2020年01月19日

パラサイト 半地下の家族/PARASITE

 15年以上前、『殺人の追憶』に衝撃を受けて以来、ソン・ガンホとポン・ジュノ監督は要チェック。 個人的には韓国映画のテンションがあまり得意ではないが、ソン・ガンホが出ているだけで違うし、ポン・ジュノ監督に至っては空気感から違う。 またこの二人で映画を撮ったと聞き、それは観たいなと思っていたが・・・まさかパルムドールを獲り、アカデミー賞にも多くノミネートされるとは。
 映画館に行ったのはアカデミー賞のノミネートが発表された後だったせいか・・・とても込んでいた。 やはり話題になっているのか、いつものシネリーブルサービスデイとはちょっと違う雰囲気で。

  パラサイト半地下の家族P2.jpeg 幸せ 少し いただきます
  全員失業中の一家が目指す、高台の豪邸。最高の就職先には、誰も知らない秘密があった――。

 キム一家は現在全員失業中で、半地下の住宅に住んでいる。 ある日、長男のギウ(チェ・ウシク)の幼馴染の大学生がやってきて、アメリカに留学するから女子高校生の家庭教師を譲りたいという。 面接に訪れたのはIT企業のCEOパク氏(イ・ソンギュン)の大豪邸。 生徒だけでなく奥様(チョ・ヨジョン)にも気に入られたギウは、もう一人の子供に絵画の先生が必要だと知り、妹ギジョン(パク・ソダム)を「アメリカ帰りの優秀な人を知っている」と売り込み・・・という話。
 あらすじはあまり話せない。 事前情報がないほうが楽しめるし、絶対そのほうがいい。

  パラサイト半地下の家族1.jpeg 父親役のソン・ガンホが最高!
 序盤は一家の貧乏話というか、貧乏な状況をいかに楽しみながら(?)次につなげるているかが語られ・・・それがめっぽう面白い。 『万引き家族』っぽいところもあるかな、と思った途端違う話になるなど、観客の予想を継ぐから次へと裏切っていこうという意欲に満ちている。
 後味がよくない話なんだろうな、というのはわかっていたので始まるとき気持ちはいささか怯んでいたのだが、あっという間に流れに乗せられてしまった。 この四人家族にまったく感情移入はできないのだが、見入ってしまう。

  パラサイト半地下の家族2.jpeg 娘と息子もすごい。
 ヘンに純粋というかまっすぐすぎる兄と、はすっぱっぽく見えながらこの家族の歪みを一身に引き受けたような妹。 全く説明されないのであるが、“佇まいから感じられる何か”がこの映画では非常に多くて重要。

  パラサイト半地下の家族4.jpg 大富豪の奥様のおバカさ加減も絶妙。
 大富豪のちょっといい声(喋り方も独特)でも笑わせてもらう。 奥様も勿論ただのおバカではない。 登場人物が出揃い、テンポよく笑いもちりばめられていくのだが(足の裏だけで笑いをとれるのもソン・ガンホだけ)、ホラー要素もどんどん注ぎ込まれていくので面白くなれば面白くなるほどじわじわとおそろしい。
 過去の映画作品に通じる構図やカットなどもあり、ポン・ジュノ監督もタランティーノばりの映画マニアなのでは。

  パラサイト半地下の家族5.jpg 生活感のかけらもない豪邸。
 後半、話が見えてきたことで恐怖は急激に薄まるが、その分「おぞましさ」が頭をもたげる。 それは人間という生き物、存在に対してのもので、登場人物の誰に対しても感情移入はできないのだがそこは自分も共通点なのだ・・・。
 「血縁家族バンザイ」な感じはアメリカでも受けるところだろうが、そこに疑問を挟みたいのが“いま”の視点。 疑問を持てなかった子供たちは犠牲者であるという見方もできるのかもしれない。
 格差・階級社会を描く社会派な部分もあるが(繰り返される階段の描写でも、降りるのはキム一家だけ)、あくまでエンターテイメント。 湿度低めな映像、描きこまれるディテールなど、これが世界水準か!、と。 日本映画の道は遠いわ・・・。

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2020年01月12日

リチャード・ジュエル/RICHARD JEWELL

 試写会に当たったので行ってきました!
 神戸市内で試写会って初めてだ〜。 しかし当選ハガキを当日、映画館カウンターで座席券に引き換えなければならず、場合によっては満席でお断りすることもあるという! ダッシュで仕事場を去り、可能な限り早く行ったのだが、「もうお席が少なくなっておりまして〜」と言われてしまう。 結構多めに出しているのか。 でも席が取れてよかったです。

