2019年09月04日

蜜蜂と遠雷/恩田陸

 文庫発売と同時に買っていたのですが、恩田陸だからすぐ読めるだろ、と思ってちょっと放っておいたら・・・先日、映画の予告編を観てしまい・・・「やばい、もう公開しちゃうじゃないか!」とあわてて、読むことに。 あたしはいろいろ、遅い。

  蜜蜂と遠雷1文庫.jpg蜜蜂と遠雷2文庫.jpg なんか、『はちみつとえんらい』だと思い込んでた・・・ハチミツ好きだから。
 最近、注目の芳ヶ江国際ピアノコンクールにて、書類審査・オーディションを経て第一次予選の出場者が決まる。
 その中には、かつて天才少女ピアニストとして名を馳せながら母親の死とともに業界から姿を消した20歳の栄伝亜夜、サラリーマンとして勤めながらもピアニストをあきらめきれない28歳高島明石、名門音楽学校に在籍中で完璧な才能とスター性を併せ持つ19歳マサル・カルロス・レヴィ・アナトール、そして養蜂職の父親とともに世界中を渡り歩くが故に自分のピアノを持たない(けれどすごい実力者がバックアップしてた)16歳の風間塵がいる。 そしてコンクールは始まる・・・という話。

 音楽を言葉に起こすのはすごく大変だっただろうと思うのだけど、読む分にはぐんぐん進みます。
 ただ、恩田陸ってこんな文章だったっけ?、と首をひねること多々。 たとえば同じ表現が近い範囲で何度も出てきたり、「図抜ける」という表現の1ページ後ぐらいに「ずば抜ける」が出てきたり・・・わざと、なのか?
 あまりに長編は直木賞を獲れない傾向がかつてはあったけど、今は獲れるんだなぁ、時代は変わったなぁ、としみじみする(『永遠の仔』や佐藤賢一『双頭の鷲』が獲れなかったのは何故か今もわからん)。 昔と比べてレベルが、と言うような自分になってしまっていることにもショックを覚え。 恩田陸らしさは少なめなんだけど、それで直木賞を獲ってよかったのかなぁ、『夜のピクニック』のほうがらしかったよね。
 とはいえ浜松国際ピアノコンクールのことを知れたのはよかった。 これを読む前にEテレのコンクールのドキュメンタリーを見たのだけれど、牛田智大くんを一目見て「かわいい!」と思ってしまった。 浦井健司にちょっと似ててさ。
 個人的にラフマニノフの協奏曲は3番より2番の方が好きだしピアニストのセンスが出やすいと思ってるけど、作中で3番を「ピアニストの自意識ダダ漏れ」とか表現されちゃうと、聴いたことのない人に先入観を植え付けるのではないか、とドキドキ。 もし3番が好きだったら、不愉快になってたかもしれん(3番を選ぶ演奏者もいるのだから)。
 あと、放浪の天才ピアニスト、風間塵が16歳という設定なのですが・・・読んでいて浮かんでくる姿は6歳・・・。
 コンテスタント(出場者)だけでなく師匠やら審査員やらにも天才が多すぎる。 だから天才ではない明石くん視点は興味深く面白い。 エピローグのとってつけた加減がすごい。 二次審査から三次審査あたりがすごく面白かったのは、あたしがあまりコンクールに興味がないせいだろうか。 でもドキュメンタリーでは本選もドキドキだった。
 本文に出てきたピアノコンチェルト、どんどん聴きたくなってしまいYouTubeをあさることに。 弾き手やオケによって同じ曲でも全然違うように聴こえるんだ!、ということにあらためて驚かされる。
 まったくもって、音楽は素晴らしい。 それを伝えてくれる物語。
 でも、読む前にドキュメンタリーで牛田くんが浜松駅の施設にある誰でも弾いていいピアノでぎりぎりまで練習する姿を見てしまったから・・・それを超える印象深いシーンはこの物語に中にはなかったかな〜。
 虚構だからこそ現実を鋭く抉り出すことができるんだけど、現実はいつでも虚構を軽々と乗り越えてしまうのだ。

ラベル:国内文学
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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