2020年11月05日

博士と狂人/THE PROFESSOR AND THE MADMAN

 メル・ギブソンとショーン・ペン共演だなんて珍しい。 しかもオックスフォード大辞典にかかわる話なんて、そういうのにはイギリスの舞台俳優さんがわんさか出演するはずでしょ!

  博士と狂人P.jpg 歴史はこの2人から始まった――。
  孤高の学者と、呪われた殺人犯。世界最大の英語辞典誕生に隠された、真実の物語。

 1879年、アメリカから療養目的でイギリスに滞在していた元外科医ウィリアム・チェスター・マイナー(ショーン・ペン)はずっと自分をつけ狙ってきた男をロンドンの路上で射殺するが、人違いだった。 殺人の罪で裁判にかけられるも、心神喪失年で無罪となり精神病院に送られる。
 同じ頃、スコットランド人の学者ジェームズ・マレー(メル・ギブソン)は遅々として進まないオックスフォード英語大辞典:OEDの編集委員たちから新たな主幹になるための面接を受けていた。 マレーは生活のために大学にはいかず学士号も持たないが、独学で確かな知識を身につけた人物だと委員の一人であるファーニヴァル卿(スティーヴ・クーガン)に強く推薦されていた。
 そんな二人が、世界最大の英語辞典の編纂作業を通じて盟友となっていく・・・。

  博士と狂人3.jpg 編纂作業は紙との格闘。
 OEDってもっと古くからあると思ってた! いや、19世紀末だしヴィクトリア朝だし昔は昔なんだけど・・・辞典という概念自体が比較的新しいものなんだ、という驚き! あとイングランド人とスコットランド人の「同胞じゃない感」とかね。
 編纂作業をしているマレーの助手がヨアン・グリフィズだったのにはびっくり。 個人的に好きな俳優さんですでうれしいですが、特に見せ場もない役なのに、なんで出ているのか・・・「イギリスの舞台俳優がわんさか出演」の気配は正解だったけど。

  博士と狂人1.jpg 重要な二人の会話はベンチで(『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』を思い出す)。
 言葉にかかわる物語だから、ということもあるし時代的なものもあるだろうけれど、こんなにも台詞や単語が綴りで頭の中に浮かんでくる映画はなかった。 『華麗なるギャツビー』(2012年)よりも上! 受験英語はこの時代の言葉だったんだな〜、しみじみ。
 メル・ギブソンは顔からアクションスターだった気配は消えてないんだけど、マレーは学究肌というより労働もする学者だからこれはこれでいいのだろうか。 話す言葉はクイーンズイングリッシュだったし。
 一方のショーン・ペンはアメリカ人という設定なので違和感はなく、彼の精神的な病も南北戦争のトラウマだと現代の感覚だと理解できるケース。 勿論、人違いで殺された家族には許せないことだけど・・・このあたりの展開はなんだか現代の解釈っぽい(映画独自の脚色ではないか)。 ベースは事実なんだろうけど、結構脚色が多いのではないか、という気がしてきた。

  博士と狂人2.jpg エディ・マーサンがめっちゃおいしい役どころ!
 精神病院で看守のような役割をしているマンシーとして、ほぼ無表情なのに人間味があふれ出るエディ・マーサン、もうけ役! もはやズルい! 彼がいるから実験対象のようになっているマイナーのつらい姿も見てられるのですよ。 未亡人イライザ(ナタリー・ドーマー)はマレー夫人(ジェニファー・イーリー)とともに数少ない女性像を複雑に体現。 電話やメールが日常にない時代の手紙やメモの重要性!

  博士と狂人4.jpg ベストやタイの生地が光っているスティーヴ・クーガンの伊達男っぷりも楽しい。
 後半はマイナーにマレーたちが何をするかに重点が置かれ、辞典編纂についてはお留守になっていたところはあるが・・・エンディングで映し出された実際の登場人物たちの写真を見せられると、事実の重みよ。 途中、中だるみもないことはなかったけど、終盤の数カットで何十年もの時間を経過したことを伝えるなど目を見張る描写もあった。 やっぱり役者の層の厚みね!
 あたしは十分に引き込まれましたし、盛り上がりました。

posted by かしこん at 02:56| 兵庫 ☀| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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