  リチャード・ジュエルP.jpg 1996年、アトランタ爆破事件の実話
   その日、全国民が敵になった――

 1996年、アトランタ。 オリンピックが開催中のこの都市で、爆破テロ事件が発生した。 記念公園で警備員としてその場に居合わせたリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)はベンチの下に置き忘れていたリュックを見つけ、その存在を周囲の警官に知らせ、爆弾処理班を呼んでもらう。 その間に何か起こったら困ると、野外コンサートでノリノリの観客たちを少しずつベンチから離れてもらう。 結果、被害者は出たが爆弾の威力から考えたら奇跡的に少なかった。 一夜にして<アメリカの英雄>となってしまったリチャード。
 しかしFBIは<孤独な爆弾魔>のプロファイルにリチャードが当てはまると、特にショウ捜査官(ジョン・ハム)はリチャードの犯行を疑わず、懇意の新聞記者キャシー・スクラッグス(オリヴィア・ワイルド)に情報をリーク。 地元紙は一面でリチャードが犯人に違いないと書き立てる。 リチャードと、母親のボビ(キャシー・ベイツ)の生活は24時間ずっとマスコミに囲まれるものになってしまった・・・という話。

  リチャード・ジュエル1.jpg リチャードはとにかく法と秩序を重んじる、すべての人のために役に立ちたいと考えているタイプ。 それ故にちょっと周囲と話がかみ合わなかったり、空気が読めない人に見える。
 リチャードが備品係として働き、弁護士ワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)と知り合いになった十年前のエピソードからじわっと始まるので、映画はかなり静かなペース。 リチャードの言動を部分的に見ていくことで、彼がどういう人なのかわかってくるが・・・観客ひとりひとり感じ方が違っていくかも(イメージを決めるような言葉が一切出てこないから)。 あたしは「この人、なんかずれてないかな?」といぶかしく思い、彼の不用意な言葉に「ほんとにこの人、犯人ではないんだよね?」と動揺してしまう。
 実際に爆弾が置かれ、911に予告の電話があり、爆発した状況を考えると犯人は別にいるのだが・・・疑われる・疑いを深めかねないリチャードの言動をあえて残しているのがイーストウッドの意図したところなんだろうけど、現実はドラマのように証拠映像はないし、「立証の難しさ」について改めて考えることになった。

  リチャード・ジュエル2.jpg どんな手も使いそうなショウ捜査官(ジョン・ハム)。
 ショウ捜査官は自分の地元に爆弾を持ち込まれたことで怒ってる、どうしても犯人を捕まえたいという気持ちはわかるが、何故あんな結果ありきの行動をするのか。 また毒花のような新聞記者の見た目があまりにステロタイプでげんなりするが、オリヴィア・ワイルドの無駄遣いではないことがありがたい。 誰が出ているか事前に調べていなかったので、キャシー・ベイツ登場にはびっくり! このお母さん、素晴らしい。 ワトソンの秘書ナディア(ニナ・アリアンダ)もすごくいい人! ダメな人がたくさん登場するので、この二人が清涼剤。

  リチャード・ジュエル4.jpg リチャードとワトソン、いつしか二人の友情が。
 以前の彼を知っていて、そんなことをするやつではないと言い切るワトソン、さりげなくもカッコいい。 こんなにカッコいいサム・ロックウェルがいただろうか! 「なんで大切なことを事前に話さないんだ!」とぶちぎれる姿もいい。
 マスコミの無責任さは今も変わっていないが、ネット社会である現在ならばリチャードはどんなことになったのか。 いやいや、疑わしいという印象で決めつけられて一気に情報が流通してしまう例をいくつも見てきているではないか。 あたしだってリチャードに対して「そんな感じでは疑われても仕方ないのでは」と思ってしまったし。 空気読めないとか、ズレた受け答えをするからといって犯人だと決めつけられていいわけではないのだ。
 それ故に、終盤で示されるリチャードの“尊厳”に、胸が熱くなるのだろう。
 二人の友情にも。
 FBIもマスコミも責任を取らないためすっきりしない感は残るが、リチャードとワトソンの関係性であたたかい気持ちになる。 「あとはそれぞれ考えて」も押しつけがましくなく、イーストウッドの職人芸を堪能。 89歳でも一年映画一本ペースで作り続けているパワーに脱帽する。

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2020年01月02日

2019年に観た映画 マイベスト

 2020年でございます。 そこで去年観た映画を振り返りたいのですが・・・なんか「これだ!」というものがない気がする・・・やはり4月まで『ボヘミアン・ラプソディ』応援上映に行っていたからだろうか。 ううむ、と手帳をめくり、過去記事もざざっと見て、よかったと思った映画を思い出す。

  僕たちは希望という名の列車に乗ったP.jpg 僕たちは希望という名の列車に乗った
 この映画がベストワンではないんだけど、「ベストテンには入るかも」という気持ちは覆らなかった。 役を演じているというより、自分の人生であるかのような彼らの姿に胸打たれました。
 実話系に弱いんだけど、実話の映画化が増えてきた分、いろいろ見る目が厳しくなるんだけど・・・映画としての完成度よりも心に突き刺さるなにかのほうが印象に残ります。
 あと大きな賞をとったやつ(『グリーンブック』とか)、とりそうなやつ(『ジョーカー』とか)はあえて省きます。
 個人的にすごく好きなのは、
シンク・オア・スイム
  シンク・オア・スイムP.jpgシンプル・フェイバーP.jpg シンプル・フェイバー
 シュール系・ソリッドパンクとコメディ映画としては対極なのだけれど、どっちも面白い。 脚本・演出・演技とどれもバランスよかったなぁ。 役者のすごさを堪能したい、というのもあたしの願いなのだ。

