2019年06月05日

地球の中心までトンネルを掘る/ケヴィン・ウィルソン

 短編集はあまり読まない(読むタイミングがよくわからない)あたしですが、これは“<シャーリイ・ジャクスン賞>・<全米図書館協会アレックス賞>ダブル受賞作”という帯を見て、「おっ!」っと思いまして。
 単行本なので、勿論図書館から借りましたが。

  地球の中心までトンネルを掘る(海外文学セレクション).jpg 11の短編集、連作ではなく。
 収録作は・・・。

『替え玉』
『発火点』
『今は亡き姉ハンドブック:繊細な少年のための手引き』
『ツルの舞う家』
『モータルコンバット』
『地球の中心までトンネルを掘る』
『弾丸マクシミリアン』
『女子合唱部の指揮者を愛人にした男の物語(もしくは歯の生えた赤ん坊の)』
『ゴー・ファイト・ウィン』
『あれやこれや博物館』
『ワースト・ケース・シナリオ株式会社』

 「ほんの少しだけ「普通」から逸脱した日々を送る人々の生活と感情の断片を切り取った11のエピソードが、どれも不思議としみじみした余韻をもたらす短編集」、という紹介文。 タイトルからもう、ちょっと変わってますよね感があふれてる。
 しかもどれも短めで。 2〜30ページくらい? 『ゴー・ファイト・ウィン』がいちばん長いかな、それでも60ページぐらいじゃなかったか(もう手元に本がないので曖昧な印象ですが)。 だから一編がすぐ読めてしまうんだけど、広い行間と漂う余韻に浸る時間も欲しくなる。
 冒頭の『替え玉』から「わ、来た!」という感じでガツンと。 語り手は代理祖父母派遣会社に“祖母”として登録している設定で、「なんか星新一だ!」とあたしは盛り上がりました。 次の『発火点』は、謎の人体自然発火現象により黒焦げになってしまった両親を持つ語り手が、いつか自分も両親のように突然燃え尽きる日が来るのではないかと思いながら日々を過ごす話(これだけでもうせつない!、泣きそうになっちゃった)。
 コメディ要素もあるんですけどね。 軽めのトーンで明るく語ろうとするから(半分くらい一人称形式)、余計にせつなく感じるのかも。
 日常にしてはちょっと変わってる、ぶっとんだちょっとSF的設定の中で、必死で普通を手繰り寄せようとしている人たちの物語、という感じで、レイ・ブラッドベリっぽさもある。 これって最高の褒め言葉だよ!
 それと何故かどの作品にも日本ネタが出てくる不思議、『ツルの舞う家』のツルは折り鶴のことだったし。
 文庫が出たら、多分買うと思います。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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