2019年06月23日

ブラック&ホワイト/カリン・スローター

 結局、読んじゃいましたよ、すぐに!
 恒例、ウィル・トレントシリーズ最新作(もはや第何弾とか数えるのも面倒になってきた)。
 とはいえ主役はウィルではなく、サラなどウィルをめぐる女性たちだが・・・(しかもサラは別のシリーズの主役だった人なので、どうしても彼女が目立ってしまう)。

  ブラック&ホワイト カリン・スローター.jpg 原題は“UNSEEN”、<目に見えないもの・隠されているもの>の意か。
 メイコン警察署管内、ある警官夫妻の家に何者かが押し入り、発砲。 夫は重体、妻は命からがら敵の一人を反撃し殺害。 いったい何故、こんなことが起こったのか。 そして現場には潜入捜査中のGBI特別捜査官ウィル・トレントがいた。 病院に運ばれた夫はサラ・リントンの元夫ジェフリーの息子のジャレド、妻はジェフリーと過去に組んでいたレナ・アダムス。 サラはジェフリーの死をレナのせいだと今も考えており、ウィルの見るところレナは嵐を呼ぶ女だ。
 さらにレナのチームの他の警官も銃撃され、レナとブランソン警視があぶり出そうとしている謎の犯罪者“ビッグ・ホワイティ”のせいではと考えられたが、ビッグ・ホワイティはあまりに内部情報を詳しく知りすぎている。 組織内にスパイがいるのではないか、と誰も信じられない状況が続くが・・・という話。

 またもや冒頭からすさまじい出来事が展開する。 アメリカのハードボイルド系ミステリはそうでなきゃならんのか!、と言いたくなるくらいの感じで。 まったく、この人たちはどれだけの修羅場をくぐらねばならないのか、とため息が出るほどだ。
 今回の主要人物はサラとずっと対立していた(サラに憎まれていた、というべきか)、レナ・アダムスである(訳によってリナだったりレネだったりしたような気が・・・だからすぐ思い出せなくて、「あぁ」と一瞬考えた)。
 こういう人っているよなぁ、とレナ視点の部分を読んでいて感じる。 おかしい、あぶないと本人も感じているのにそのままにしてしまう、もしくはなんとかなるかなぁ、誰かがやるかなぁと考えてしまう人。 全部自分の責任ではないのに、何故か誰かの不注意を引き付けてしまう人。 たいがい大怪我したり早死にしたりするのだが、ときどきまわりがその部分を被ってしまう。 レナはそんなタイプで、自覚もあるのにどうすれば直せるのかわからない、複雑な怒りと自己嫌悪を抱いている人。 近くにいたら「こいつ、めんどくさいなぁ」と絶対思ってしまうだろうが(作中でも女性の登場人物の多くはレナに悪感情を持っており、逆に男性は好感情を示している)、登場人物であれば多少なりとも共感や理解が示せるところがミソである。 というか、「これって誰かのせい」と考えられたら人は楽で、責任を自分以外の誰かに押し付けたいということなんだろうなぁ、と。
 邦題『ブラック&ホワイト』は本文中に何度か出てくるけど、それぞれ違うものに対する表現。
 美しいものもみにくいものも白いところと黒いところ両方を持っている、ブラックorホワイトじゃない・どちらか片方をはっきり選べるわけじゃない、というような意味合いかしら、と感じてみる。 しかし昨今の世界はすべてが複雑だ。 でも、まざりあって全部がグレーではないというのが救いなのだろうか。 この世界にもまだ美しいものが、信じられるものがあるよ、という。 でもそれを輝かせるために、ここまでひどいものをセットしなければいけないのか・・・まったく、容赦がないぜ。
 そんな中、ウィルは成長への階段を大きく昇ったようである。 それはよかったけど・・・サラの感情の乱れが、いつまでたっても思春期の女子みたいでイラっとする部分も。 彼女もウィルとともに成長してくれそうな気配もあるが、アンジー問題に片が付いていないので、この先の展開がまたつらそうである。
 とか言いながら出たら読んでしまうんだけどさ。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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