  アメリカン・アニマルズP.jpg アメリカン・アニマルズ
 そういえばこれも実話だ。 ドラマ部分中心、ドキュメンタリーとのハイブリット感がよかったです。
 ひどい事件の実話としては、
ウトヤ島、7月22日 と
  ウトヤ島、7月22日P2.jpgホテル・ムンバイP.jpg ホテル・ムンバイ
 が痛くて苦しかった。 腹立たしくてやりきれない理不尽さを前にしてこそ、考えられることもある。 観終わって「あぁ、よかった」と思える映画も必要だし大切なんだけど、「起こってはいけないのに起こってしまったことを、もう二度と起こさないようにするには」と考える映画も必要である。

  ブラック・クランズマンP.jpg存在のない子供たちP.jpg ブラック・クランズマン 存在のない子供たち
 完全に実話とは言えないが(『ブラック・クランズマン』は原作と全然違うみたいだが)、現実と虚構の境目だからこそ描けるものがある。

  ピータールーP.jpg ピータールー マンチェスターの悲劇
 これはいろんな意味で・・・大変な映画をつくる情熱にいろいろ感慨が。

  イエスタデイP.jpg イエスタデイ
 あとやっぱり音楽のよさと、音楽に惹かれてしまう人の気持ちを描かれるときゅんとする。
 天国でまた会おう もよかった。 おとぎ話に救われる、という、物語を必要とする人間の本質があった。
  天国でまた会おうP.jpgワイルドライフP.jpg ワイルドライフ
 これは昨年いちばん静かな映画かも。

 サスペンス・ミステリーからはこの一本。
  ギルティP.jpg ギルティ
 ワンシチュエーションって難しいけど、うまくいけばすごいものになるのよねぇ。 虚構ならではのドキドキ感、堪能しました。

 アクション映画からは、ハンターキラー と
  ハンターキラーP.jpgスノーロワイヤルP.jpg スノー・ロワイヤル
 中心はアクションであっても、うまい役者がいないと話は成立しないことを実感。
 なんだかんだいっていい映画はそれなりにあるではないか。 自分の記憶力が低下しているだけかもしれない・・・。
 まだ咳がおさまっていないので映画に行けておりませんが、今年もいい映画を観たいと思います。

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2019年12月14日

マリッジ・ストーリー/MARRIAGE STORY

 ネットフリックス映画は期間限定上映で困る。 いや、劇場公開してくれるだけありがたいのだが、今後もっと増えていきそうな気配。

  マリッジ・ストーリーP.jpg 

 仲睦まじい家族であったニコール(スカーレット・ヨハンソン)とチャーリー(アダム・ドライヴァー)と息子ヘンリー(アジー・ロバートソン)。 ニコールはかつて映画スターになるチャンスよりも結婚とチャーリーの劇団の女優になる道を選んだが、最近は自分のキャリアに悩んでいた。 離婚を切り出されたことで無意識にニコールに負い目を感じていたことに気づいたチャーリーだが、お互い負けず嫌いな性格が災いして離婚弁護士を雇ってしまい・・・という話。
 冒頭、お互いのいいところを朗読、素敵な思い出シーンが流れるところは多幸感にあふれていて、「なんでこの二人が離婚しなきゃいけないの?」と不思議で仕方ないのだが・・・それを理解するための136分。

  マリッジ・ストーリー1.jpg お互いキライになったわけではないのだ。
 すれ違いの果てに離れていく心。
 多分、それぞれが我慢すれば続いていく生活で、実際に我慢して続けている人たちも多いはず。 それを言われないように、ニコールとチャーリーはそれぞれ表現者というポジションなのではないか、という気がした(これはアジア的な考え方かもしれないけど、片方が片方を支えればいいじゃないかと感じてしまいそうで)。 でも実際は職業に関係なく、自分らしくいられないから結婚をやめる人たちもいるわけで。
 一緒にいることで気づかないうちに相手を傷つけ、自分も傷つく。 それが一過性のことでなくずっとなら、お互いのために離れたほうが。 きっかけは些細なことだったかもしれないけれど、取り戻すにはもう遅すぎる。
 結婚ってなんてドラマチックなんだ! 崩壊しそうになってそれに気づくとか。

