2020年04月05日

ジョン・F・ドノヴァンの死と生/THE DEATH AND LIFE OF JOHN F. DONOVAN

 グザヴィエ・ドラン最新作。 大作映画がどんどん公開延期になる中、予定通り公開されるのはうれしいんだが・・・微妙な気持ち。 実際、あたしが観に行った回は観客5人くらいでした。 レイトショー設定がなくなって、映画を観る時間を確保するのがむずかしい(実際に観たのは3月中旬)。

  ジョンFドノヴァンの死と生P1.jpg 僕を知るのは、世界でただ一人。君だけ――

 2006年のニューヨーク、11歳のルパート・ターナー(ジェイコブ・トレンブイ)は母サム(ナタリー・ポートマン)と朝のカフェで口げんかになった。 そんなとき、人気俳優のジョン・F・ドノヴァン(キット・ハリントン)が29歳で死去したというニュースが入る。
 2017年、政治ジャーナリストのオードリー(タンディ・ニュートン)は若い俳優が出した本について畑違いのインタビューをしろと言われる。 ルパート(ベン・シュネッツァー)は憧れの俳優ジョン・F・ドノヴァンとの関わりについて語り出す・・・という話。

  ジョンFドノヴァンの死と生1.jpg ジェイコブ・トレンブレイはいくつなんだ!
 かつてフレディ・ハイモアと神木隆之介がほぼ同世代で天才子役と呼ばれていたが(実際、フレディ・ハイモアの吹替を神木くんがしていた)、彼はそれと同じくらいのインパクトで成長してる。 日本では寺田心に当たるのだろうか。 とにかくかわいいんだけど、見捨てられたような、深く傷ついた心を目で表現される感じ、ぐうの音も出ない。
 彼が成長した姿がこの人なのか・・・と最初ちょっとがっかりしたが、話が進んでいくごとにがっかり度は薄まる。
 前作『たかが世界の終わり』と同様の豪華キャスティング、ジョンのマネージャーがキャシー・ベイツですよ! ドラン映画に出たがってる人は多いのか。 そして音楽、選曲のツボもはまった。 オープニングがアデルの“Rolling in the Deep”、エンディングはザ・ヴァーヴですよ、どんだけイギリス音楽が好きなのかな、と思っちゃう。

  ジョンFドノヴァンの死と生2.jpg 見たことある人だなぁ、と思ってたら、ジョン・スノウ(『ゲーム・オブ・スローンズ』)じゃないか。
 テレビドラマで一躍人気者となるジョン・F・ドノヴァン。 彼の人物像系は今となっては少し類型的にも思えるけど・・・それをキット・ハリントンは一人の人間として存在感を持って演じきった。 これからもいい役を演じ続けてくれるに違いない、確信するのに十分なほど。 またジョンの兄ジミーの存在がすごくいいんだよ! この兄弟の絆はすごくよくて、胸打たれました。
 ジョンもルパートもグザヴィエ・ドラン監督の一部なんだろうけど、自分の映画がすべて自伝的なものとして受け取られることに反発するかのようなセリフがあって、ちょっと笑ってしまった。 ベースは自分の経験でも、全部が実話なわけないじゃん。

  ジョンFドノヴァンの死と生3.jpg 描かれるのはまたしても<母>。
 ドラン作品において「母と息子の関係(愛憎)」は欠かせないものだけど・・・今回は母親が二人とも美しすぎる。 そして和解もわかりやすすぎる。 そんなにうまくいくはずないだろ、なんだけど、初めての英語作品で世界マーケットとなるとそうなってしまうのかしら(明らかに説明台詞もあったからな・・・)。
 とはいえ、実はミステリ仕立てのつくりであったことは予想外のヨロコビだった(ある意味、信頼できない語り手問題もはらむ)。 序盤からきっちり伏線は張られているけど、ラストでどんでん返しをする意図はなかったのかな? 途中、ジョンと家族の問題が濃すぎて。

  ジョンFドノヴァンの死と生4.jpg もうひとりの<母>。
 ジョンの母グレース(スーザン・サランドン)の強烈さが、苦しいほど。 『たかが世界の終わり』では空回りしちゃった部分がここに凝縮された感じ(やり直したのか?)。 個人の生きづらさの問題は世界の大きな出来事の前では取るに足らないものだと思われがちだが、比較対象にはならないのだという主張。 世界が大混乱に見舞われている時だからこそ、強く感じなければ。 だからって、感染拡大の危険より行動の自由を叫ぶのとは種類が違うよ。 感染した人を責めるのも違いますよ。
 オーバードーズでなくなるスターは悲しいことに多くいて、観る観客それぞれに自分のジョン・F・ドノヴァンをみてしまうけど(あたしは特にリバー・フェニックスとブラッド・レンフロ)、だからこそルパートに感情移入してしまい、エンディングに幸福をおぼえるのかも。
 そう、とても多幸感に包まれて、つい笑みが浮かんでしまう。

posted by かしこん at 16:35| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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