2019年09月19日

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド/ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD

 タランティーノ新作がやってきた。 <シャロン・テート事件>とマンソンファミリーが描かれているとの噂、シャロン・テートとブルース・リーの家族がそれぞれの理由で怒っているとも聞き・・・タランティーノ作品はたいてい賛否両論なんだけど、実在の人物を扱うのって難しい・・・と実感。

  ワンスアポンアタイムインハリウッドP2.jpg この二人が並べばコピーはいらないのか。

 1968年、かつてのTVドラマスターだが今は落ち目のリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は起死回生のためにチャンスをうかがい、専属のスタントマンで付き人かつ親友のようなクリフ・ブース(ブラッド・ピット)がそれを支えていた。 そんなある日、リックの隣の家に映画監督のロマン・ポランスキーと女優のシャロン・テート(マーゴット・ロビー)夫妻が引っ越してきた。 勢いのある二人と自分の身を比較し、嘆いたリックは・・・という話。

  ワンスアポンアタイムインハリウッド1.jpg 基本、この二人がだらだらとだべっています。
 とにかく台詞が多い! 特に意味があるというわけではないけれど、あの時代の様々なことがいっぱい詰まっていて、字幕の文字数の足りなさを実感。 リックは西部劇ドラマ主演が過去の栄光で、お金のために断り続けていたマカロニ・ウェスタンに出演を考える・・・とか、「ああ、クリント・イーストウッドだってマカロニ・ウェスタンでブレイクしたんだったよね?」と思い出したり、懐かしのテレビドラマの話も出てきてニヤニヤさせられたり(とはいえあたしはリアルタイムでは観ていないのだが)、あの時代のことを知っていれば知っているほど気がつくことが多いのでは。 画面に映っているものすべての細部まで当時が再現されている!、ぐらいの勢いだし。

  ワンスアポンアタイムインハリウッド3.jpg マーゴット・ロビー、きれい!
 女優としてのシャロン・テートをあたしはあまり知らないのですが(ポランスキーの『吸血鬼』ぐらいしか観てない)、新進女優として輝き、みなから期待された存在だったのだろうか、と思わずにはいられないほどにこの映画では天使のように描かれている。 無垢で無邪気な象徴としての気まぐれさと自由奔放でときに非常識なふるまいも、彼女だから許せるしかわいらしい。 極端すぎますが、タランティーノの愛情がすごい。 その点、ブルース・リーの描き方に愛がないように感じてしまうのも仕方ないぐらいの。
 が、マンソンファミリーに対しては「愛がない」どころではない・・・説明がまったくないけど出てきた瞬間に「こいつ、チャールズ・マンソンだ!」とわかるつくりだし、牧場のシーンは不気味かつマヌケ(でも何故そこでダコタ・ファニングを使うのかはちょっと)。

  ワンスアポンアタイムインハリウッド2.jpg ドラマのワンシーン。
 当時のドラマや映画のシーンにリックが入り込むところが何か所もあるけど、しみじみ「ディカプリオやブラピって、その後の時代のハンサムだな」と感じる。 しかしプライベートのリック・ダルトンはときにジャック・ブラックっぽく見えてしまうのだが。 ブラッド・ピットはもうけ役で、かっこいい立ち位置ながらちゃんと情けない場面も用意されており、これまた二人へのタランティーノの愛情も感じる。 リックとクリフの男の友情も微笑ましい。
 また音楽も使い方もうまいよ! 特に“California Dreamin'”のせつなさあふれるカバーバージョンには胸打たれ、サントラほしくなってしまう。
 でもまさか、そんな終わりだとは!
 ぎょっとしてしまうほどに残虐で、それでいてカタルシスに満ちた展開は『パルプ・フィクション』を超え、ラストシーンには希望すら漂う。
 あぁ、「ワンス・アポン・ア・タイム」はおとぎ話のはじまりの言葉だよね・・・<事件>がどう描かれるのか後半からずっとドキドキしていたので、ちょっと泣きそうになった。

  ワンスアポンアタイムインハリウッドP.jpg US版ポスター
 タランティーノってまだ9本しか映画撮ってないんだ、と驚くも、一本へのこだわりを考えたらそんなものかもしれず、「10本撮ったら映画監督は引退する」と前から言っていたと今回知りました。 「古い映画が好きな人だな」というレベルではなかったタランティーノの映画愛を差し出され、圧倒されましたよ。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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