2021年02月19日

ヤクザと家族 The Family

 あぁ、今のシネコン、日本映画しかない感じ・・・さみしい。
 タイトルに『ヤクザ』っていれちゃうあえての工夫のなさを微妙に思いつつ、「磯村勇人が出てるわ〜」というのを最後の一押しにして観に行った。

  ヤクザと家族P2.jpgヤクザと家族P3.jpg 父も母もいないけど、私には《家族》がいました。

 1999年、父親の自殺は覚醒剤を買う金がなくなったからだと刑事(岩松了)から聞かされた山本賢治(綾野剛)はヤクを売買していたやつらを急襲、だがその報復を浴びる。 その前にたまたま柴咲組組長・柴咲博(舘ひろし)を命拾いさせたことがあって、山本は柴崎に助けられる。 2005年、勢いのある若いものとして柴咲組で活躍する山本だが・・・。 90−2000−10年代、ある地方都市での移り変わりの記録。
 『新聞記者』の藤井道人監督の新作がヤクザ映画とは意外、と思っていたけれど、やっぱりテイストは社会派であった。 ドキュメンタリー的ショットがよくて、ドラマ要素が強い場面では過剰さも感じたけど。

  ヤクザと家族1.jpg <THE 綾野剛>という映画。
 親へのマイナス要素を抱えた不良から居場所を求めてヤクザとなって生きていく山本の存在感と説得力、「こんなやついねーよ」とならないのでこの映画のすべてが嘘っぽくない。 あぁ、こういう人、いる・・・それぞれの生きづらさを抱えている・・・と登場人物みなさんのことを考える。 舘ひろしは出番はあまり多くないが、要所を引き締めるよ(2019年での登場の弱々しさも息をのむ)。
 オープニングクレジットが『仁義なき戦い』などを思わせるものだったけど、ヤクザ映画的な要素ってそこぐらいかも。 でも観終わってみれば『ヤクザと家族』以外のタイトルがないと気づかされる。
 しかもある種のハードボイルド物語のように、もうひとりの主役はこの町だという。 海がすぐそばにある生活、もくもくと煙を上げる巨大な煙突(町の主力産業なのか? 黒かった煙が白くなり、煙突自体も新しくきれいになっていく様が時代の変化――環境汚染を許さない時代・社会悪も許さない時代への比喩となる)、この町はいったいどこなのか気になるのだ。 具体名は出ないけど、静岡あたり?

  ヤクザと家族2.jpg 北村有起哉は柴咲組の若頭、この人の本心の見えなさが弱さであるとわかったときの悲しさ・・・。
 暴力団対策法制定後の世の中の動き、変わっていく時代、排除されていくヤクザ、という流れがね・・・やりきれないのよ(勿論、ヤクザを美化するようなことはない)。 ただどんな立場であろうとも、利用する側とされる側というものがあり。
 で、いい役者が沢山出ている中、市原隼人がすごくよくて! 役柄もおいしいのだがそうしたのも彼の力量だよね!
 世の中の不条理が山程炙り出されててつらいのだが、「あぁ、この人、やっぱりうまいなぁ」という楽しみも同時にあって、打ちのめされなくてすんだ。 でも、弱っている人をさらに追い込む道具としてインターネットが出てくるのはつらかった・・・(ネットの噂・炎上で仕事を追われるのはどうなんだ!、と思うが、この映画のテーマ上、そこを深追いするのは違うと理解はできる)。

  ヤクザと家族3.jpg ここで不意に涙腺決壊。
 磯村勇人、身体つくってるな、すごいな!、と登場から感じましたが、彼が演じた翼の受け止め方に胸打たれ。 泣くつもりは一切なかったのに、やられたよ。
 様々な“負の連鎖”を断ち切るには結局それしかないのだ、という提示には同意だけれど、やっぱりその方法しかないのかという悲しさにあふれる。 そうわかっているのに、なんでみんなできないのだろう・・・言葉は気持ちをすべて伝えるものではないからだ。 そもそも経済的な格差があるから・・・あぁ。
 いろいろ考えずにはいられない。

posted by かしこん at 23:59| 兵庫 ☁| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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