2018年11月27日

アウト&アウト/OUT&OUT

 予告見て・・・「明らかにVシネじゃん」と思ったものの、しかもそういうハードボイルド系が特に好きというわけではないのですけれども、遠藤憲一主演で一応全国公開となればエンケンさんのために観ておいたほうがいいかなぁ、という気持ちになって。 別に恩を着せているわけではありませんよ、ちょっとでも興行成績が上がるといいなぁ、という気持ちで。
 とか言いつつあたしはVシネちゃんと観たことないのですが、「多分Vシネってこういう感じだろう」という雰囲気全開。

  アウト&アウトP.jpg 七歳の少女の相棒<パートナー>は元ヤクザの男。
   ――職業、探偵。

 古いビルに探偵事務所を開いている矢能(遠藤憲一)は元ヤクザ、しかもかなりの顔役だったため、堅気となった今でも裏社会に顔がきく存在。 が、何故か事務所には小学2年生の栞(白鳥玉季)という少女がおり、矢能が保護者(後見人?)という形になっているらしい。 栞は働かない・仕事の選り好みをする矢能に苦言を呈する日々。
 ある日、矢能のもとに一本の依頼の電話が入る。 指定された人気のないビルの一室に矢能が出向くと、依頼人は打たれて死んでおり、犯人もその場にいて「何か余計なことをすればお前が犯人だという証拠を警察に送る」と去っていく。 コケにされてそのまま引き下がる矢能ではない、電話で“掃除屋”を呼び、背後関係を探り出す・・・という話。

  アウト&アウト2.jpg アメリカ歴代大統領のフルフェイスマスクはなんかあるの?
 ハードなバイオレンス映画をつくります!、と冒頭から宣言しているかのように、全編そういうトーンで突き進む。 ところどころコメディタッチの場面もあるけれど、ある意味<裏社会ルール>自体がコメディみたいなものなので、なんだか不思議な気がする。 男社会だからかな? 『探偵はBARにいる』とも通じるものがある、これが「東映カラー」というやつなんですかね。

  アウト&アウト1.jpg 栞ちゃん、見たことある子だなぁと思ってたら『とと姉ちゃん』の青葉ちゃんだった。 なんかおっきくなってるぞ!
 エンケンさんに女の子ってズルい組み合わせだよなぁ、と思ってました。 この二人のやり取り、いい!
 栞ちゃん、この年齢でいったいどんなつらい過去を抱えているのか・・・と感じさせる言動(だいたいのことは劇中で語られますが)、彼女に対して必要以上のことは言わないけれども必要なことは絶対言う矢能(まぁそれでも言葉は足りないんだけど、矢能にしてみれば精一杯なのであろうとわかる)に疑似親子の姿を見ますが、現実は栞ちゃんのほうがお母さんだから。
 でもそれ以外の場ではガチ元ヤクザのノリで、最近いい人や普通の役が多い遠藤憲一が挨拶もなしの直接話法を繰り広げる様が逆に新鮮。
 ただ前半は情報屋として竹中直人が出てきたりとそれぞれの表情を撮りたいがためかカット割りがうるさいと感じられる部分もあり・・・アクション・暴力シーンで動きは出るわけだから静かな場面ではカメラも静かでいいのかもと感じたり。 まぁそれは個人の感じ方の差だとも思うのですが。

  アウト&アウト4.jpg 工藤ちゃん、妙にお茶目なキャラでした。
 矢能さんにはお世話になって、といろいろ融通を利かしてくれる人は何人か出てきますが、中でもピカイチは工藤ちゃん。 多分ヤクザなんでしょうけど、一般人的な感覚も持ち合わせていそうなところがキュートで。 個性的なキャラクターの背景には多くの語られていない要因がある、と想像するのは楽しいし、それぞれの人生のある一時期をのぞき見したような気持ちになる。
 「よく考えたら理屈に合わない」ということをこういう映画で考えてはいけない、ここは勢いで乗ったほうが勝ち。
 前半は殺伐とした空気感だったものが、後半はいつの間にか頭脳ゲーム的な展開になっているのがびっくり。 でも絶対的な善や悪は存在せず、義理や人情に重きを置かれ、以前は敵だった相手の身になったり、眼中になかった相手でも邪魔してくれば除外する、という<法律なんか関係がない世界>は、やはりあたしにはファンタジーに思えた。 現実にも裏社会は存在するんだろうけど、矢能さんみたいな人が存在するのならやはりファンタジーだろう。 これもまた、エンケンさんがやるからこその説得力。

  アウト&アウト3.jpg 衆議院議員・鶴丸清彦(要潤)、明らかに悪役なカオ。
 つきつめればカネと権力だよな、という価値観が若干古い感じがしますが、まぁそれも含めての時代感。
 登場人物もほとんどが男性で、恋愛展開がないところもよかったですが、逆にいえばヤクザ稼業の方々において女性というのは商売道具(もしくは性の対象)ということなのか、この映画に出てくる個性ある女性は少女と老婆だけ(カタギの女性も出てはきますが記号的な役回りのみ)。 つまり子供か親かという庇護の対象になる相手だけ(それが実の子供か親である必要はない)。
 男同士でつるんでいるほうが楽しい、という(精神)年齢の方々にはむしろ女性が邪魔だよな・・・と時々感じさせる映画があるけれど、だったら最初から入れません、という割り切り方がこの映画の勝因かも。 キャラ濃い人たちが多いからシリーズ化してほしい感じもあるけど、シリーズ化してグダグダになってもあれだし・・・「シリーズ化、するといいなぁ」と思うくらいがちょうどいいってことですかね。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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