図書館からまた借りてみた。 これもわりと新しめの作品で、短編集。 あまりの薄さにビビってしまった(300ページないくらい)。 薄い本ってなんだか不安になる・・・普段、500ページ以上ある翻訳ものばかり読んでいるから。 これまた、すぐに読めてしまいましたよ。
「ドライブ・マイ・カー」・「イエスタデイ」・「独立器官」・「シェエラザード」・「木野」・「女のいない男たち」。
はじめの三つはシンプルでわかりやすい(「イエスタデイ」と「独立器官」は語り手が同じ人だし)。
「シェエラザード」からちょっとあやしげな雰囲気になり(SFまで行かないが、幻想的な要素あり)、「木野」に至っては自分にしか見えない蛇が出てきますからね。
でもエピソードとしての面白さやリアルさは短編のほうが引き立つのかも。 長編だとその部分だけ目立って全体と調和しないような気になるから(『ノルウェイの森』では先輩がナメクジを食べるところと、ピアノ教師のエピソードが強烈すぎて、ストーリーが思い出せない)。
出てくるのはみな、愛する女性を失ったか失いつつある男性。 その喪失感が及ぼす破壊性みたいなもの。
でも、なんとなくタイトルからは「ずっと女性に縁がなく、コミュニケーション不全気味の男性」という印象もあったので、愛する相手ではなくとも関係を持てる女性のいるリア充の話ってことで一部から批判を受けてるのかな、という気がした。
ラベル:国内文学