 『イカとクジラ』のノア・バームバック監督らしい、会話劇。
 アダム・ドライヴァーのよさって『パターソン』とかこういう映画でこそ輝く気がする(新しい『スター・ウォーズ』のカイロ・レンを否定する気はないが)。 気が強くて賢いけどずぼらなスカーレット・ヨハンソンもすごくいい。 あたしがこういう舞台劇っぽい感じが好きだからかもしれないが。
 『イカとクジラ』では子供目線だったのに、本作ではすっかり大人目線なところにノア・バームバックの成長を感じるけれど、逆にヘンリーの気持ちはどうなるの・・・とハラハラ(この時点では彼は事態がよくわかっていないにせよ)。 でもニコールとチャーリーの気持ちはすごいわかるわー、とときどき泣きそうになる。 特にチャーリーが自分の間違いや至らなさに気づいたりするところ、それが男の人のダメでキュートなところだなぁ、としみじみしたり(ちょっといとおしいと思えたりするのは、直接自分と関係ないからだったりするのだが)。
 自分にも起こりうる話だからこそ、でも自分ではないからこそ、共感し理解できることもある。
 『クレーマー・クレーマー』は出だしでおとうさんがフレンチトーストに失敗してフライパンを投げつけ(落とし?)、怒鳴る場面がトラウマでその先を見れないまま大人になってしまったのだが、もしかしたら今ならば違う視点で見られるかもしれない。

posted by かしこん at 19:42| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月13日

THE INFORMER 三秒間の死角/THREE SECONDS

 えっ、アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『三秒間の死角』が映画になったの?、と気づいたのは何か月か前のOSシネマズのホームページで<上映予定作品>を見ていたとき。 原作はスウェーデンだが映画はイギリス、しかもハーバーランドでの公開のためミントではチラシが手に入らなかった(もともとなかったのかもしれん)。 11月29日から公開がなんかうまいこと観に行けず(限定公開を優先してしまったため)。 いつ行けるかとスケジュールを見ていたら、翌週から朝一回上映になってる! レイトショー設定のあるうちに行かねば!、と遅いけど(21:30〜23:35)平日レイトショーに滑り込む。

  ザインフォーマー三秒間の死角P.jpg FBIに裏切られた情報屋の脱出劇

 殺人の罪で収監されたが、FBIの情報提供者になることで自由を得たピート・コズロー(ジョエル・キナマン)は麻薬組織に潜入、ついにボスの“将軍”を取引現場に立ち会わせるチャンスがやってきた。 FBI捜査官ウィルコックス(ロザムンド・パイク)らがその場を急襲し、一網打尽にして組織を壊滅させればすべてチャラになり、危険な任務ともお別れ、妻ソフィア(アナ・デ・アルマス)と娘のもとに帰れるはずだった。
 しかしニューヨーク市警の若い警官が別口で潜入捜査を行っていたことがバレ、殺されてしまう。 市警のグレンズ警部(コモン)が捜査に乗り出すが、ウィルコックスの上司モンゴメリー(クライヴ・オーウェン)は市警には何も言わず、別のプランをピートに命じてきて・・・という話。
 「はっきり語らないけど、よくある展開だからそこは察して」的な省略が物語をご都合主義っぽくさせてはいるが、手掛かりを方々に散らばせて、「それはその後どうなる!」と気になって飽きさせない。 思っていたより面白かった!

  ザインフォーマー三秒間の死角2.jpg ピートがなかなかカッコいいのである。
 リブートした『ロボコップ』の人であるが、本作のほうがいい男度が上がっている気が。 北欧系なのがいい方向に出てるのか、追い込まる姿が絵になる人だからなのか、ほぼひどい目に遭わせられてばかりのピート・コズローについ同情してしまう。 序盤は「北欧ミステリをニューヨークに置き換えるのは無理があるのでは」と感じるものの、その違和感は“非情なもしくは無情の世界”を強調していると気づく(フェンタニルで商売するヤツらにかかわってはヤバいし、権力を振りかざすヤツらにかかわられるのもヤバい)。 その容赦のなさがこの映画の肝である。

  ザインフォーマー三秒間の死角1.jpg クライヴ・オーウェン、なんか久し振り。
 ロザムンド・パイクがまたしてもメイクするどころではない、使命に生きようとする女・・・とはいえこれまでとはまたちょっと違う感じ。 いろいろ葛藤する姿、よかった。 というか、出てくる人たちみんな何かを隠しているというか、あやしさ全開なので誰も信用できない・・・そりゃピートもとことん自衛するよね、それでも信じようとしてしまうところが痛々しい(2.85secondsの表記がさりげなさすぎて気づきにくいよ)。
 筋立てを話すとありがち路線になってしまうのですが、役者たちの熱演と、途中から舞台になる刑務所の「囚人の人口過多具合」の描写がものすごい。 原作の社会派な部分の面目躍如。

