2019年08月17日

風をつかまえた少年/THE BOY WHO HARNESSED THE WIND

 この予告を最初に観たとき・・・「あれ、これって中学校の英語の教科書に載ってるやつじゃない?」と不意に気づいた。 そんな有名な話を今更映画に?、といぶかしく思ったけれど、日本中どこでもニュークラウンが使われているわけではないし、まして載っているのはここ十数年くらいだし、映画にできる実話を探しまくっている世界が放っておくわけないのである。
 というか、兵庫県は今ニュークラウンを採用しているのだから、中学校に宣伝かけていないのかしら・・・あたしが観た回は若い人いなかったよ〜。

  風をつかまえた少年P.jpg 僕がどうやって風力発電で未来を手に入れたのか。

 2001年、ひどい干ばつが襲うマラウイ。
 14歳のウィリアム(マクスウェル・シンバ)はよろこび勇んで学校に通い始めるが、父(キウェテル・イジョフォー)は農業に行き詰まり、学費を完済できずついにウィリアムは退学になる。 しかし父を、家族を助けたいと考えるウィリアムは図書館で見つけた風力発電の本を手掛かりに、風車をつくって畑に水をひこうとする。 そんなウィリアムをただ遊んでいるとしか見ない周囲から理解を得られないのだが・・・という話。
 キウェテル・イジョフォーが脚本と監督も務めているこの映画、彼の情熱が完成させたのだろうと感じる。 アフリカの文化が鮮やかに映っている。 女性の身につけている布の色鮮やかさが素敵! もしかして、彼のルーツとかなのかなぁ。

  風をつかまえた少年2.jpg ウィリアムが着ているのは学校の制服。
 マラウイの気候に合ってないのでは、と思ったけど制服だからなのね。 朝目覚めたら制服があることに気づいて躍り上がってよろこぶ姿に、なんだか胸が痛くなる。 お父さん自身は学校に行ってないけれど、息子のためを考えて学校に行かせることを選んでいるあたり頭の固くない人なのだと思うが・・・全部が全部ではない。 むしろ奥さん(ウィリアムの母)のほうが先進的な考えの持ち主で。 この父にしてこの母、というのがウィリアムに大きく影響を与えていて、いいほうに進んだ感じ。 親友は族長の直系男子だし。

  風をつかまえた少年3.jpg 運命の出会い。
 「これが役に立つかも!」と気づけるかどうかも知識・教養の有無の問題。 教育はほんとに大事なのだが、中途半端な教育は伝統を破壊する傾向が。 勿論、悪しき伝統もあるし時代とともに変わっていくこともあるのだが、たとえば「お盆時期には水に入ってはならない」のような教訓が論理的に言語化されていないからと無視されるようになっても有用さは残ることもあるわけで・・・この時期、水の温度が下がったり潮の流れが変わりやすい時期だからとあとあと理由がわかったりしたけど、昨今の天候異常を考えると基準はお盆時期ではないのかもしれないし。 先人の知識を大事にしつつ、新しい知識を応用できるようになるのが教育の役割かと。
 しかしウィリアムが風車づくりのために集めるのは廃品置き場(ゴミ捨て場?)の泥に半ば埋もれている車のバッテリーやらなんやら。 廃物利用といえばそれまでだけど、あるものを加工しているだけでゼロからのものづくりではないというのがちょっと切ない・・・このバッテリーがダメになったらどうするの?、またゴミ捨て場をあさるの? いや、そもそもこのゴミ放置は環境汚染なんだよね・・・はっきり描かれてないけど、必要なものを集める過程でウィリアムが大怪我する可能性もあったんだよ。 あぁ、いろいろ根深い。

  風をつかまえた少年1.jpg この笑顔!
 それはよかったね!、なのですが・・・水力発電で地下水をくみ上げ、天候にかかわらず畑に水を与えられるのはいいけど、そのせいで地盤沈下とか環境変化とか起こってないのかな。 ウィリアムの家の畑だけ水があるってことで周囲とごたごたしなかったの?、その後村この自体がどう影響受けたんですか?、などなど描かれていないことが気になって、感動的な話なのに全然感動できていない自分がいた(字幕にちょっと無理があったせいもあるかも)。
 アフリカの状況を描きたいがためか、焦点が絞り切れていないところがあったかも・・・ウィリアムのことより別の人のその後のほうが気になるんですけど、というのもあり。 干ばつと飢えの描写が結構あっさり、むしろ乾いた大地が美しく見えてしまったりするので危機感がそこまで迫ってないような。
 とはいえ、「いざとなれば学校に行かなくていい(いじめにあったり自殺を選びたくなるくらいなら)」と言えてしまう日本は、学校に行きたいのに行くことができない子供たちよりずっと恵まれているはずなのに、この違いはいったい何なんだ、と考え込んでしまう。
 原作を読んでみようかな。

posted by かしこん at 18:31| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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