2020年05月30日

レ・ミゼラブル/LES MISERABLES

 「もうひとつの『レ・ミゼラブル』」、“レミゼ”じゃないレミゼ、と話題、「『パラサイト 半地下の家族』がなければこれが本命だった」という前評判の高さにもつられ、でも救いがなさそうなんだよな・・・と覚悟して。

  レミゼラブルP.jpg “悲劇”は終わらない この街は今も燃えている

 フランス、パリ郊外の街モンフェルメイユはヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』の舞台として知られているが、治安の悪い地域でもあった。 他の街から異動してきたステファン(ダミアン・ボール)は、クリス(アレクシ・マナンティ)、グワダ(ジブリル・ゾンガ)がいる犯罪防止班(BAC)に加入する。 様々なグループが対立しあい、町は常に一触即発。 特にイッサ(イッサ・ペリカ)という少年のいるグループは子供たちだけに後先を考えずに厄介なことをしでかす。 ある日、サーカス団から「ライオンの子供が盗まれた」と通報があり・・・という話。
 かなりドキュメンタリータッチ。 現実のパリ郊外暴動や監督自身の経験をもとにつくられたそうで・・・フランス、大丈夫か? いや、この世界、大丈夫か?、という気持ちになる。 いや、大丈夫じゃない。

  レミゼラブル3.jpg BACの三人。
 ステファン(青いチェックのシャツの人)は新参者なので、観客は彼の視点で映画を観ることになるわけだが・・・先輩二人の横暴ぶりにげんなり。 しかしこの街の警官でいるためにそういう道を行くしかない的な不器用さ(もしくは臆病さ)のせいであることが次第にわかってきて・・・だからって同情もできないんだけど。
 いや、同情というのはちょっと違うか。 出てくる人たちみんなどこか強引で、話が通じなくて、弱いものであってもどこかちゃっかりしてて、生物としての本能に忠実な感じがする。 つまり、みんな自分のことで精いっぱい。

  レミゼラブル5.jpg ピリピリと、それぞれの立場で警戒・信用していない。
 組織とかではなく、個人の警官として頼りにならないどころか「悪徳警官」にしか見えない・・・。
 いったい、住民はこの町に住んでいて気が休まる時はあるのだろうか。 移民とか、文化的慣習が違う人たちが初めから仲良くするのはむずかしいだろうけど、そもそもみんな頭ごなしなんだよね。 誰も信用しない、信じたものが負けを見るみたいな風土(?)。 やったもん勝ちみたいな、でも当然やられたらやり返すみたいな、弱肉強食の空気がこの街を覆っている。

  レミゼラブル4.jpg 子供たちのグループもかなりやらかしている。
 イッサに代表される子供たちは常に怒りを抱えている。 警官からはぼこぼこにされ、親にも匙を投げられ、共にいられるのは仲間だけだけど、その仲間も確実に一枚板とは言えない。 とんでもない悪ガキどもだが、彼らに正面から向かい合う大人もいない。
 「悪い草も人間もない。 育てる側が悪いのだ」というユゴーの言葉がずしんと響く。
 だとしても・・・そのラストシーンはあんまりだ。 ばっさり切られて、「へ、そこで終わり!」と放り出された。 どよーんと、落ち込む。
 民族・宗教的な対立要素が、いつしか「お仕置き(?)された子供たちの恨み」と「わかってくれない・わかる気がない大人たち」の対立になっていく・・・未来に救いはあるのか。
 子供たちはスラム街に住む本物かなぁ。 これを演技指導したならすごいよ。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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