  ザインフォーマー三秒間の死角3.jpg コモン、かっこいい!
 最近、コモンいい感じが続いているなぁと思っていたら、最もカッコよいのが来た! 情だけでなく正義をまっとうしようとする姿、いい!
 原作ではグレーンス警部が主役だけどシリーズはもともとは群像劇なので、本質を尊重していると感じた。 彼だけが信用できる人っぽいのもまたいい感じ。
 裏切りに次ぐ裏切り、突破口が開けたかと思えば袋小路、とハラハラさせる展開ながら緊張感に満ちてないところが逆にいい(つらくて見ていられない・・・にならない)。 もやっとする感じは残りつつも爽快感もあり、しっかりエンターテイメント。
 と、すごくレイトショー向きの作品なのに・・・それでも公開してもらえるだけありがたいのだ(本作の制作は2017年)。
 映画になってもカドカワは品切れ重版未定の原作を増刷しないし(電子版はあり)、他のルースルンド作品を出してる早川書房に権利を譲ってくれ〜。

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2019年12月07日

リーンの翼 全話一挙上映【特別興業】

 <「富野由悠季の世界」兵庫会場開催記念 関西7会場横断 富野由悠季監督作品リレー上映>企画、『リーンの翼』全6話一挙上映会に行ってきた。 小説(カドカワノベルズ版)は昔読みましたがアニメは観ていなかったので。 でも作品紹介見たら全然わからん・・・どうやら小説の後日談らしいとわかる。 後半の話、あまり覚えていないのだが、観たら思い出すかも。
 土曜ではあるが仕事に出たので、18時30分からの一日一回、一週間限定上映に間に合う。
 神戸国際松竹です。 OSシネマズや109HAT神戸でも諸作品を上映しています。
 ロビーから開場を待つフロアに行けばやたらオタクっぽいイメージの男性が沢山いて、「ど、どうした?!」とびっくりするが、実は隣のスクリーンが『冴えない彼女の育てかたFine』であった・・・そっちかよ。 しかし残ったのはガンダム世代な方々から大学生ぐらいの方までそれなりに幅広く、男女割合も半々ぐらいだったのだった。 さすが、富野さん。

  リーンの翼アニメP.jpg 新しきオーラバトラーサーガがはじまる!!
 岩国基地を反米・反中華思想にかぶれた若きテロリストが襲う。 巻き込まれたエイサップ鈴木の前に謎の軍艦が出現、少女リュクスはリーンの翼の力でオーラロードを通り、異世界“バイストン・ウェル”から来た・・・という話。
 いや、このあらすじもなんだかまとめが難しくて、30分枠6回でやる話じゃないですよね! なんかいろいろ強引だよ! 基本設定を知らない人はずっと置いてけぼりになる・・・。

 もともとネット配信 → DVDリリースという発表の仕方だったらしく。
 オーラバトラーやメカ系はCGなのがまるわかりなのが(他の絵との差が激しい)今の目から見ると残念。 いや、作画が劇場公開できるレベルではないかもだけど、音はやはり映画館いいです。
 いろいろと盛り込みすぎで登場人物に感情移入できるスキが一切ないんだけど、「あぁ、これは迫水真次郎に決着をつけさせてあげる話か」とわかって感慨深い・・・。
 あ、迫水真次郎とは小説版『リーンの翼』の主人公でして、元特攻隊員なのです。
 なんというのか・・たとえば『永遠の零』にはまったくないあの時代的なものがありますよ・・・今ではつい避けがちな戦争の生々しさとか、いろいろ言われそうな歴史観とか、そういうのもぜんぶひっくるめての富野由悠季だなぁ、と。 ある程度の年齢になってシンジロウ・サコミズのその後を描かなければ、と思ったんだろうなぁ、と思うと更に感慨深い。 おまけにサコミズ役は小山力也だったの・・・ジャック・バウアー以上に叫んでいる感があったわぁ。
 帰って来てから調べたら、カドカワノベルズの小説版が編集・加筆されてその後の話も追加されて、単行本全四巻が出ているらしい! 図書館にも置いてあるようだ、読んでみようかしら。

ラベル:アニメ
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2019年12月03日

グレタ/GRETA

 イザベル・ユペールとクロエ・グレース・モレッツ共演、監督ニール・ジョーダンときたら、これは観るしかないでしょう!
 でもあまり話題になってる感がないのは何故?

  グレタP.jpg 拾っちゃいけない届けちゃいけない

 ニューヨーク、幼馴染のエリカ(マイカ・モンロー)とルームシェアしているのフランシス(クロエ・グレース・モレッツ)は勤務先のレストランへの通勤に地下鉄を使っている。 ある日、地下鉄の車内で置き忘れられたカバンを見つけ、忘れ物取扱所にもっていこうとするが閉まっていたため、中のIDカードを見て届けに行くことにする。 持ち主のグレタ(イザベル・ユペール)はフランシスに感謝し、夕食に招待、それをきっかけに二人は急激に親しくなっていくが・・・という話。
 ここだけなら“ちょっといい話”にもなりそうなのだが・・・映画は冒頭あたりから不穏な空気を。

  グレタ3.jpg まずこの二人の関係も微妙。
 フランシスが最愛の母の死から立ち直れていない、ということがわかるのだが・・・エリカがあまりにおバカでチャラい人に見えてしまい、真面目でおかたいフランシスとほんとに親友なのか?、という実感がつかみにくい。 なにか裏があるのではないか、と勘繰ってしまうじゃないか(それも作戦なんだけど)。 それにしてもどんな場合でもフランシスの髪型も服装も決まっていて(ファッション誌のグラビアになりそうなぐらい)、「クロエ・グレース・モレッツをかわいく撮る!」という強い決意を感じさせる。

