2019年08月24日

平成兜割り/森雅裕

 京極夏彦の『今昔百鬼拾遺 鬼』に刀の話が出てきたときに思い出した本、また読んでみた。
 著者の本で以前は神戸市立図書館にあったのに今はないものもあるから(紛失なのか処分なのかは違う理由かは謎)、処分されないように貸出実績を増やそうと思って何年かごとに借りていたのだが・・・ここしばらく借りてなかったなぁと(いつの間にか郷土資料扱いになっているよ・・・森雅裕は神戸市出身、だったら他の著作もみんなそうしてほしい)。 借り出していたあとに『鬼』を読んだので、シンクロニシティに驚いたのです。

  平成兜割り 森雅裕.JPG 刀を主に扱う古物商・六鹿(むじか)が語り手の連作短編集。
 『虎徹という名の剣』・『はてなの兼定』・『彼女と妖刀』・『現代刀工物語』・『平成兜割り』収録。
 三十代半ば?ぐらい、頑固で偏屈、自分の美意識やこだわりに忠実すぎる六鹿さんは周囲とよく衝突するけど、それを変える気がない人物。 彼の青くさい頑な具合もまた読みどころではあるものの・・・あたしも年を取って丸くなってきたのかしら、ちょっと「大人げないわ」と感じるようになってきちゃった。
 若い女の子に対する憎悪に近い偏見と、それを覆す存在にはすぐ降参するわかりやすさ(礼儀と常識をわきまえる美人に弱い)にも、今だと底の浅さが見えるようだし、『彼女と妖刀』に至っては同時代を生きた者にはモデルがあからさま・・・(逆に言えば、知らない人には全くわからないということなのでそれはそれで)。 引きこもりの人物像もあまりにステロタイプなんだけど、1991年発売の作品なので2019年の目から見たらそれは仕方のないことかと。
 でも日本刀に関する部分は十分興味深い(何回も読んでるのに毎回新鮮ってそれはそれでどうよ)。 そうだ、これを読んでから博物館にある日本刀の見方が変わったんだった・・・刃文を見るようになったよねぇ、と思い出す。
 兜割りに向かう女子大学生の清々しさは、いつ読んでも変わらない。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 18:31| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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