2019年06月18日

四人の女/パット・マガー

 噂に名高いパット・マガー、やっと読む。
 コラムニストとして一世を風靡し、更に上り坂のラリー。 しかし彼には誰かを殺さねばならない理由が。 <犯人捜し>ではなく<被害者探し>を題材にした、「いつまでも色あせない傑作ミステリ」なのだそうである。

  四人の女【新版】.jpg 表紙に描かれている4種類の飲み物は、そのまま4人の女性のキャラクターの象徴だった。
 誠実で控えめなシャノン、女優で自由奔放なクレア、才女で気位が高いマギー、若くて美しいが計算高くて愚かなディー。

 冒頭で誰かがベランダから落ちて死ぬ。 次の章では時間が戻り、成功を手にしたラリーが崩れ落ちそうな手すりを見つけて「事故に見せかけられる」と誰かを殺そうと決めてディナーパーティーを画策する。 一体誰が殺されるのか? 候補はラリーをめぐる四人の女たち、元妻のシャノン・妻のクレア・愛人のマギー・フィアンセのディー。 現在と過去を照らし合わせながら、ラリーの殺意を探っていく話。

 この時代、面白いな!、と改めて感じる。
 『四人の女』は1950年発表・・・約70年前! 黄金期ミステリの流れなれど、トリックよりも人間ドラマ重視(勿論、作品全体に仕掛けはある)なので古びてない! 全然違う4人の女たちの言動が、今でも通じちゃうことが微妙に悲しくもあるのだが、そこがすごいです。
 風俗的には古いところはあるけれど、そこは「レトロ」だと思えば全然問題ない(逆に2・30年前とかの方が古さが際立って感じるかも、携帯電話を持っている人と持っていない人がいるとか)。
 とにかくこのラリーがほんと、むかつく男なのだ!
 こんな男に女たちが振り回されるのがかなしい! でもラリーがダメ男だとわかっていても、シャノンもクレアもマギーもディーも、それぞれの理由で彼を忘れられない・手放したくないらしく・・・恋愛感情のもつれって理性で割り切れないものなのね、と思う。 またラリーも腹立たしいんだけど、最近のモラ夫とかサイコパスとか容赦なく良心の呵責も感じない絶対変化しない人間の存在を知ってしまうと、「まだそれよりはましなのか?」と感じてしまったりする自分がいるよ・・・。
 でもあたしはラリーにはかかわりたくないね! ダメな人と深くかかわってしまうと自分の人生がどうなるかわからない、という指南書でもあるけど、一目でわかるダメな人ばかりじゃないのが難しいところ。 人生の真理です。
 鮮やかな幕切れは、その先を描いてほしいと思わせることも封じてしまう勢いが。
 この時代に女性が描いたものだからこそ、という鬼気迫る感があります。

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 03:45| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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