2019年07月23日

ゴールデン・リバー/THE SISTERS BROTHERS

 予告を観たときに・・・「あれ、これ、ちょっと『シスターズ・ブラザーズ』っぽくない?」と感じたんですよ! でもまさか原作とは! だって、予告から受ける雰囲気は全然違うから! 「『シンプル・フェイヴァー』がシリアスな原作をパンクにして成功したように、原作のテイストを変えて映像化するのが最近のトレンドなのか?」(原作モノが多すぎるからそういうことで差別化を図ってるとか?)、とか考えてみたけど・・・実際どうなっているのか確かめたくなりました。 キャストも好みですしね。

  ゴールデン・リバーP.jpg 夢に、目がくらむ。
  決して手を組むべきではなかった4人の一攫千金ウェスタン・サスペンス

 ゴールドラッシュ時代のアメリカ、オレゴン準州。 チャーリー(ジョン・C・ライリー)とイーライ(ホアキン・フェニックス)は主に提督(ルドガー・ハウアー)から仕事を受ける凄腕の殺し屋で<シスターズ兄弟(シスターズ・ブラザーズ)>として恐れられていた。 次なる標的はある化学者ウォーム(リズ・アーメッド)だが、彼の居場所は偵察係のモリス(ジェイク・ギレンホール)が手紙で知らせてくるという。 全部自分たちのペースでできないことに不満を抱えるイーライに、チャーリーは諭して聞かせるが・・・という話。
 とぼけた雰囲気から始まるので・・・「あれ?」と肩すかし。 どうやらシリアス路線ではないらしい。 おまけに説明とかもあまりなく・・・序盤は無法で無情な世界があっさりと展開し、ほぼシスターズ兄弟の会話劇(しかも原作とは兄弟関係が逆な気が)。 これは筋を追いたい(けど原作を読んでいない)人にはわかりにくい!
 でもこの人たちの芝居を味わいたければ最高!
 「次の村までどれくらい?」という問いに対して「2日かな」という答えが返ってくるのが「おお!」と思う(距離じゃないんだね)。

  ゴールデン・リバー1.jpg 似てるとか似てないとか気にならないほどに二人は兄弟である。
 いわゆる西部劇がどんなものなのかはよくわからないんだけど、この映画、細部までいろいろリアル。 汚れ具合とか色のかすれ具合とか、砂ぼこりに金属のサビ、「あぁ、この時代の衛生状態、耐えられないかも・・・」と思わされるほど。 だからチャーリーが初めて歯を磨くシーンとかがすごくかわいくて、微笑ましくてかなしい。

  ゴールデン・リバー2.jpg この二人、『ナイトクローラー』でも共演してましたね。
 原作ではそれほど登場人物としての比重が高くないこのふたり、化学者と偵察・連絡係をピックアップしたことで、ゴールドラッシュ時代の西部がどんな感じかよりわかるというか・・・提督の影響下にあるものの大きさが感じられるというか。 インテリっぽいモリスがなんで追跡屋みたいな仕事をしているのか不思議ではあるけど、他に仕事がないのかもしれない。 だから化学者が語る夢にのめりこんでしまうのかもしれない。 途中かなり省略される二人の信頼関係の構築、もっと見たい気もしたけど。

  ゴールデン・リバー4.jpg ぼさぼさのジェイク・ギレンホールはちょっとキュートだった。
 現実がひどいからこそ“理想の世界”を思い描きたい、それを現実にさせたい気持ち。 これまで押し殺していた分、モリスの無防備なまでの純粋さが爆発しちゃう感じなのかなぁ。 それで余計に人の命の軽さが浮かび上がるわけだが(凄腕の殺し屋とは思えない兄弟の間抜けぶりと実際の確かな腕の対比も)。
 フランス人のジャック・オーディアール監督だから<いかにも西部劇>にならなかったのかもしれないけれど、むしろ今<いかにも西部劇>を撮るほうが難しいかも。

  ゴールデン・リバー3.jpg 弟の髪を切ってあげる兄!
 おかしなことに・・・愚直ではあれども人として大事なことを見失わまいとするイーライがだんだん素敵に見えてくるんですよね。 最後のほうは「ジョン・C・ライリー、かっこいい!」と思ってしまう。 だから兄弟のキャラを逆にしたのか(どう見てもホアキン・フェニックスのほうが年下)。 主な登場人物は4人ではあれど、あくまでこれはシスターズ兄弟の物語。 だからコピーの「ウェスタン・サスペンス」はなんか違う・・・サスペンス要素はあるけど一部でしかないし、『ゴールデン・リバー』という邦題も微妙。 予告編詐欺と言われるんじゃないだろうか、この4人の芝居を観たいのが目的なら文句はないだろうけど。

  ゴールデン・リバー5.jpg 馬への気遣いもいい!
 原作よりもオフビート感は抑えめだけど、完全にシリアスというわけでもない。 ラストシーンのハッピーエンド感はもしかしたら映画のほうが強い?
 あたしは結構面白かったし満足だったのですが・・・エンドロール早々で席を立ってしまう人が目立って(それも男性の一人客ばかり)、期待と違っていたのかなとドキドキ(夜のシネ・リーブル神戸では、エンドロール途中で立つ人そんなにいないイメージがあったから)。 やっぱりあのシリアスサスペンスを強調した予告編のせいでは!

posted by かしこん at 22:00| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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