2020年05月14日

怒り/ジグムント・ミウォシェフスキ

 「ほったらかしで読んでないシリーズもの、そろそろ読もう」大作戦の続きは、ポーランド。 <検察官テオドル・シャツキ>シリーズの三作目だが日本初訳。 シリーズ物は順番通り読みたいのはやまやまだが、よく知らない国が舞台の場合は違う順番でもいい場合もあるので(スウェーデンの<ヴァランダー警部>シリーズは、五作目の『目くらましの道』を読んでから一作目に遡ったおかげでハマった気もするし)、とりあえずこれから読んでみるか、という気になったのである。 実際は、一作目『もつれ』が見つからないからなんだけど・・・探してしまうと他の読みたいものも見つけてしまうので、まずはこれで手を打て!

  怒り1ポーランド.jpeg怒り2ポーランド.jpeg ポーランド語→英語訳からの日本語。
 2013年、冬。 ポーランド北部のオルシュティン市で白骨化した遺体が発見された。 現場に赴いたベテラン検察官のテオドル・シャツキは、ここがかつて地下の防空壕だったことから戦時中のドイツ人の遺体と考えた。 しかし検死の結果、被害者は二週間前には生きていたことがわかる。 こんな短期間で何故白骨に? 被害者の身元が判明するも、事件は奇妙な色合いを帯びてきて・・・という話。
 テイストはかなり北欧ミステリ(スウェーデン・デンマーク)に似ている。 同じヨーロッパでもフランスとは違うということか・・・しかし著者は「ポーランドのピエール・ルメートル」と呼ばれているそうな・・・ルメートルの特色はやはり「フランスっぽくない」ところなのかもしれない。 被害者の殺され方がなかなかえぐい!
 一筋縄ではいかない事件はもちろんのこと、読みどころはテオドル・シャッキというおじさんのキャラ。 「欧州一、ぼやく男」というコピーがついておりますが、これはぼやきなのかな? おじさんの思考がダダ洩れというのは面白いということなのかな。 頭の固い刑事たちが女性蔑視な発言をすると心底軽蔑するのに、自分でついそういう発言をしてしまって落ち込む姿は笑えるし、16歳の一人娘に振り回される姿はこういう仕事に没頭するあまりに家庭がうまくいかない主役にはありがち。 どれだけ仕事ができようとも人としての態度がよろしくないことの言い訳にはもうならない時代だし。
 そんなユーモアを散りばめつつも、事件のトーンは重い・・・この後味の悪さ、<ヴァランダー警部>よりも<刑事ファヴィアン・リスク>に近いかなぁ。
 下巻の帯に、「最後の一行、マジか。」、とあるのだけれど・・・いや、最後の一行ではならないんだけど・・・こういうラストなら、順番通りに一作目から読んでおけばよかった。 そうすればシャツキにもっと親しみを覚えられて、もっと衝撃を受けられたはずなのに。
 うむ、手間を惜しんではならぬ。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 18:36| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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