2019年04月23日

ハンターキラー 潜航せよ/HUNTER KILLER

 潜水艦映画にはずれなし、とかつては言われたものだが、その時代に比べて潜水艦が題材の映画はぐんと増えた(それが言われていた頃って『U−ボート』と『レッド・オクトーバーを追え!』、『クリムゾン・タイド』ぐらいしかなかったのでは・・・)。 それでもなんとなく、潜水艦モノというだけで観たい気になる不思議。 それに、ジェラルド・バトラー主演だしね! ← いや、それが第一目的だろ!

  ハンターキラーP.jpg そこは、音だけが≪見える≫戦場

 ロシア近海を航行中のアメリカ海軍の原潜からの消息が途絶えた。 一歩間違うと戦争勃発となってしまうため、海軍は伝説の潜水艦乗りジョー・グラス(ジェラルド・バトラー)を艦長に任命し、攻撃型原子力潜水艦“ハンターキラー”に行方不明となった潜水艦の捜索を命じる。 一方、ロシアの態度に不審なものを感じたNSAのジェーン・ノーキスト(リンダ・カーデリーニ)と海軍少将ジョン・フィクス(コモン)はネイビーシールズから部隊をひそかにロシアに潜入させる。 どうやらロシアの国防相が大統領を拘束し、クーデターを画策しているらしいことがわかる。 それでも チャールズ・ドネガン統合参謀本部議長(ゲイリー・オールドマン)はアメリカの原潜が襲撃されたことに怒り、「先手を取らねば国のメンツが!」と激高するので、戦争回避のためロシア大統領を救出しなければならなくなる・・・という話。
 敵はあくまでロシアの一部であって、ロシアの総意ではない、というところに現在のバランス感覚が見て取れる(仮想敵国と明確にしたくない、的な?)。

  ハンターキラー1.jpg 思っていたより潜水艦内部のシーンは多くはなかった。
 それは『クリムゾン・タイド』などに比べれば、の話。 初めて艦長として乗艦したジョー・グラスが全体を見回るシーンで潜水艦全体を観客も観ることができる。 カメラが動けるように実際の潜水艦よりは少し広いんだろうな、とは思いつつもやっぱり狭いのである。 まだ港にいるうちはいい、これが海に出て、さらに海中深く進んでいくことを考えれば・・・その閉塞感たるや、なんだか息苦しく感じられるほど。
 しかし、こんなときに艦長を任されるジョー・グラスの経歴が結構謎のまま・・・いろいろ教えてはくれるけど、何が決め手なのかみたいなことは不明のままなのは、彼もまた特殊部隊の人たちのように秘密の任務を担っていたからとか?
 最近すっかり肉体派アクションヒーローのジェラルド・バトラーが、有能ではあるだろうけど無敵ヒーローではない軍人の端くれなのがうれしいんだけど(彼はもっと繊細な演技ができるんだよ!、と伝えられるが故に)、でもなんだか貫禄が漂っちゃってるから無茶なところも存在感でカバーしちゃってるよ・・・。
 が、あたしを驚愕させる展開がのちに待っていた。

  ハンターキラー3.jpg ミカちゃん!
 ミカエル・ニクヴィスト! 出てるの知らなかったので、思わず声が出そうになって口を押えた。 出演しているけど未公開の作品、あったんだ!
 沈没し、低体温症で死にそうなところをぎりぎりハンターキラーに救われたロシア原潜のアンドロポフ艦長(ミカエル・ニクヴィスト)だから顔は青白く、よろよろでの登場だったが、多少落ち着いてからも顔に出ているやつれ度合いに胸が痛む。 スウェーデン人なのにアメリカ映画に出るとロシア人の役、多いよね。
 あくまで潜水艦乗りとして(古くは船乗りとしての誇りと絆)、アンドロポフはグラスと信頼と友情を築いていく過程に胸が熱くなる!
 この二人が共演していることであたしの中でこの映画の価値がぐんっと上がったのは間違いない。

  ハンターキラー2.jpg コモン、見た目がどんどん普通の人っぽい感じになっているのが楽しい。 『ジョン・ウィック2』のときにはいかにも殺し屋だったのに、本人はラッパーなのに。
 NSAのジェーンが『グリーンブック』の奥さん役だったリンダ・カーデリーニで、出演映画が短期間で続くと(日本では本国と公開時期がずれるから)「あぁ、こうやって売れていくのね」と思ったり。 もともと『ER』後半以降のレギュラーだった人だから顔は知っていたけど、映画をメインにしていくのかなぁ、とかね。
 この二人に挟まれ、ゲイリー・オールドマンが<ただキレやすいオヤジ>になっちゃっているのが微妙だけれど、内に狂気を持っていることを隠そうともしていない人物である、と説明なしに感じさせる人だから、ゲイリー・オールドマンの無駄遣いというわけでもないのかも。

  ハンターキラー5.jpg 陰の主役たる特殊部隊のみなさん。
 命令が出てから現地に行くまでが早い! その確かな仕事ぶりにも胸熱です。
 そもそも“ハンターキラー”(は暗号名で、実際は原子力潜水艦アーカンソー)が任務に就くため出発したのはイギリスの米軍基地の港からだったし、世界各地にある米軍基地がこれらの活動をサポートしているのがよくわかる。 だから地球規模のエリアをカバーできるわけで、その中に沖縄も組み込まれているのねと実感できてしまうんですよ。 わー、なんか複雑な心境!
 かなりあたし自身が仕事で疲れがたまっていたため、「途中で寝ちゃったらどうしよう」とドキドキしていたのだけれど、ミカちゃんショックもあり、次から次へとハラハラの連続展開(勿論、海の中でソナーをかいくぐる沈黙の中にも息詰まるお約束のシーンもあり)で、眠気を感じる余裕もなかった。 アクション映画としてとても正しい。
 エンドロールで、「ミカエル・ニクヴィストに捧ぐ」とあったので・・・あぁ、公開は亡くなってからだったのか、と知りちょっと泣きそうになる。 ネットニュースを見ただけだったから実感がなかったのだけれど、やっぱり事実だったんだ。 でも彼が出ている映画を観たら、多分その実感をあたしはまた忘れてしまうんだろう。 画面の中ではいつまでも、たとえ死ぬ役であっても(『ジョン・ウィック』とか、『Mi:/ゴースト・プロトコル』とか)、そこにいるから。 特にスウェーデン版『ミレニアム』に彼は必ずいるしね。
 ありがとう、ジェラルド・バトラー! あなたにつられてよかったよ!

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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