2020年05月12日

リウーを待ちながら/朱戸アオ

 カミュの『ペスト』がベストセラーリストに居座り始めた頃、『リウーを待ちながら』という作品もすごい、という噂を聞いた。
 しかし全三巻のそのマンガはベスセラーには載らない。 篠田節子の『夏の災厄』も、川端裕人の『エピデミック』も。 それらはもう紙媒体が絶版(品切れ・重版未定)だから、電子書籍でしか読めない。 本屋の平台に上がることがないから、情報はひっそりとしたものになる。
 普段から読んでいますが、引きこもり生活ではいつも以上に「マンガ読みたい!」気分が強まる気がする。
 そんなわけで、『リウーを待ちながら』、まとめ買い&一気読み。

  リウーを待ちながら1.jpgリウーを待ちながら2.jpgリウーを待ちながら3.jpg 
 富士山のふもとの横走市で、ペストが発生。 医療関係者、研究者、自衛隊・・・が一丸となってペストと戦うが、ペスト菌は途中で変異、新型ペストとなる。 横走市の新型ペスト・エピデミックの記録。

 タイトルはアルベール・カミュの『ペスト』の主要人物の一人・リウー医師と、サミュエル・ベケットの戯曲『ゴドーを待ちながら』から?
 描かれたのは2017年ぐらい? その当時の最新情報できっちり取材がされており、2020年5月に読んでもリアルなところ多々。 お役所仕事の不備は『夏の災厄』でも指摘されているけど、25年以上たっても変わっていない(むしろ劣化している)のがかなしい。
 また本作ではカミュの『ペスト』へのリスペクト・引用が目立ち、話の展開すらも『ペスト』に似てしまっている・・・『ペスト』において<疫病>は概念だが、本作では感染症としてのリアルさが描かれているのが現代風。 感染者・横走出身者への誹謗中傷が巻き起こるのも痛い・・・。
 2巻までのスリリング具合、盛り上がりはものすごく、それ故に3巻のしめくくりがあまりにそっけなく感じる・・・。
 時間の経過の省略、最低限の説明は文学性を高めるものの、マンガとしてはキャラへの思い入れを阻害されているようで。 いや、だらだら続けずに3巻でまとめたのはすごいんだけど、もう一巻分ぐらい読みたかった。
 もしCOVID-19の致死率が高かったら・・・こうなっていたかもしれないような、いやペストだからこうなったような。 あぁ、なんかもやもや。
 コニー・ウィリス『ドゥームズデイ・ブック』を読むかなぁ。

ラベル:電子書籍 マンガ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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