流れ続けた・・・。


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2012年12月21日

エル・グレコ展@国立国際美術館



 先日の折に、エル・グレコ展にも行ってまいりました。



 意外と、思ったよりもお客さんが少ない感じでラッキー(それとも、大阪ではエル・



グレコは人気がないのだろうか、とハラハラ)。



   スペイン美術黄金時代の巨匠 世界の傑作、奇跡の集結!



 確かに、エル・グレコ作品は日本にあまりない感じ・・・ここまでいっぱい見られる



チャンスはなかなかない。 冒頭の説明板に「“エル・グレコ”とはスペイン語で



“ギリシャ人”のことである」みたいなことが書いてあって、「あ、知ってる知ってる」と



思ってから考え込む。 何故あたしは知っているのか!



 答えは、『サラディナーサ』でした(で、フェリペ2世やドン・ファン、ドレイク提督や



オレンジ公ウィリアムなどのことを思い出す)。



 あぁ、この緑がかった青の衣と赤の衣の対比が好きなんだよね!



   <受胎告知>



 やはりキリスト教関係の題材が多い(フェリペ2世の肖像画などもありましたけど)。



時代の需要なのかな・・・修道士っぽい人の肖像画もとても素晴らしかったが。



 宗教画はなにしろ背景に対する知識が乏しいので、わからないことが多いのですが、



わからないなりに一枚の絵として訴えかけてくるものを感じ取れるようにはなってきた



かも。 習うより慣れろ!、ですかね。



 そして今回の展覧会の目玉がこちら。



   <無原罪のお宿り>



 全長3メートル、という大きさにまず圧倒される。 それに、どこから見ても、結局



見上げていけばある一点に視点が集中するようにできている構図に完敗。 天使が



天上の音楽を奏で、鳥たちが祝福に集まる、という華やかな美しさとよろこび、荘厳さが



混ざり合ってますよ。



 あたしの好みからいうとエル・グレコのタッチは許容範囲ではあるけれど「ものすごく



好き!」って感じではない。 それでも圧倒させられ、「これ素敵!」と思う絵もあり、



さすが巨匠と呼ばれる人は好みじゃない人間までも魅了する力がある、ということなん



でしょうな・・・。



 それにしても、ちょっと前まで「無原罪の御宿り(おんやどり)」と読んでいた気が



するんですが・・・あたしの勘違いでしょうか。



 ポストカードの値段が¥100から¥120に値上がりしていたことにかなしさを覚えた。


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2012年12月17日

山口華楊展@京都国立近代美術館



 気がつけば最終日の山口華楊展である。



 前日までの悪天候とは打って変わって小春日和の京都は街中を歩く人が多い。



 そして辿り着いた岡崎公園(美術館があるところ)の山口華楊展パネル見て、一瞬



絶句。 なんか違う!



   <黒豹>(部分)



 ポスターはヒョウだし、パネルはライオンにトラである。 何故そんなにも、肉食獣?



 そしたら、実は期間中に展示替えがあったらしい。 えっ、最初に見たポスターに



載ってた絵はないわけ?!、とハラハラ。



 階段あがって、冒頭からライオンさんの登場である。 山口華楊の描く肉食獣は



全体的にアフリカのジャングルにいる感じがしない。 なんとなく、話しかけたら喋り



返してきそうな気がするのだ。 民話的というか物語の挿絵的というか・・・そう、物語の



一場面のような感じがして。



 だから鴉の一群なども禍々しさなど一切なく、どことなくキュート。



 狐が出てきたら、もう新見南吉の世界である。



   <青柿>



 最初のポスターに載っていたのがこれである。 よかった、見られて!



