2020年11月02日

罪と祈り/貫井徳郎

 スカイツリーがなんだか寂しそうな表紙につられ、図書館で借りてみたはいいものの・・・あたしって貫井徳郎、いまいち合わない感じじゃなかったかな。 そんなにたくさん読んではいないんだけど、普通に読めたのは『鬼流殺生祭』ぐらい、『愚行録』は途中で止まったままで(映画がよくできてたからそれでいいかなと思ってしまったせいもある)、<症候群シリーズ>は完結編たる三作目まで行ったけどこれまた読み通してない。 なんでだろ、文章が合わないとか?

  貫井徳郎 罪と祈り.jpg もう一つの主役は西浅草という下町。
 隅田川で遺体が発見された。 はじめは事故と思われたが、頭部に打撲痕があったことから殺人と判断。 また、遺体は元警察官の辰司だった。 辰司の息子・亮輔の幼馴染の賢剛は辰司に憧れて警察官になっていた。 刑事として事件を追う賢剛、父の本当の姿を知りたいと亮輔は個人的に調査を開始する・・・。

 第一部から奇数部は亮輔と賢剛の視点で現在を、第二部から偶数部は30年程前のそれぞれの父親、辰司と智士の視点で。
 第一部は人物関係がよくわからないこともあってか、文章が全然入ってこない。 短いセンテンスの積み重ねが読んでいるリズムをぶち切られているようで。 あとこれはあたしだけかもしれないが、亮輔と賢剛という名になじみがないため(頭の中では音で読んでいないので、漢字の字面しか見ていない)、どっちも画数多くて四角いイメージだから、「あれ?、どっちがどっち? どっちが刑事でどっちが息子?」と読んでて混乱した。
 第二部以降の辰司と智士のほうがわかりやすくて、あぁ、やっと文章の波に乗れてきた、と感じたのは第四部ぐらいから。 でもそれまでにはある程度の手がかりというかヒントがちりばめられているので、「これって、<症候群シリーズ>と根底は同じじゃない?」などと思ってしまった。 ミステリとしての意外性はない。 でもつい泣いちゃうほどのつらさもない。 ひとつの決断によって、結果的にすべて悪い方向に転がってしまう・・・運命論者としたらどうしようもなく後味が悪いですが(帯には「貫井徳郎史上、最も切なく悲しい事件」と書かれている)、なんかもうそれだけしか選択肢がなかった・どう頑張ってもこれ以外の道はなかった、という必然性がない感じがするので(成長した息子たちは「愚かだ」と考えてしまうほど)、やりきれなさの前に「他に手があっただろう」と冷静に突っ込んでしまうというか、彼らに共感しきれなかったというか。 他の登場人物にも、感情移入したくなる人がいなかった。
 だから辰司や智士、亮輔と賢剛の背負ったものが他人事に思えてしまって・・・“祈り”について触れる終幕が唐突に感じられてしまった。
 友情モノ、大好きなんですが・・・あたしの思う友情とは少し違っているのかも。 まぁでも、全部読み通せたからよかったよ。
 昭和の終わりの自粛ムード時には職場の蛍光灯も半分外していた(室内が煌々と明るいのは不敬なの?)、というのは「東京、大変だったんだなぁ」と思わずにはいられなかったけど。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 04:11| 兵庫 ☁| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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