2020年01月19日

パラサイト 半地下の家族/PARASITE

 15年以上前、『殺人の追憶』に衝撃を受けて以来、ソン・ガンホとポン・ジュノ監督は要チェック。 個人的には韓国映画のテンションがあまり得意ではないが、ソン・ガンホが出ているだけで違うし、ポン・ジュノ監督に至っては空気感から違う。 またこの二人で映画を撮ったと聞き、それは観たいなと思っていたが・・・まさかパルムドールを獲り、アカデミー賞にも多くノミネートされるとは。
 映画館に行ったのはアカデミー賞のノミネートが発表された後だったせいか・・・とても込んでいた。 やはり話題になっているのか、いつものシネリーブルサービスデイとはちょっと違う雰囲気で。

  パラサイト半地下の家族P2.jpeg 幸せ 少し いただきます
  全員失業中の一家が目指す、高台の豪邸。最高の就職先には、誰も知らない秘密があった――。

 キム一家は現在全員失業中で、半地下の住宅に住んでいる。 ある日、長男のギウ(チェ・ウシク)の幼馴染の大学生がやってきて、アメリカに留学するから女子高校生の家庭教師を譲りたいという。 面接に訪れたのはIT企業のCEOパク氏(イ・ソンギュン)の大豪邸。 生徒だけでなく奥様(チョ・ヨジョン)にも気に入られたギウは、もう一人の子供に絵画の先生が必要だと知り、妹ギジョン(パク・ソダム)を「アメリカ帰りの優秀な人を知っている」と売り込み・・・という話。
 あらすじはあまり話せない。 事前情報がないほうが楽しめるし、絶対そのほうがいい。

  パラサイト半地下の家族1.jpeg 父親役のソン・ガンホが最高!
 序盤は一家の貧乏話というか、貧乏な状況をいかに楽しみながら(?)次につなげるているかが語られ・・・それがめっぽう面白い。 『万引き家族』っぽいところもあるかな、と思った途端違う話になるなど、観客の予想を継ぐから次へと裏切っていこうという意欲に満ちている。
 後味がよくない話なんだろうな、というのはわかっていたので始まるとき気持ちはいささか怯んでいたのだが、あっという間に流れに乗せられてしまった。 この四人家族にまったく感情移入はできないのだが、見入ってしまう。

  パラサイト半地下の家族2.jpeg 娘と息子もすごい。
 ヘンに純粋というかまっすぐすぎる兄と、はすっぱっぽく見えながらこの家族の歪みを一身に引き受けたような妹。 全く説明されないのであるが、“佇まいから感じられる何か”がこの映画では非常に多くて重要。

  パラサイト半地下の家族4.jpg 大富豪の奥様のおバカさ加減も絶妙。
 大富豪のちょっといい声(喋り方も独特)でも笑わせてもらう。 奥様も勿論ただのおバカではない。 登場人物が出揃い、テンポよく笑いもちりばめられていくのだが(足の裏だけで笑いをとれるのもソン・ガンホだけ)、ホラー要素もどんどん注ぎ込まれていくので面白くなれば面白くなるほどじわじわとおそろしい。
 過去の映画作品に通じる構図やカットなどもあり、ポン・ジュノ監督もタランティーノばりの映画マニアなのでは。

  パラサイト半地下の家族5.jpg 生活感のかけらもない豪邸。
 後半、話が見えてきたことで恐怖は急激に薄まるが、その分「おぞましさ」が頭をもたげる。 それは人間という生き物、存在に対してのもので、登場人物の誰に対しても感情移入はできないのだがそこは自分も共通点なのだ・・・。
 「血縁家族バンザイ」な感じはアメリカでも受けるところだろうが、そこに疑問を挟みたいのが“いま”の視点。 疑問を持てなかった子供たちは犠牲者であるという見方もできるのかもしれない。
 格差・階級社会を描く社会派な部分もあるが(繰り返される階段の描写でも、降りるのはキム一家だけ)、あくまでエンターテイメント。 湿度低めな映像、描きこまれるディテールなど、これが世界水準か!、と。 日本映画の道は遠いわ・・・。

posted by かしこん at 17:05| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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