  グレタ2.jpg そこに更にイザベル・ユペール参戦!
 グレタには優雅さがつきまとう。 その余裕のある優雅さが変化するのかと思ったら・・・余裕のあるなしには変動はあるものの、優雅さは消えない! ときに狂気をふりまく度合いにも驚愕。 フランシスの働くレストランに現れたグレタの着るスーツが“ちょっと古い”感を出していてグレタの現実離れした存在を浮かび上がらせてるなと思ったら、シャネルのヴィンテージであると気づいたときの衝撃!
 そんなわけでこの二人の女優を堪能するための映画です。

  グレタ4.jpg わ、スティーヴン・レイだ!
 『クライング・ゲーム』の縁はまだ続いているのね、とわかるのはうれしいが、あなた何のために出てきたのよ・・・と言いたくなる悲しさ。 サスペンススリラーとしたらあまりにも定石通りの展開で、どうしたんだニール・ジョーダン!、どんでん返しはあきらめたのか?!
 その代わりというか、このジャンル映画へのオマージュ、ヒッチコックやブライアン・デ・パルマを思わせるシーンを挿入してきてこちらを驚かす。

  グレタ1.jpg 結局こういうことか!
 追い込まれるヒロインならばクロエ・グレース・モレッツにはすでに『キャリー』があるし、ヤバい女ならばイザベル・ユペールには『ELLE』がある。 ある意味二人の得意技のバリエーションを見せてもらうということなのか。
 説明されない謎はたくさんあるし、まるで『13日の金曜日』みたいだし(どう考えても物理的に不可能ではないかということが実行されるという意味で)、「ぎゃーっ!」と言いたくなる場面もあるし、やりすぎで失笑しそうなところもある。 なんか、「これでいいのか・・・」と気持ちが最後まで拭えない。 クロエ・グレース・モレッツとイザベル・ユペール、この二人を楽しむ映画だ!、と割り切ればいいのであろう、やはり。
 しかし・・・日本では「警察に届けて終わり」だから、この映画のような状況はありえない・・・よね?

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2019年12月01日

ドクター・スリープ/DOCTOR SLEEP

 小説『ドクター・スリープ』は映画ではなくあくまで原作小説『シャイニング』の続編である、スティーヴン・キングはキューブリックの映画『シャイニング』を気に入っていない、というのはある程度のキング読者にとって常識である。 で、『ドクター・スリープ』が映画になるという・・・そりゃもちろん原作小説に即してですよね、と思ってたら、予告編では明らかに映画『シャイニング』にかぶるイメージショットが・・・どういうこと? それでキングのお許しはもらえたの?、と気になって、確認に。

  ドクター・スリープ映画P.jpg 『シャイニング』の40年後――呪われたホテルが、目を覚ます。

 <オーバールックホテル(眺望ホテル)>の出来事から逃げ出してきたダニーと母親のウェンディだが、ダニーにはホテルに巣くっていた悪霊たちがまだ見えた。 それから30年以上たってもダニーはトラウマに苦しめられ、アルコール依存症に。 そんな中でも自分がしてしまったひどいことに良心が痛んだダン・トランス(ユアン・マクレガー)は心機一転、ニューハンプシャー州へ、親切なビリー(クリフ・カーティス)と知り合いAAの会に出て、ホスピスでの仕事をもらう。 それから8年、静かな生活が続くかと思われたが、ダニーは自分以上の“シャイン(かがやき=特殊な能力)”を持つ少女アブラ(カイリー・カラン)が、ローズ・ザ・ハット(レベッカ・ファーガソン)率いる<真結族(トゥルー・ノット)>に狙われていることを知り・・・という話。
 冒頭から映画『シャイニング』の音楽が流れ・・・やはり映画を意識しているとわかる。

  ドクター・スリープ映画3.jpg おう、あのホテルじゃん!
 マイク・フラナガン監督はスティーヴン・キングの大ファンだそうである・・・でも映画的にはやはり『シャイニング』を無視はできないのか、原作『ドクター・スリープ』の基本に忠実を守りながら、映画『シャイニング』のその後の物語としても機能するように、という全方向にいい顔をすることを選んだようである。
 それにしてもまず音がいい! 森の場面で小枝を足で踏みつぶす音が背後で聴こえ・・・思わず振り返ってしまいそうになるほど。 効果音がこの映画館の中の音のように聞こえるのは臨場感たっぷりで、特にホラー系の映画には効果的。 なんで日本映画にはこういう音作りができないのか不思議でならない。

