長めの本を続けて読んでいると、やっぱり合間に薄めの本を読みたくなる。 短編集でもいいんだけど、一冊として薄い本のほうがカバンに入れて持ち歩きやすくなるから。 で、薄い本の山からすっと取ったのがこれだった。
ジェイクと<わたし>は最近付き合い始めた。 これから彼の両親が住む農場に挨拶をしにいくところ。 けれど<わたし>は、ふたりの関係を終わりにしたいと考えていた。 でもなかなか打ち明けられないまま、車は目的地が近づく・・・。
不穏、とにかく不穏!
<わたし>の一人称で進みつつ、合間にはよくわからない人たちの会話(これも不穏に満ちている)。
まさかこんな方向に不穏になるとは・・・。
そして<わたし>は終始、とまどっている。 終わりにしようと思っているのに言い出せないし、とにかく<わたし>にはわからないことだらけ。 文章はセンテンスが短くてすごく読みやすいんだけど、内容はさっぱり不明というか・・・具体的な描写はあるけどストーリー的な具体性はあえて避けられている。 でも不穏な空気感で一気読み(というか、一気読みしないと行間の仕掛け的なものを忘れてしまう)。
スリラーとしてはかなり禁じ手なんだけど、これはスリラーというよりは現代文学なんじゃないだろうか。 エンタメ的なものを期待すると肩透かしにあうかも。 哲学的な会話はキライじゃないけど、ここまで通じ合わないのは面白いよ。 ストーリーではなく会話や言葉の流れを楽しむものなのかしら。
チャーリー・カウフマンがNETFLIXで映像化とのことですが・・・「えっ、これ、映像化できるの?!」と読後あらためて思う。 大胆にアレンジして更に予想外の不穏を描き出してくれるのか。 でもNETFLIXだから観られるかどうか・・・。