2019年07月18日

パピヨン/PAPILLON

 オリジナルのスティーヴ・マックイーン主演の1973年版は未見。 昔はテレビの洋画劇場でよく放送していたらしいので、タイミングが悪かったらしい。 あたしより少し年齢が上の人たちにとっては常識らしいんだけど。
 が、おかげで先入観はない。 この映画、あの『プリズナーズ』と脚本が同じ人だということが気になって。 あと、ラミ・マレックが『ボラプ』の前に出演しているということで。 というか、『ボラプ』のヒットがあったからこの映画の日本公開が決まったのではないか、という疑惑すら感じる(2017年制作)。 でもポスターの文字は多分73年版映画と同じものだよね・・・オールドファン狙いならもっと早くに公開してもよかったのでは。 まぁ、洋画は日本公開が2・3年遅れることは最近ザラになってきてますけど・・・。

  パピヨン映画P.jpg 自由をつかめ!
   実話を基に壮大なスケールで描く冒険活劇!!

 1930年代のフランス、パリ。 金庫破りのアンリ(チャーリー・ハナム)は胸にチョウの入れ墨を入れているので「パピヨン」と呼ばれている。 が、組織にとって邪魔と感じられたのか、殺人の罪をきせられたパピヨンは終身刑を言い渡され、<緑の地獄>と呼ばれた仏領南米ギアナの監獄に送られる。 そこで待っていたのは強制労働と厳しい監視。 パピヨンは最初から脱獄を考え、カネを持っていると噂されている偽札造りの名人ドガ(ラミ・マレック)の用心棒をする代わりに資金調達を依頼する・・・という話。
 冒頭のシーンで、「あ、この脚本家は<囚われたものと囚われるもの>の関係性や意味にこだわりがある人なのかも、と思う。 『プリズナーズ』にもそういうシーンがあったから(そもそもタイトルからそうですが・・・)。

  パピヨン映画1.jpg パピヨンとドガの関係が深まっていくところが素敵!
 仏領ギアナの開発のための労働力として囚人が送り込まれる、というのがすごい。 「フランスはお前たちを放棄した」(国民としての権利もなければ人権もない)というのが・・・時代とはいえ・・・今だったらあり得ないなぁ、と。 でも現在でもネット上ではひどい犯罪者に対して「福島第一原発へ送れ」みたいなことが書き込まれたりしているが、同じような発想なのかなぁ、と思ったり(あたしは「原発の作業って誰にでもできるものではないし、むしろ信頼性が必要だから人としてダメな人には行ってほしくないけど」って思う)。 大変な作業=苦役、という発想から逃れられない人がいるのであろう。
 犯罪者や犯罪者とされた人を労働力として消費する、というのが政策に利用されていたってことですね。 観ているうちに、看守として働いている人たちもほんとはこんなところに来たくなかったのではないか、と思えてきて、誰一人として幸福ではなかったんだな、と。 一体何のためにやっていたのだろう、本国を豊かにするためなのだろうか。

  パピヨン映画2.jpg すすけた色合いがよい。
 原作のアンリ・シャリエールの手記には事実誤認がある、みたいな話もあるらしいのだが、「いや、こんな生活(?)を送っていたのなら、記憶の混濁や誤解があったとしても無理はない」と納得できる壮絶さ。 様々な方向から生命の危機を感じる日々、死を目前にまで見た瞬間、それでもあきらめない決して希望を失わない強さはなんなんですかね。 自分は殺人犯ではないという思いなのか。
 チャーリー・ハナムがこんなにできる人とは! いい身体なのもそうですが、台詞ではない表現力、役者としてのポテンシャルを見せてもらった感じ。 今後も注目していきたい。

  パピヨン映画3.jpg ラミくんもよかった。
 長い話を短くまとめた強引な省略を感じましたが、それが逆に効果的に働いた場面も。 ドガが数年一人でこの世界を生き残ってきたたくましさを、ひびの入った眼鏡のレンズと頬の傷跡と日焼けで一瞬で理解させたところは、ドガの佇まいの力強さも相まって魅力的。 むしろドガ、すごくない?!、と思えるシーンも多々(むしろ前半は彼の目力を抑えるために眼鏡をかけさせていたのかなと感じるほど)。 ラミくん、『ボラプ』のイメージが定着することを危惧していましたが、フレディ役の前にこれをやっていたというのが彼の実力だよ!、とうれしくなる。 このあと『007』の悪役が待機しているようですが、フレディ役のイメージにとらわれることなくキャリアを築いてほしい。 一気に売れちゃうと見ているほうがドキドキするよ・・・。

  パピヨン映画4.jpg 海の色もまた鮮烈で。
 コピーには「冒険活劇!」とあるけど、結構リアルタッチで、劇的に描きすぎないようにしている気がする。 もしかしたら前作を観ている人にはそこが物足りないのかもしれないけれど、あたしには十分衝撃的でした。 パピヨンがドガをファーストネームの「ルイ」と初めて呼ぶ場面は感動したよ・・・友情を越えた同志愛、胸打たれました。
 エンドロールで写真が使われているのだが、あれは当時のギアナを写したものなのだろうか? 映画に同じカットがあったんですけど、というものがいくつもあり・・・映像を古く加工したのか、当時の写真を使っているのなら映画での時代の再現度がすごすぎる!
 こんなに手間をかけた映画でもそう簡単に日本では公開されないという・・・洋画不況を実感。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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