2020年07月09日

弁護士ダニエル・ローリンズ/ヴィクター・メソス

 「これは早めに読みたいぞ」という本はいつでも持ち出せるようにカバーをかけ、所定の場所に置かれる。 が、それは常に一冊ではないので・・・しかもカバーをかけたせいで何の本かわからなくなる・・・その他のタイミングの差し込みがあったりして、「早めに読みたいぞ」と思っていても流れに紛れてしまうことも多々。 そんな中で、今回は比較的早く読めたほう。

  弁護士ダニエル・ローリンズ.jpg 表紙絵:杉田比呂美
 へらず口系キャラの登場が期待されるイラスト。

 アメリカユタ州ソルトレイク・シティ郊外のフーヴァー郡は全米でも治安のいい地域であるユタ州の中で、何故か犯罪件数が多い。 そこで働く刑事弁護士のダニエル・ローリンズは、犯罪行為をしたとされる被疑者を守る立場。 犯罪者の方を持つのかと言われたり、依頼人からは感謝されないこともあるし、弁護料は高くない。 しかしダニエルは酔いどれでバツイチ、でも元夫には未練たらたらでストーカーの自覚あり。 そんなある日、麻薬密売容疑をかけられた17歳少年の弁護につくと、少年テディには知的障害があり麻薬の売買なんて無理。 誰かに利用されたのは明白だし、未成年だし不起訴処分に持ち込めると思ったのに、検察も判事もテディを成人として裁くという。 いったい何故?

 ダニエルが語り手の<わたし>。 すっごく面白い。 飲んだくれだし、軽口が行き過ぎてヤバいことを口走っていたりするし、捨て身のユーモアを忘れないスタイルは読者から見て大変魅力的。 理想に生きているわけじゃないし、現実に立脚して最善を尽くすのは、小さな町の弁護士としてできるせいいっぱい。 元夫が再婚するのでさらに酒量も増えてプライベートも荒れまくり・・・と、魅力的なんだけど「人としてそれはどうよ・・・」な場面も多々。 彼女の生い立ちもかかわってくることですが。
 文章のリズムがとてもいい。 これは原文のせいか、日本語訳のせい? 訳者の関麻衣子さん、読むの初めてだと思うけど、すごくうまいのでは?
 そんなユーモアあふれるハードボイルドテイストは、後半一気にヘヴィなトーンに。
 BlackLivesMatterがここにも・・・。
 あぁ、やはり法律は正義ではない。
 著者あとがきには「法制度は力のない弱者を叩きつぶすために作られている」と書いてあるよ・・・。
 一応、エンディングは希望がある。 シリーズ化するのかな?、と期待したい。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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