2020年06月21日

ルース・エドガー/LUCE

 予告を観たのは臨時休館前のこと。 サイコサスペンスっぽいテイストだった。 でも“BLACK LIVES MATTER”の流れ後ではただのサイコサスペンスだとヤバくない? 勿論、それは日本での宣伝のためであって、実際は“BLACK LIVES MATTER”の複雑さの一端を伝えてくれるものだった。

  ルース・エドガーP.jpg あなたは人間の本性を見抜けるか――。
  誰からも称賛される17歳の高校生ルース。彼は“完璧な優等生”か、それとも“恐ろしい怪物”なのか――。

 バージニア州アーリントンの高校に通う17歳のルース(ケルヴィン・ハリソン・Jr)は陸上部でのエースであり、成績優秀者としても一目置かれる存在。 が、ある日ルースは提出したレポートのことで歴史教師ウィルソン(オクタヴィア・スペンサー)に呼び止められる。 ルースの考え方に危険な何かを感じたウィルソンは、ルースの養父母ピーター(ティム・ロス)とエイミー(ナオミ・ワッツ)に懸念を告げるが・・・という話。
 これには実力派有名キャストが必要だった。

  ルース・エドガー1.jpg オクタヴィア・スペンサーうますぎる。
 ルースだけじゃなく、登場人物全員がなんらかの隠したいことを持っている・・・本心を誰も語らない・・・ので観客としてはもやっと感が半端ない。 なんですか、これって<『羅生門』スタイル>ってやつですか。
 個人の内面にもっとフォーカスはしないんですか!、と思っちゃうけど、もともとは戯曲だそうで、舞台だったらこのわからなさも受け入れられるかも。 いや、なんとなく「そうなのかな」とは推測できるんだけど、確信は得られない感じ。

  ルース・エドガー2.jpg 豪華キャストなのに妙にリアル感のある配役。
 こういう家族、アメリカにいそう・・・という感じがすごくする。
 ルースは黒人、両親は白人ということで養子だということはすぐわかりますが、「養子」というだけじゃない苦悩(黒人としてのアイデンティティ、白人の裕福な両親の期待に応えるなど)が日本人にはちょっとわかりにくい。 『This Is Us』のときも思ったことだけど。 養父母側としても「救ってあげたのだから守らなくては」という意識が強いというか(特に母親)、「親とはどうあるべき存在なのか」を観客は突きつけられているようだ。 よかれと思っての言動がちょっと無神経な養父、ティム・ロスぴったり。

  ルース・エドガー3.jpg 「社会に認められる黒人であるために」振舞うウィルソンの背景がつらい。 これが黒人に対する社会的抑圧なのね。
 でもこれは多くの人が「大人として、子供や若者にはわきまえていてほしい」と感じてしまうことと一緒でもあるんだよな・・・。 それと、女性専用車にぼやっと乗ってきてしまう男性を見たとき「この人、まわり見てないんだな」という残念な気持ちがして、更に「あぁ、この人はまわりを見ずに(見られることを意識せずに)生きてこれたんだな」と感じてしまうというか・・・あたしは乗った車両の客がほぼ男性だったらたじろいで降りてしまうタイプだ。 これもまた女性に対する社会的な抑圧が存在してるからだ。 でもルースが結果的に利用したクラスメイトはアジア系・・・なにこの人種間の闇。 抑圧、多すぎ!

  ルース・エドガー4.jpg “完璧な優等生”としてスピーチ。
 「ルース」とは黒人らしくない名前なのだそうな。 彼の本名を養父母は発音できなかったので、名付け直したということらしい。 アイデンティティを追求したら、そもそものはじめからボタンがかけ違えられているということに。 でも彼はアメリカ社会で生きていくことになるのだから生きやすいようにとの気遣いだったわけで。
 個人の復讐には社会を変える力はないということなのか、なんだかもう考え込みすぎる・・・。

posted by かしこん at 16:15| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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