  ドクター・スリープ映画4.jpg 邪悪な目を持つトゥルー・ノットのみなさん。
 彼らは“かがやき”を持つ少年少女の生気を吸って生きながらえてきたので、時折狩りが必要になるのだが・・・ロージーの子供を引き付けて取り込もうとする技はほぼ『イット/IT』のペニーワイズと一緒! そう思うと物語の大きな枠組みも一緒だなぁと思えてしまう悲しさよ・・・。
 でもロージーにレベッカ・ファーガソンを持ってきてしまうことに驚きつつ、あまりひどい人に見えない感じがしてちょっと困る(個人的な好みの問題)。 ビリーの人のよさっぷりには癒されたし、ちょい役ながら明らかにいい人なブルース・グリーンウッドの登場はうれしかった。

  ドクター・スリープ映画2.jpg “REDRUM”=“MURDER”も登場。
 ダン・トランスとしてはユアン・マクレガーはかっこよすぎなのだが、ユアンとしてはヒゲぼうぼうのヤバい時期は一気に十歳ぐらい老け込んだ感じでダニーに寄せているとは思えるものの・・・ダニーの苦悩は必要最小限にしか描かれていないので『ドクター・スリープ』の意味さえ付け足しになっている。 そこも映画『シャイニング』と一緒だわ。 ユアンは静かな受けの演技で最初から最後まで。

  ドクター・スリープ映画5.jpg アブラを守ることが過去との清算にもなる。
 ダニーから見たらアブラは恐れを知らない少女。 能力の高さ故にローズ・ザ・ハットとも渡り合えると挑戦してしまう場面は重力も視点も世界も飛び越えるやり取りで、ハラハラドキドキ、映像独自の表現で盛り上がる! しかしアブラは無事だろうと感じてしまうので、心底ハラハラはしないという・・・このへんのバランスは難しいなぁ。 トゥルー・ノットは敵なのだが、小者はあっさり死んだりするので(しかも死んで消えるパターンが『ポーの一族』のバンパネラと一緒)、彼らも哀しい存在なのだと同情心が起こってしまい、追い詰めても爽快感がないという。

  ドクター・スリープ映画1.jpg そして再びあのホテルへ。
 最終決戦の場がオーバールックで、映画『シャイニング』と同じビジュアルが出現・・・『シャイニング』を観直してなかったのでかなり同じように感じた(映像的にはこちらのほうが鮮明だが)。 小説『ドクター・スリープ』の記憶もよみがえり、いろんな誤差に揺さぶられているようだ。 えっ、ラスト、こんなんだったっけ?!、と衝撃で打ちのめされてしまった。
 あぁ、最近忘れてたけど、この理不尽な後味の悪さがスティーヴン・キングなんだよ。
 この映画ではいろんな場所を移動する、ちょっとロードムービー的な要素があるので、映画『シャイニング』の全編にわたる緊張感はない。 でも上映時間は152分あったけど、そこまで長いとは感じなかったかなぁ。 むしろ話を端折りすぎてて駆け足に思えたけど、『ドクター・スリープ』の原作を読んでいない、映画『シャイニング』しか観ていないという人には受け入れてもらえるだろうかと心配になった。

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2019年11月26日

アイリッシュマン/THE IRISHMAN

 シネ・リーブル神戸にて一週間限定上映だったが、「好評につきもう一週間延長」とのこと、だったら観に行ける! 11月27日からNETFLIXで配信開始だが、あたしは加入していないので・・・。

  アイリッシュマンP.jpg I Heard You Paint Houses

 1950年代〜70年代のアメリカ、伝説の殺し屋フランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)の回想録。 退役軍人として帰還後、ドライバーとして働いていたがひょんなことからシチリア系マフィアのボス、ラッセル・ブファリーノ(ジョー・ペシ)と出会って、全米トラック組合会長として有名かつ多大な権力を持つジミー・ホッファ(アル・パチーノ)と親しくなり・・・アメリカ裏社会をフランク視点で描く。
 施設で孤独な老後を送るフランクを現在(2000年代)として、フランクと妻、ラッセルとその妻の4人で結婚式に車で向かう70年代と、フランクとラッセルが出会う50年代と三つの時間軸が存在し、それぞれが経過していくことでいろいろなことがわかっていく、まさにクロニクル。
 具体的に年号などは出てこなくても、顔でその時期だとわかるのは、CGで顔を若返らせたり老け込ませたりしているからだ!

