2020年03月03日

1917 命をかけた伝令/1917

 「全編ワンカット」というCM文句が独り歩きし、ほんとに全編がワンカットだと思っている人がいた・・・だけど観れば、全編ワンカットが無理な理由がわかる! 実際は平均4分〜8分のワンショット映像をデジタル技術でつないでいるらしい。
 でも、序盤は普通に始まるので一瞬ワンカット撮影方式だということを忘れたのだが・・・えっ、長いよ!、ほんとにこれ全部ワンカット?、つなぎ目がわからないよ! 違うとしたら塹壕のセットこんなに作ったの?!
 と、世界規模の映画の底力というか、レベル基準の高さを思い知る・・・。

  1917P1.jpg 走れ。

 第一次大戦中、1917年4月のフランス。 西部戦線で対峙する連合軍とドイツ軍。 ある日、地図の読めるイギリス兵ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)に極秘情報の伝令となるように命令が。 一昼夜でドイツ軍を追撃している部隊のトップであるマッケンジー大佐に前線突入という作戦中止を知らせること、間に合わなければブレイクの兄もいる何千人もの兵がドイツ軍に罠にかかり全滅する可能性がある、という。 一人では危険すぎるため、ブレイクが同行者として見込んだのが同じイギリス兵のスコフィールド(ジョージ・マッケイ)。 二人はバックアップなしに戦地を進み・・・という話。

  1917−3.jpg 簡易鉄条網、打ち棄てられた戦場のリアル。
 くすんだ空、泥地になった戦場跡には泥水の中に馬や兵士の死体が積み重なっている。 鉄線の棘に手をひっかけたスコフィールドの流れる血、傷ついた手を泥水に突っ込んでしまうけどそれどころではないパニック状態。 あぁ、破傷風にならないか、とドキドキする。 遺体にたかる蠅、走り去る大きな鼠。 こんな荒涼とした地にも鼠はいるのかと感心してしまうが・・・戦闘のあとの戦場とはこんな感じなのだろうな・・・とあきらめとともに受け入れる。 ブレイクとマッケンジーのように、あたしも二人と一緒に「来たことのない場所に来た」とおののくことに。

  1917−2.jpg 破壊され水没しかけている橋を渡る。
 全体的に沈んだ色調がメインであるため、時折トーンが明るくなるといいことが起こりそうな気がするが、それも長くは続かない。 ここはやはり、戦場だから。 いいことも悪いことも起こるけど、そもそも悪いところからのスタートだから本来ならば普通の出来事ですら、いいことに感じてしまう。

  1917−5.jpg マーク・ストロング!
 伝令はどんどん移動していくため、出会う人々もいろいろだ。 その中には「おおっ!」という豪華キャストもいてちょっとうれしい(でもすぐに気づけなくて、しばらくして「もしや」と思う。 最初に伝令となるように命令するのはコリン・ファースだが、エンドロールで名前を見るまで自信がなかった)。 みなさん暗がりだったり、薄汚れていたり、オーラ消し気味での登場。

  1917−4.jpg ベネディクト・カンバーバッチも喋り方が軍人っぽくて、他のと全然違った。
 中盤以降は暗転が入るなどして「ワンカットではない」ことが明らかにわかりやすくなりますが、観ている側はワンカットであるかどうかはどうでもよくなっていて、伝令は伝わるのか・仮に伝わったとしても作戦は中止されるのかが気がかりで。
 個人の無力さ加減がただごとでない。
 え、ラストそんななの!、と唖然とするが、なんだかこみあげてくるものが・・・。
 結局「戦争はやはりよくない」とかありきたりのことしか言えなくなるのだけれど・・・第一次大戦を生き残ってもこのあとに第二次があるんだよなとか考えるとつらくてたまらない。
 物語的には特に新しいことは何もないのだが、そのリアルタイムに立ち会った感。 観客にいかに<体験>をさせるか、というのが映画館で観る映画のひとつの目指す先なのかもしれないな。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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