2021年02月06日

フォックス家の殺人【新訳版】/エラリイ・クイーン

 2月中旬に『十日間の不思議』の新訳版が出るというので、その前にライツヴィルものの新訳を読んでおこうと思った。 『十日間の不思議』をベストの状態で楽しみたい!
 といっても旧訳版を読んだのは多分二十年以上前である。 というか、確かに読んだよね? 読んだつもりになってるだけじゃないよね?

  フォックス家の殺人【新訳版】.jpg “The Murderer Is A Fox” キツネそのものは出てきません。
 人口一万人ほどの小都市・ライツヴィルに戦争の英雄デイヴィー・フォックスが帰ってきた。 妻リンダとの生活に戻りたいが、トラウマが彼を苦しめる。 その原因は戦争ではなく(戦争が傷を呼び戻すきっかけになっているが)、デイヴィーの父ベイヤードが母親を毒殺して投獄されていることだった。 デイヴィーを治すにはベイヤードの無実を証明するしかない。 リンダに依頼されたエラリイ・クイーンは十二年前の毒殺事件の再調査を引き受ける。

 『災厄の町』に引き続き、架空の町ライツヴィルを舞台にした二作目。
 冒頭、デイヴィーの到着を待つ町の人々として多くの名前が挙がり、「あれ、なんか見覚えがある」と思うのだが読んだことがある記憶がさっぱり出てこず、「やっぱりこれ読んでなかったか?」と冷や汗が出るのだが、第一部の二節の終わりで「あ、これ読んだことあるよ!」と確信が。 でも細かいところは覚えていないのだった・・・おかげで楽しめました。
 エラリイが父親であるクイーン警視の口添えがあるとはいえ、刑務所で服役中のベイヤードを「調査に立ち会わせたいからライツヴィルに連れて来てくれ」と電話一本で用を済ませちゃうところは「時代だな、今は無理だよ」だけど、トラウマに苦しむデイヴィーとその家族の描写は古さを感じない。 あと、田舎町の住民の距離感ね。 時代を越えて残る作品はやはり人間の本質を描いているからなのね!、と思う反面、人間ってそう簡単に変わらないものなのかと突きつけられるよ。
 事件は十二年前のものだけなので地味ではあるけど(新たなる殺人は起こらない)、パズラーには終わらない文学性で最後まで読ませます!
 「こ、こんなに後味悪かったか!」とイヤミスも真っ青なラストに、自分の成長を感じました。 この意味、かつてのあたしは重みを実感してなかったかも・・・。 それも新訳のおかげですかね。
 『十日間の不思議』のあとは『ダブル・ダブル』も予定されているそうなので、クイーン中・後期の長編も全部新訳で読めるのかしら!
 わー、楽しみ!

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 20:00| 兵庫 ☀| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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