2018年12月13日

ワイルド・ソウル/垣根涼介

 「なんかすごかったです〜」と人に薦められ、読んでみることに。
 初めての日本人作家はためらいがちですが、高校生のときクラスメイトに「これ、面白かった!」と船戸与一の『山猫の夏』を薦められ、読んだら面白かった。 冒険小説系はあたしの手薄い部分なので、オススメしてもらえるのは大変ありがたい。 そこからまたつながっていくこともあるからね〜。
 しかしこれを薦めてくれた人、ハードなグロ系描写に慣れていないようで(もともと好きではないのかもしれない)、「第一部、読むのやめられない勢いがあるんですけど、気持ち悪くなっちゃいました・・・」とのこと。 どれだけ繊細、もしくはどれだけグロ耐性低いのか判断しかねるが・・・多分あたしのほうがそういうの慣れてる・耐性あるだろうということで身構えずに読み始めた。

  ワイルド・ソウル1.jpgワイルド・ソウル2.jpg この表紙イメージからはそこまでの悲劇性を感じさせないし。

 日本政府はかつて他国への移民政策を積極的に行っていた。 1961年、親戚からも借金して有り金はたいてブラジルに渡った衛藤だが、与えられた入植地は事前説明とはまったく違う赤土の密林地帯。 農業などできない土地で他の入植者たちと協力してなんとか耕作を続けるが、スコールや反乱する川など土が流され、彼らの苦労は水の泡に。 だが日本に戻ることもできず、ひとりひとりバタバタと斃れていく。
 その後、衛藤は長い苦労の果てに身を立てる。 当時の仲間の息子・ケイらとともに、日本政府、特に外務省への復讐を図る・・・という話。

 確かに第一部の迫力はすごい。 スピード感あふれ、読むことをやめられない。
 なんで南米への移民の話とかあったんだろう、と実は不思議だったのだが・・・(いわゆる長男以外は家督を継げない問題で、二男以下が一旗揚げるために、なのかと思っていた)、国が貧しくて国民全員を食べさせることができないので、出て行ってもらった(棄民政策だった)のね!
 それなのに今は少子化とか、移民を受け入れようとか・・・なんなんですか、と思ってしまう。 多すぎるからって減らして、今度は足りませんって・・・先のこと考えてない感がまるわかりでバカっぽい。
 そう、バカっぽいのだ。 どれほどの悲劇があっても、そもそものことがバカなので、より悲劇に無情感が漂う。 やりきれないし。
 で、復讐案が・・・ケイがブラジル生まれのブラジル育ちなので、日本人的な悲壮な何かを持っていないがために、彼のパートがラブコメ青年マンガみたいに感じられてしまい・・・軽い。 いや、それはそれでいいんだけど、第一部のトーンで最後まで行ったら一体どんなことになっていたのか、知りたい気持ちもなくはない。
 面白かったけど・・・この人の別の作品を読もう、とまではならないな。 女性の描き方がステロタイプだからだろうか。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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