 タイトルにもびっくり。 ネコは入ってこないんだ!(勝手にイメージが膨らんでて、



ネコはもっと大きかったような気がしていたし)



 山口華楊は竹内鳳洒の弟子の弟子だということで、成程、京都で人気があるわけ



よね、と納得。 京都画壇の歴史を垣間見る。


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2012年12月10日

北斎 ― 風景・美人・奇想 ― @大阪市立美術館



 会期ぎりぎりで、北斎展に行く。



 さすが最終日だけあって、駆け込み組が沢山(いや、もともと人気なのかもしれない



けど・・・)。 入場制限が設けられ、会場前の扉の前でそこそこ待たされる。 ちなみに



この日は神戸市でも雪がちらつき、美術館がある茶臼山に行くまで吹きっさらしを



歩いたので、待たされるにしても建物の中でよかったです。



   これぞHOKUSAI!、大阪に来たる。



 入場制限が出てしまうのは、展示物がひとつひとつ小さいサイズでそれに群がったら



先に進まないからでした。 壁にかけてあればまだいいが、ガラスケースの中になると



最悪。 「最前列でご覧になりたい方は列に並んでください。 そうでない方はどんどん



先に進んでいただいても大丈夫です」ということだったので、あたしは隙間をのぞき込む



感じでどんどん進みます。



 正直なところを言うと、あたしは北斎の人物画にあんまり惹かれない。



 だから『富嶽三十六景』の青はやっぱりきれいだねぇ、とか、『百物語』の怖いものを



描いているはずなのににじみ出てしまうユーモアとか、ユーモラスなんだけどたまに



リアルすぎてグロい動物などがお気に入り。 後半の方にポツンと静物画みたいなのも



数点あって、これすごくステキ!、とはしゃぐ。



 もし北斎が現代に生きていたら、絵描きではなく写真家になっていたかも、とあたしは



ちょっと思ってしまったりするんだけれど、それは<ある一瞬>を絵で上手に切り取って



いる感じがするから。



 ミュージアムショップも込んでいたが、あたしの気に入った絵のポストカードはなんにも



ない・・・手ぶらで帰るのでした。


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2012年09月20日

ヴェネツィア展 魅惑の芸術‐千年の都@京都文化博物館



 先日、京都に行った際、こちらのほうにも寄りました。



 時間がちょっと遅れたので結構込んでいたけれど・・・わりと京都文化博物館で見る



やつっていつも込んでいる感じがする。 開館直後の時間を狙って行かないからかも



しれない。 こちらに来るのはなんとなく久し振りかな、と思ったら、中が相当に改装



されていました。 すっかり別物。



 今回のお目当ては、こちらです。



   ヴェネツィア!



 ヴェネツィア絵画、好きなんですよねぇ。 カナレットとその工房に代表される細密な



風景画、細密でありながら<奇想画>と呼ばれる「なんかちょっとおかしいですよ?」な



視点の絵とか。 ただ今回はヴェネツィアという都、当時の交通の要所で様々な文化が



花開いた地域としての取り上げられ方なので、絵画は一部でしかなかったのですが。



 あ、風景画以外にも人物画で結構いいのがありました。



 でもあたしは別に、もうひとつの理由で当時のヴェネツィアに思い入れがありまして。



 <元首>と書いて<ドージェ>とすんなり読めてしまう理由、サン・マルコ広場やサンタ・



マリアという名前にも懐かしさを感じてしまう理由が。



   ヴァレンティーノシリーズ/森川久美



 ヴェネツィアの若き元首が実は男のなりをした女性で・・・という現実にはありえない



少女マンガ独特の設定ではありながら、周辺の国々から常に狙われている小国・



ヴェネツィアのあやうさも描かれておりました。 子供の頃、古本屋さんで『レヴァンテの



黒太子』なんかを買い集めてたんです・・・(当時の花とゆめコミックスはシリーズを



ばらばらに収録していたので全部読めていたのかどうか自信がなかった)。



 この展覧会で一気に思い出し、また読みたくなっちゃって(でも本は品切れだった)



古本屋を探してシリーズの文庫版を手に入れました。 ちゃんと全部読んでいたんだ、



あたし!



 そして、あの時代を彩っていた品々にも思いをはせ・・・こういうのが展覧会の正しい



見方なのかどうかはわからないのですが、でもかなり、うれしかったです。


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