2019年01月17日

蜘蛛の巣を払う女/THE GIRL IN THE SPIDER'S WEB

 どうしようかとても悩んだ。 原作を読むかどうかのときの悩みと似ている。
 <『ミレニアム』三部作>はスウェーデンで映画になっているけれど、ハリウッド版は一作目『ドラゴン・タトゥーの女』のみで、続編が原作の四作目になっちゃってる・・・しかもスタッフ・キャストも一新、微妙に格落ち感あり。 でも前作の監督デヴィッド・フィンチャーが製作総指揮に名前を残しているからなぁ。
 いや、悩んでいるくらいなら、早くいかないと終わるぞ!、という気持ちになって行くことに。 『ボヘミアン・ラプソディ』のヒットでスクリーンと時間の押さえが読めなくなっているよ・・・。

  蜘蛛の巣を払う女映画P.jpg リスベット、16年前なぜ私を見捨てたの――

 本格的な冬が近づくスウェーデン・ストックホルム。 その世界では知らない者はいない天才ハッカー、リスベット・サランデル(クレア・フォイ)だが、以前ある事件でジャーナリストのミカエル・ブルムクヴィスト(スヴェリル・グドナソン)と一緒に謎を解いたため、世間的にも名前を知られるようになった。 そんな中、隠れ家に住むリスベットのもとに人工知能研究の世界的権威・バルデル博士からの依頼が来る。 NSAに納品した核兵器作動プログラムが危険なので盗み出してほしいという。
 一方、ジャーナリストとして行き詰まりを感じ始めたミカエル・ブルムクヴィスト(スヴェリル・グドナソン)は懸命にリスベットの跡を追っていた。 そして封じ込めたはずのリスベットの過去から、カミラ(シルヴィア・フークス)が立ち塞がる・・・という話。
 わぁ、話をまとめるために大胆に刈り込んだなぁ。

  蜘蛛の巣を払う女映画4.jpg リスベット、ちょっと健康的に?
 細身ではあるものの、ノオミ・ラパスやルーニー・マーラにあった病的なところがないのでリスベットはかなり立ち直っていたように見えてしまった。 更にどことなくあどけないような、イノセントな表情をたたえていて、まったく新しい“リスベット・サランデル”になっている。 ただそれがすべての人に受け入れられるかは別の話で・・・ルーニー・マーラが好きだった人はいまいちだと思うだろうし、逆にルーニー・マーラがいまいちな人は気に入るかも。
 OPが<リスベットの心象風景>という『ドラゴン・タトゥーの女』からの設定を引き継いでいるのはうれしかったが、音楽のインパクトは弱い・・・。
 しかも冒頭の雪景色がいかにもCGっぽく、「ほんとにスウェーデンで撮影しているのか!?」の疑惑がわく。 ストックホルムの夜景などは空撮だろうけど・・・北欧っぽいけどどうも北欧ではない感じがしてしまい、いまいち盛り上がれない(エンドロールで探したが確証が見つからず、ドイツでロケしたような雰囲気)。

  蜘蛛の巣を払う女映画3.jpg ミカエルがほぼ脇役なんだけど・・・。
 すっかりリスベットが主役なのでミカエルの出番があまりないのであるが、「ジャーナリストらしく勢いはあるが、実戦ではほぼ役立たずの優男」という原作のイメージに比較的近いとはいえる。 ちょっと若過ぎかなとも思うけど、せっかくいい男なのに見せ場が少なくて残念だよ〜(しかも彼は『ボルグ/マッケンロー』のボルグの人なのである。 全然違うので名前見るまで気がつかなかった)。
 設定的にはミカエルはスウェーデンを代表するジャーナリストのはずなのだが(自力で過去にスクープをいくつもとっている)、まるでリスベットがらみでしか書けない人みたいな描き方をされていて・・・ちょっと不本意である。

  蜘蛛の巣を払う女映画2.jpg 赤が強烈なカミラ。
 まるで眉がないみたいなカミラ(実際は眉が顔の色と変わらないくらいなのでないように見えるだけ)のインパクトはリスベットの対比として素晴らしい・・・のだが、キャラクターとしていささか強引、しかも彼女の言い分は結構言いがかりなのでかなしい。
 結果的に二人が対立するような形になってしまったこと自体が、決してお互いが望んでいない、父親や環境のせいなのだということなのだけれど・・・リスベットというキャラクターの成立にそこまで理由付けしなければいけないものだろうか、という気がしないでもなく。 あたしが子供のときから『スケバン刑事』の麻宮サキを見てきたせいもあるけど、「誰かのために命を懸けて戦う女性」は全く新しい存在というわけではないので。
 それにしても・・・リスベットが父親にガソリンかけて火をつけたという過去、なかったことになっているのか?

  蜘蛛の巣を払う女映画1.jpg 脇役もいい味出てるんですが。
 中弛みもなく一気に話が進むし、全体的にサスペンススリラーとしては水準以上の出来ではあるんだけど、<ミレニアム>の続き、『ドラゴン・タトゥーの女』の続編と考えちゃうとちょっと弱いんですよ。 リスベットが髪を立てて向かうときは覚悟が込められているとか、原作知らないとわからないところが結構あり(知らなきゃ知らないで流せるのかも)。
 なんか物足りない!
 カミラとの関係に重きを置いたわりには掘り下げが足りなく、「えっ、リスベットってこんな感傷的だった?!」と唖然としたり・・・。
 あと、出てくるガジェットにやたらSONYのロゴが目立つとこ(SONY映画なんで)、やりすぎ。
 『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレス監督だったのでスタイリッシュ&スピーディな『ドラゴン・タトゥーの女』の世界観をうまいこと踏襲しているのだけれど・・・やはり格落ち感は否めなかった。 あぁ、なんかもったいない。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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