2019年06月26日

生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者/アンドリュー・メイン

 AXNミステリーの<早川書房ブックリエ>でこれが紹介されていたのをたまたま見て・・・「あ、読みたいなぁ」と強く思ったので未読本の山から取り出す。 最近買ったばかりなだけに、隙間のあるところに入れたり置いたりしてしまって、どこにあるのかちょっと考えた・・・(でもすぐにみつかったので、よかったよかった)。

  生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者.jpg 熊、コワい。
 生物情報工学を専門とする学者で、生物学の大学教授であるセオ・クレイはモンタナ山中での調査を終えてモーテルに戻ってきたところを、急遽警察に拘束されて尋問を受ける。 全く心当たりのないセオだが、他者とのコミュニケーション能力に自信のない自覚のある彼は正直に受け答えしようと考える。 どうやら彼は殺人の第一容疑者とみなされていたようだが、被害者はクマに襲われたという検視結果が出て、セオは即刻釈放された。 被害者はセオのかつての教え子で、研究者として独り立ちしていたジュニパーだった。 セオはまったく知らなかったが、たまたま近いエリアでフィールドワークをしているときだったために疑われたのだ。
 ジュニパーの記憶はわずかしかない。 自分は教師として一体彼女に何を教えたのか。 自責の念にかられたセオは独自に調査を開始、これはクマではなく“クマを装った人間による殺人ではないか”と仮説を立てるに至る。 しかし警察はまったく信用してくれず、セオは一人でこの仮説を証明するためにフィールドワークに乗り出す・・・という話。

 これが意外にも、結構面白かったのです!
 他者とのコミュニケートには問題ありでも、頭の中では饒舌すぎるセオ(そう、しかもこの話は一人称形式なのだ)。
 科学的発想と根拠のある仮説でガンガン進み、身に危険を顧みないということにすら気づいていない学者バカ気質、そのくせ性善説なのかな?というくらい最悪の事態を想定しないであとから気づく。 カリン・スローター世界の後ではその「ぬるさ」が意外に心地よかったりする。
 リチャード・ドーキンスとスティーヴン・ジェイ・グルード論争が下火になったのは、「進化の過程が非常に複雑なものであり、遺伝子か生物かという論議は決定的要因を単純化しすぎるという考え方が主流になったからだ」、などの発言にニヤリとさせられるしね。
 学術的根拠で畳みかける前半が章立ても短いこともあってすごく読みやすく、話に入り込みやすくなっているところにシュール展開がきて、見事な省略法。 終幕はド派手な冒険小説のようでありながら、結構大味になってしまっているのが残念。 次のシーズン更新が決まっていないアメリカの連続ドラマの最終回みたいだった。
 セオ・クレイのシリーズは続いているようなのですが、一作目のラストでここまで行っちゃったら次作はどこから始めるのか、いったい何人が生きているのか知りたい。 次の邦訳もお願いします。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 01:26| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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