  アイリッシュマン1.jpg アル・パチーノが出てくるのが結構中盤。
 「あ、マフィア映画、あたしそんなに好きではないのだわ」と思い出すも、もう遅い。 フランクのお仕事は淡々と進み、ショッキング描写は控えめなれど(PG−12です)、役者のみなさんの醸し出す空気感にはたっぷりと時間をとる。 通りすがりのように登場する裏社会のみなさんは、字幕テロップで人生を端的に表示される(大概の方はひどい死に方をしている)けど、これってある意味アメリカの歴史上の人物なのか。
 大筋はあるのだけれどそこに至るためには長い説明が必要で、絶対省略はできないという気合を感じる。 勿論、その間も退屈させない技法が大量投入されているのだが・・・上映時間約3時間半は肉体的な疲労が。 しかしネット配信でこの映画をきちんと観られたかどうか自信はないので(途中で止めて戻れないかも)、映画館で見られてよかったと思う。 とはいえ観客のみなさんも、最後はかなりおつかれだった・・・。
 出ずっぱりデニーロはさすがだし、小者ではないジョー・ペシがすごく新鮮、パワフルすぎるアル・パチーノがデニーロより背が低いことに終始違和感、出番は多くないけどハーヴェイ・カイテルの存在感半端なく、フランクの娘は4人いるのに一人だけフォーカスされるアンナ・パキンに何か起こるのではないかとずっとドキドキしていた。 なんとも贅沢な作品で。
 「アメコミ原作は映画ではない」的な発言をしながらも同様の技術を使い、NETFLIX配信にゴーを出す(最初はそのつもりではなかったようだが、パラマウントが降りて資金を出すといったのがNETFLIXだった)、スコセッシの矜持としたたかさは面白い。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月20日

レディ・マエストロ/THE CONDUCTOR

 女性指揮者という職業を初めて成立させた人をモデルにした伝記映画と聞いて、「それは素敵だ!」と盛り上がる。 オーケストラの奏でる音楽もいっぱい聴けそうだし、いいじゃないですか。

  レディ・マエストロP.jpg 奏でよう、私だけのシンフォニー。

 ニューヨーク、1926年。 音楽ホールの案内係として働いているウィリー(のちのアントニア・ブリコ/クリスタン・デ・ブーラン)は指揮者になりたくてこっそり勉強をしているが、世の中は「女性に指揮者なんて無理、不可能」という空気だった。 様々な試練が彼女を襲うが、ついにベルリンで彼女に指揮を教えてくれるカール・ムック(リチャード・サンメル)と出会い、指揮者への道を歩み始めるが・・・という話。
 時系列をいじることなく主人公の若い時から始めるので(子供時代は回想になるが)、なんとなくNHKの朝ドラっぽい雰囲気がある。 むしろ、朝ドラのように時間をかけてほしかったかも・・・かなり駆け足になっていることは否めない。

  レディ・マエストロ3.jpg 楽譜にはみっちりと書き込みがされていて、彼女の熱心さがわかる。
 現代視点で観ているせいもあるのだが、出てくる人がほぼ頭が固い・偏見に満ちた考えばかりで・・・なんかもう絶望的な気持ちに。 立場がまったく違うが、母親と呼ばれる二人の人物はお金の話しかしないし。 アメリカってヨーロッパに比べるとかなり保守的だと実感する(ピューリタニズムってやつ?)。 「女は結婚し、子供を持つ以外に幸せはない」みたいな感じ、ほんとに息苦しい。

  レディ・マエストロ4.jpg しかし恋には落ちてしまう。
 運命的な出会いを果たしたフランク(ベンジャミン・ウェインライト)は旧家のおぼっちゃまであるという王道の展開なのだが、フランクがアントニアを好きになる気持ちはわかるが、アントニアが彼を好きになる気持ちがいまいちわからない・・・アントニアの中に恋にあこがれる部分があったということなのかなぁ。 指揮者として世界を相手にしたい人が妻には家庭に入ってほしい人を好きになるのか? まぁ、理性では割り切れないのが恋愛というものではあるのですが。

  レディ・マエストロ5.jpg ベルリンにて。
 どこに行っても男社会の様子が描かれますが・・・このあたりの描写は難しいとは思うものの、表面的だと面白くないし、しっかり描きすぎるとつらいし、バランスが難しい! もっとオーケストラとの衝突と和解みたいなものが見たかったけど、それは後半部分とかぶるからかなぁ。 カール・ムック先生の人間味は素晴らしかった。

  レディ・マエストロ1.jpg そしてロビン最高!
 家を追い出されたアントニアと出会い、その後もずっと友人として支えてきたロビン(スコット・ターナー・スコフィールド)の存在が素晴らしく、この人がいなかったら映画として成立しなかったのではと思えるほど。 なんか泣いちゃったし。 実話ベースということだが、ロビンはどこまで事実なのだろう、ロビンを主役にしたほうがよかったのでは。
 ロビン役のスコット・ターナー・スコフィールド、若い頃のジェイムズ・スペイダーをやわらかくした感じで、彼を見ているとなんだかニヤニヤしてしまった。

  レディ・マエストロ2.jpg 期待の音楽は・・・。
 いろんな曲が使われていたものの、これぞ!、というものはなく・・・アントニアの指揮者ぶりもすごさを感じさせてはもらえなかった。 物語上の脚色よりも、音楽上の演出に力を入れてくれればもっと感動できたのではないか、という気がする。 こんなにすごいのに認められないのはおかしい!、と声高に言ってくれたほうがよかった。 そうすればエンディングに示された事実ももっと胸に迫っただろうに。
 オランダ映画だがあまり尖った感じがなく・・・そういう意味でも朝ドラだった。

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