2020年07月18日

透明人間/THE INVISIBLE MAN

 リー・ワネルが『透明人間』を撮る!
 『SAW』、『インシディアス』とソリッドシチュエーションの中、ミステリ的に正しい脚本を書いてきた人物が『透明人間』を。 ニヤニヤしちゃうわ〜。 すごい楽しみ! ワクワクして映画館に出かける。

  透明人間P.jpg 見えるのは、殺意だけ。

 セシリア(エリザベス・モス)は天才的な科学者で大富豪のエイドリアン(オリヴァー・ジャクソン=コーエン)の豪邸で同居しているが、彼のDVや支配に苦しんでいて、ある日、ついに家を出る計画を実行する。 妹のエミリー(ハリエット・ダイアー)の手を借り、幼なじみのジェームズ(オルディス・ホッジ)の家に身を隠すが、エイドリアンの気配を感じるなどのトラウマに苦しめられる。 
 その後、エイドリアンの兄で弁護士で財産管理人のトム(マイケル・ドーマン)からセシリアに手紙が届く エイドリアンはセシリアに拒絶されたことで自殺し、彼女に莫大な遺産が残されたというが・・・という話。

  透明人間2.jpg 冒頭から、セシリアの圧迫・恐怖感がただ事ではない。
 断崖絶壁に建つ大豪邸から逃げることがどれだけ大変なのかを説明ではなく映像で見せる感じがよい。 ちょっとずつ豪邸具合や警備の仕組み(それはそのままセシリアの逃亡の邪魔になる)、エイドリアンの偏執度合いもわかってきて、逃げようとする彼女を全力で応援したくなる。 エリザベス・モスというキャスティングが絶妙! 彼女の身体の厚みって存在としてすごくリアルを感じさせる上、とにかく魅力的。

  透明人間1.jpg こういうシーンはお約束なのか。
 エイドリアンの専門が光学だとわかるところで「透明人間ってそういう仕組みか」ともわかってニヤリとするわけですが・・・具体的な説明はないんだけど(ま、できないけど)、最小限の描写で最後まで突っ走っちゃうところが好き。 勿論、伏線はきっちり引いてあるのでネタ割れはしてしまうんですが、それはあたしがリー・ワネル的なやり方に慣れてしまっているせいかもしれない(好みが似ているからですかね)。

  透明人間3.jpg それでもハラハラします。
 音楽で驚かす系のところもあるんだけど・・・例えばドアが開いて、誰かが触ったかのようにチェーンがぶらぶらと揺れるシーン、勝手に開くドアは『インシディアス』では幽霊か悪霊によって引き起こされたとして描かれたけど、それがここでは「人間のせい」なんだよなぁ! 「なによりも、恐ろしいのは人間」っていうのを実感するわ。

  透明人間4.jpg そしてサヴァイヴァーの物語でもある。
 勿論、荒唐無稽ともいえる場面はありますが、それも含めての『透明人間』。 本質的なところではH・G・ウェルズの原作をきっちり踏襲している気がする! 子供の頃、福島正実訳の『透明人間』を何十回と読んだあたしはそう思いました!
 とはいえ、快哉を叫ぶためには「目には目を」的な概念から抜け出せないのか・・・という気持ちもあり。 ポリコレ的目くばせがしてあるからこそ、憎しみの連鎖から抜け出せない根深さに戦慄する。

posted by かしこん at 17:27| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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