そろそろジョン・ウィックの物語も終わってあげてもいいんじゃないですか。 彼に平穏な生活を、と望むのであるが、そうはいかないようで・・・でもシリーズ進むにつれて日本での上映館が減っているんですけど! なんだかつらい・・・。
ニューヨークコンチネンタルホテルにて、裏社会の掟を破ってしまったためにお尋ね者となってしまった元殺し屋のジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)。 巨額の賞金目当ての刺客たちの追撃をかわしながら、指令を止めてもらうためジョンは昔なじみの人びとを尋ねるが・・・という話。
『チャプター2』のラストのすぐ続きから始まる本作、一作目から時間的にはずっと続いているわけで・・・ジョン・ウィックの体力と精神力ってどうなってるの?、なのだが、そういうことを言うのは野暮である。 これはそういう映画なのだ!
いきなり厩舎で銃をぶっ放すとか、追手のみなさんも無茶なことをするわけだが・・・馬がおびえて暴れるし、そもそも馬に当たったらどうするの!、という観客の心の叫びを別の形で解放してくれる爽快さ。 そう、『ジョーカー』よりもはるかにかなり残酷にバンバン人が死ぬというのに、爽快なのである。
もうこの映画は、対人アクションにおけるバリエーションをどれだけ増やせるかに力点を置いているかのようだ(実際、アクションの連打だが飽きない)。 「わぁ、無茶するなぁ」と感嘆するのみである。
そして何故かアンジェリカ・ヒューストンやハリー・ベリーといった豪華なゲストが出ているんですが、これってキアヌの人徳? それとも<ジョン・ウィック>シリーズはビッグヒット作品なのか?
毎回、ジョンの好敵手となる相手が出てくるけど、今回は普段は寿司バーのカウンターに立つが忍者の奥義を身につけて殺し屋集団のトップに立つ男ゼロ(マーク・ダカスコス)。 興奮すると日本語が出るのだが、それがすごくあやしい・・・てことはこのシリーズに出てくる外国要素はすべてあやしいのかもしれない、と思う。
ニューヨークコンチネンタルのコンシェルジュ、シャロンとして現れるランス・レディックは、他のどの作品とも違って“いい人オーラ”が出てるのよねぇ、不思議。 犬の世話をしてくれるから? 実はジョンを気遣っているから?
多分、裏社会に生きる者たちにとってジョンは憧れの存在なのだ。 超一流の殺し屋と呼ばれながら愛する人のために引退した男(この世界から足を洗うことがものすごく難しいことがこれまでの流れからもわかる)。 そんな伝説の存在を自分の手で殺りたいという気持ち、なんでこの世界に帰ってきちゃったんだという憤りが混ざり合ったみたいな、愛憎の対象。
ニューヨークコンチネンタルホテルの支配人ウィンストン(イアン・マクシェーン)と地下の犯罪組織の王バワリー・キング(ローレンス・フィッシュバーン)の関係も複雑。 おじさん好きだからこの二人のシーンはニヤニヤしちゃうけど、ローレンス・フィッシュバーンは『マトリックス』のモーフィアスなんだよね・・・もはや忘れそうになってしまっているけど。 これ見てるとキアヌのネオとともに、どちらも思い出せない。
というか、今回裏社会のヒエラルキーとかかなり大風呂敷広げて説明しちゃいましたよね、終わる気あるのか、終わらせる気はあるのか!
『四季』の『冬』第二楽章のいちばんいいところをバックに銃に装填するところ、すごくカッコいい!
ジョン・ウィックの不死身っぷりにはもう笑うしかなくて。 いや、かなりよろよろなんだけど、ジョンも相当やられながら相手の力を利用して戦う省エネなところもあるし、とはいえそれでも立ち上がるのねという驚き。
彼はどこまで行くのだろう、いや、行かされてしまうのだろう? まだ続くんだね! こうなったら最後まで見届けたいよ!
エンドロールにさりげなく、「ミカエル・ニクヴィストの思い出に」と挟み込まれてあって(日本語字幕もついてなかった)、ぐっと胸が熱くなった(彼は一作目でロシアンマフィアのボスの役であった)。 思い出させてくれて、ありがとう。