2019年01月18日

シメール/服部まゆみ

 これ、確かカバーがすりガラスみたいな感じになってた白い単行本だったよなぁ、そしてあんな話だったよなぁ、と記憶を引っ張り出すも、それに絡みついていろんなものが出てきて、「いやいや、それは『罪深き緑の夏』で、そっちは『ハムレット狂詩曲』」と自分ツッコミ。 どうやら記憶の同じ引き出しに入ってしまっているらしい。 「これ、あたし前に読んでるよね」と不安になってきて、つい1ページ目を読んでしまう。
 ・・・おぉ、読んだ覚えあり!
 そうしたら止められず、最後まで読んでしまった・・・。

  シメール 服部まゆみ文庫版.jpg だから顔をはっきりさせてしまうのは(以下略)。

 クリスマスの日に家が火事にあってしまい、小さなアパートに映ることになった一家。 翔と聖は双子の兄弟で、聖は母親のお気に入りの“いい子”だが翔は一人でいるのが好きな寡黙なタイプ。 ある日、大学教授である片桐は翔を見かけ、その“美”に魅了される。 実は翔の両親は片桐の美大時代の同級生だったこともあり、旧交を温める形で片桐は翔のもとを訪れ・・・という話。

 といってもあらすじはあまり役に立たないのだが。
 章立て・構成・文体と、すべてが服部まゆみ的であり、誰も真似ができないものだなぁと改めて感じる(真似をしてもすぐに真似だとわかってしまう)。 あたしも影響を受けて<・・・>を使うことにためらいがなくなってどんどんつかってしまうのだが、<・・・>の使い方もやっぱり違うんだよなぁ、真似ができない。 美意識やセンスの裏打ちがあるかないかですよ!
 とはいえ、あたしもいたずらに歳を重ねてきたわけではない。 片桐がまたもや澁澤龍彦をモデルにした人物だということは前に読んだ時よりもはっきりわかるし、このタイプのキャラクターは服部まゆみ作品には必ずといっていいほど出てくるので若干時代を感じなくもない・・・のだが、その世界観に入り込んでしまうとそんなことはどうでもよくなるのだよね〜。
 あたしの思う<耽美>ってこういう感じですよ!
 どうしようもない悲劇と人の愚かしさをここまで美しくまとめてもらったら、痛みすら感じない。
 ・・・あぁ、『ハムレット狂詩曲』も読みたくなってきたぞ。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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