2018年11月25日

数字を一つ思い浮かべろ/ジョン・ヴァードン

 なんか読むのにずいぶんかかってしまったような気がする・・・実際考えてみればそこまでではないのだが、途中何回も中断したのと(図書館の予約本優先等のため)、文章になかなかノれなかったので余計時間がかかった感じがする。
 決して面白くないとかそういうことではないのだが・・・なんだろう、とっつきにくい? 作者も、訳者も、初めてだからかしら。 前半、苦労しました・・・後半になってきて、やっとペースが上がってきた。

  数字を一つ思い浮かべろ.jpg 毒々しい、数字。

 刑事を退職し、暇を持て余して写真アートにはまっているガーニーのもとに旧友が突然訪ねてきて、「妙な電話と手紙が来た」と言う。
 「1000までの数字を一つ頭に思い浮かべてみろ」という。 友人は658という数字を思い浮かべた。 すると658が書かれた手紙が。 次々と届く不可解な手紙に耐えられずガーニーを訪ねてきたのだが、ガーニーの努力が実を結ぶことなく、友人は他殺死体で発見される。 周囲は雪が降った後で、犯人らしき足跡は森へ向かう途中で消えていた・・・という話。

 退職刑事が主人公ってはやっているのかと思ったら、ガーニー元刑事はまだ40代半ばという設定で、『ミスター・メルセデス』のホッジスのように定年退職組ではないのが新鮮。 ガーニーの妻マデリンも事件に自分から進んで巻き込まれる夫に辟易、といういかにもな感じでありながら、ガーニーの気づかなかったポイントを指摘するなど勘のいい女性である。 女性に助けられている刑事、多いぞ。
 唯一シリアルキラーと対決した経験がありながら、謎解きの興奮に夢中になってしまい思わず先走った行動をとってしまうガーニー、内省的な性格と思いきや時々頭のねじがゆるむ、まったく魅力的なキャラクターだ。 マデリンがいることで余計にそれが引き立つ。
 <まるで手品のような、謎、謎、謎!>と帯にありますが・・・確かに解決のくだりやヒントの散りばめ方など、日本の<新本格ブーム>のあたりの作品群の雰囲気に通じるものがある。 海外ではクイーンやカーなどの作品群が容易に手に入らないそうなので、日本の<本格ミステリ>に当たる言葉がないから<HONKAKU MYSTERY>というジャンルが英米に逆輸入される形で盛り上がってきているらしい。
 ハードボイルドもノワールもよいが、一見して不可解な謎・それを思いもかけぬ形で実現させるトリックの存在こそミステリの華!
 でもパズル的要素だけでなく、人間ドラマ部分もしっかり用意されていて、小説としての完成度も高い。 ガーニーを主人公にシリーズ化されているそうだが、それも納得。 二作目以降も翻訳してくれるのかなぁ、期待して待ちたい。

posted by かしこん at 19:15| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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