2019年02月19日

ディア・ハンター 4Kデジタル修復版/THE DEER HUNTER

 「おぉ、『ディア・ハンター』が映画館で観られるのか!」
 シネ・リーブル神戸でこのポスターを見たとき、思ったのがまずそれだった。 あたしがこれを観たのはもう20年以上前?、しかもWOWOWで、18インチぐらいの自宅のTVを1mぐらいの距離で観た・・・(目が悪いもので)。
 打ちのめされましたよね〜。 クリストファー・ウォーケン目当てで観たから余計に。 印象が鮮烈なので、もし観たすぐだったら映画館で、とは思わなかったかもしれない。 20年ぐらいたったから、再び観たい気持ちになったのかもしれない。 そうだよね、『カティンの森』、あたしはまだしばらくいいもん・・・。

  ディア・ハンター4K P.jpg 戦争がもたらす狂気と心の傷。

 ベトナム戦争真っ最中のアメリカ、ペンシルバニア州。 製鉄所で働く仲間たちのうち、マイク(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スティーヴン(ジョン・サヴェージ)が近々出兵することになっていた。 町に残るスタンリー(ジョン・カザール)、ジョン(ジョージ・ズンザ)、アクセル(チャック・アスペグレン)らは、壮行会とスティーヴンの結婚式を盛大に開く。
 その後、戦場で再会した三人はベトナムで捕虜としてとらわれる。 その地獄から脱出するためにマイクがとった策略は・・・という話。
 <4Kデジタル修復版>といいつつシネ・リーブル神戸では2Kでの上映でした。 冒頭はちょっと画面のざらつきが目立ったけど、だんだん気にならなくなるから大丈夫です。
 意外と覚えていない・・・と思うとものすごくはっきりと覚えているシーンがあったり。 いろいろと確認作業をおこなってしまった。
 ペンシルバニア州にはこういう地域もあるのね。 ある一定年齢以上の女性が同じような格好をしていたりするのでこの町は特定のコミュニティなのか?、と今回気づいた。 結婚式、変わってるなと昔は思っていましたが、ロシア正教だと今はわかるよ! ロシア系移民なの?

  ディア・ハンター4K 2.jpg そうだ、結婚式のシーン、長いんだった。
 でもこの場面があるから町の人間関係が全部わかるのだ。 それにしてもニックのかっこいいこと! 貴公子然というか・・・小さい町の中で一人だけ特別、みたいな雰囲気(本人は全然そう思っていないところがまた)。 そりゃ、マイクは愛してしまうわよね。
 ニックにはリンダ(メリル・ストリープ)という恋人がいて、マイクも実はリンダを・・・という感じっぽいのですが、あたしは普通にマイクはニックを愛していて、その気持ちをリンダに投影していると最初観たときに疑いなく思ったのですよ。 今回、「どっちにもとれるようになってるのでは」と確認したけど、それは「マイクが好きなのはリンダ」説をあとから聞いたからというか、「マイクが好きなのはニック」とまったく感じない人もいる、と知ったから。 別にBLというわけではないのだが、今観たらマイクのニックへの愛情を序盤から感じる人は増えるのではないかしら。 そういうところにも、“時代”を感じてみたり。

  ディア・ハンター4K 1.jpg 鹿狩りは彼らの楽しみ。
 出征する前にも、鹿狩りに行く。 『ディア・ハンター:THE DEER HUNTER』のタイトルの意味はそこから。
 彼らの日常生活はたっぷりと描くのに対して、ベトナムに行って以降はかなり短縮されている。 彼らがそれだけ<覚えきれない>時間を過ごしたからなのか、戦場の実際に自分のペースなど吹っ飛んでしまったからなのか。 残虐で意味不明で不可解なことだらけなのに、ベトナムでの出来事はどこか荒唐無稽さを漂わせているのも「リアリティがない」と2019年から観たらつっこまれそうなんだけど、これはリアリティをどうこうする映画じゃない気がする。
 無事に帰ってこれた人、大きなケガを負って帰ってきた人、もう帰れないと思い込んで帰る道を見失ってしまった人、状況は違えども戦場経験でみんな人生が変わった。 これから日常に復帰してどう生きるのか、の課題を抱えている人も、帰ること自体が選択肢にない人はどうしたらいいのか。 その結末しか残っていないのか。
 そもそも、このゲームを最初に始めた(利用した)のはマイク。 マイクに引きずられて加わらざるを得なかったのがニック。 だけどニックは自分だけが助かったのだと思って、罪悪感に押しつぶされてしまった。 それを助けられるのはマイクだったのに、あの時マイクは間に合わなかった。 もう一度探しに行ったとき、もうニックは引き返せないところまで来てしまっていた。
 タイミングが合わなかったといえばそれまでだけど・・・あの時、マイクはもっと本気出してニックを追いかけてほしかったよ。
 でも、きっとニックは最後のとき、しあわせを感じたんだろうな・・・と思えるのが唯一の慰めで、またあたしは泣いてしまいましたよ。
 以前は「マイクにもどうしようもなかった、運命の皮肉」と思うしかなかったのですが・・・マイクにもう少し頑張ってほしかった。 マイク自身戦争の傷を抱えているけど、ニックを最初に救えてたらマイクの傷も早く癒えただろうし。
 と思っても、思ったようにいかないのが運命というやつで。
 残酷だ、この世の中はやっぱり。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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