2018年12月26日

いつだってやめられる 闘う名誉教授たち/SMETTO QUANDO VOGLIO

 なんにも知らず『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』を観てしまったあたしは焦った。
 「これって三部作の二本目だよね?!」
 エンディングで完結編の予告を見せられて唖然・・・話、全然まとまってないし! そういうことを事前に告知しない配給会社の根性も大したものだと思ったが、完結編がちゃんと公開! めでたい! でもシネ・リーブル神戸では一週間限定公開(しかも一日一回)なのだ・・・はいずって観に行けば、けじめをつけたい方々が結構集まっており、盛況。 前作を(人によっては一作目も)観ている人たちばかりだったようで、観客のノリもいいよ!

  いつだってやめられる 闘う名誉教授たちP.jpg 集結!団結!完結!
   文句なしのグランドフィナーレ。落ちこぼれ教授たちの最後の名誉挽回劇。

 合法ドラッグの成分をはっきりさせ、違法ドラッグ認定を増やすために仲間たちといろいろやっていた神経生物学者のピエトロ・ズィンニ(エドアルド・レオ)は、ある人物が危険な神経ガスを生成し、テロを計画していることに気づいた。 だが、ピエトロの話を誰も信じようとはせず、仲間たち(それぞれみんな専門を持つ学者・研究者だが、経費削減のあおりを受け失業中、ピエトロの話に乗った)とともにバラバラの刑務所に収監された。 警察や関係者に訴え続けていたピエトロだが、結局信じられるのもテロ計画を止められるのも仲間たちしかいない、と法学者で弁護士のヴィットリオ(ロザリオ・リスマ)に、みんなを同じ刑務所に集めるさせ、集団脱獄をすることに・・・という話。
 計画者のヴァルテル(ルイジ・ロ・カーショ)側からの描写と、1・2作目からの場面を織り交ぜて、やっと2作目のラストシーンに辿り着くまでのオープニング、結構あったな・・・おかげで時間軸は整理できましたけど。

  いつだってやめられる 闘う名誉教授たち1.jpg イタリアの法律はよくわかりませんが、全員有罪を認めるということで同じ刑務所に集合!
 まぁ全員集合してくれないと話は進まないんだけど。 でも彼らを見てなんだかうれしくなってしまった。 ちょっと懐かしいというか、「また会えましたね!」的な盛り上がりというか・・・どうやら彼らに愛着を覚えていたらしい。 しかももうみんないるので、新登場した誰かにズームアップする必要がなく、学者という名の専門バカたちの<正確さと詳細さにこだわるが故にどんどん本筋を外れていってしまう会話>を見ていられるのが楽しい。 この連作の面白さは、“不遇な研究者たち”の悲劇を喜劇として描いたところにある。

  いつだってやめられる 闘う名誉教授たち5.jpg 味のある新キャラも登場しますが、立ち位置が違うのでキャラはかぶらず。
 脱獄話がメインになってないかい・・・いや、面白いけど。
 この無茶な感じがたまらない。 無理矢理、強引、そんなバカな!、なノリがすべて、みたいな。 こういうイタリア的ないい意味でのいい加減さ、好きだ。
 前作ではオアシスが効果的に使われていたけど、今回はコールドプレイだったのにもニヤニヤ。 音楽も楽しい!

  いつだってやめられる 闘う名誉教授たち4.jpg 目的のためにはアリアも歌うペトレッリ。 ていうか歌えるんだね・・・。
 お笑い担当は主にこの人、かと思っていれば、実はみなさんバランスよく面白いという。
 しっかり底支えをしているから、ピエトロの自分探し(実は気弱で押しの弱いタイプなのに、一連の件でリーダー役をせざるをえなくなって、前に出ることを身につけられるようになった、的な)も自然な描写に。

  いつだってやめられる 闘う名誉教授たち2.jpg いちばん危ない橋を渡っているのは、実はヴィットリオではないかと思う(刑務所には入ってないけど)。 その分おいしいけど。
 喜劇的な悲劇として扱われてきた研究者の末路に、最後にかなりの悲劇をぶち込むことで問題の根の深さを感じさせる余韻。 そして自分はひどい目に遭ったけど、今学んでいる学生たちにそれは関係ない・むしろ学生たちの未来は閉ざしてはいけないと感じる人としての真っ当さ(たとえそれが、過去の自分へのノスタルジーから出た者であったとしても)、に、あたしは胸を打たれましたよ。
 もうちょっとスキっと明快なラストシーンでもよかったのではないか、と思ったけれど(希望や美しさは感じるが)・・・まぁこんな微妙なグダグダ具合もこのシリーズにはふさわしいかも。 今年のうちに完結編が観られて、よかったです。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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