2019年06月03日

ホワイト・クロウ 伝説のダンサー/THE WHITE CROW

 「あ、またバレエものかぁ」と最初予告を観たときは思っただけだったけど、“監督:レイフ・ファインズ”の表記に「えっ!」っとなる。
 あなたが撮ったんですか! しかも題材は実在の天才ダンサー、ルドルフ・ヌレエフで・・・えっ、それ、セルゲイ・ポールニンで撮るという話があったのでは?(この映画にセルゲイ・ポールニンも出ている)。 どうなってんだ!、と確認するために来る。
 やはり神戸はバレエ映画にある程度の需要があるのか、結構込んでいたよ・・・。

  ホワイト・クロウP.jpg 生きることは踊ること。踊ることは生きること。
   踊りたい、国や家族を棄ててでも――バレエ界を劇的に生きた男、ルドルフ・ヌレエフの光と影。

 まだ無名の若きダンサー、ルドルフ・ヌレエフ(オレグ・イヴェンコ)は1961年にキーロフ・バレエ団の海外公演のために初めてソ連を出る。 訪れたのは芸術の都パリで、ヌレエフは多岐にわたるアート作品に触れ、深くひきつけられる。 パリに住む人々の自由な生活も初めて見るものだった。 彼の行動はすべて「どう踊りに活かせるか」のためだけだが、KGBはパリでのヌレエフの行動を常に監視していて・・・という話。

  ホワイト・クロウ1.jpg あ、『海賊』!
 1961年を中心に、ちょっと先のこと、過去の場面が交差する。 自分の才能を確信しているがまだそれを表現しきれていない若者の傲慢さがいきいきと描かれている様についニヤニヤ・・・のちに大成する人だとわかっているからそう思えるんだけど、同時代の方たちは大変だったろうなぁ。
 ヌレエフ役のオレグ・イヴェンコはタタール劇場の現役プリンシパルだそうで・・・ダンスシーン本物なんだ! おまけに映画向きのルックス持ちってすごいな!、と感嘆。 ヌレエフのキャラ的には彼のほうが合っている、セルゲイ・ポールニンでは似合わない。 だからパリでのルームメイトのダンサー、東ドイツのユーリ・ソロビヨフの役をセルゲイ・ポールニンにしたのね、と納得。
 が、ダンスの場面は思っていたより少なかった。

  ホワイト・クロウ2.jpg どうしたレイフ・ファインズ、その体型と頭!
 レニングラード・バレエスクール(今のワガノワ・バレエアカデミー)でヌレエフの師となったアレクサンドル・プーシキンがレイフ・ファインズの役どころ。 有名な人らしいのでビジュアルを本人に似せたのだろうか、予告でちらっと見たときは驚愕した。
 そう、こういう多国籍の映画では「とりあえず台詞は全部英語で」ということも多いのだが・・・これは違う! ソ連ではロシア語、パリではフランス語、ソ連人とフランス人が会話するのは英語と、現実に即した言語が使われている。 だからレイフ・ファインズもずっとロシア語で喋っているのである。 役者魂と監督として自ら率先して実践する姿にしびれますよ! またプーシキンがこの映画ではかっこ悪さを引き受けざるを得ない役で・・・それを自分でやるのもえらい。

  ホワイト・クロウ3.jpg パリでの輝く時間。
 ヌレエフと最初に親しくなるピエール(ラファエル・ペルソナ)は、『彼は秘密の女ともだち』のだんなさんだ! どこかで観たことある人たちが続々出てくるのもワクワクする(でも映画を観ている最中はその役として見ているので、思い出すのはあとからなんだけど)。
 パリの人たちにとっては当たり前のことが、ヌレエフには当たり前ではないのだとお互いが理解していく過程がいい。 価値観の違いを非難するのではなく認める、自分には仕方のないことだと受け入れるような。 東側からのお客さんでヌレエフだけが自由に憧れてたわけではないのだろうけど、それだけ当局の目が厳しかったのだろうし、ソ連国内ではアメリカより先に宇宙へ行ったしこの国はもっとよくなるという楽観論のあった時代だったからなのかなぁ。

  ホワイト・クロウ6.jpg あ、『アデル、ブルーは熱い色』の人!
 クララ・サン(アデル・エグザルコプロス)は婚約者を失ったことからまだ立ち直れておらず、その喪失感がヌレエフと共鳴した・・・のかなぁ。 だんだん、“青春と苦悩”のほうに話が寄っていくなぁ、と思っていたら・・・まさかここまでの亡命サスペンスになるとは!
 まさに息をもつかせぬハラハラドキドキ感満載、しかし過剰にドラマティックではなくてドキュメンタリータッチで。 音楽も王道のクラシックなのにすっごく盛り上がる! 2時間越えの長さでしたが、その長さを忘れた。
 しかもその後のことについてはあまり触れてくれないので、「その後どうなったの?!」と思ってしまうこと確実(知っている人にとっては常識かもしれないが、あたしは知らなかったので・・・)。 『愛と悲しみのボレロ』や『ホワイトナイツ―白夜』が彼をモデルにしているとあとから知り、「・・・あぁ!」といろんなことがつながりましたよ。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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