2018年11月05日

遊星からの物体X <デジタル・リマスター版>/JOHN CARPENTER'S THE THING

 まさか『遊星からの物体X』をスクリーンで見る日がこようとは!
 多分子供の頃テレビで一回観たっきりなのだけれど、『遊星よりの物体X』のリメイクだということはのちのち聞いていて(正確には同一原作をまた映画化したということなのか?)、似たタイトル故に「どっちがどっちだっけ?」と混乱したこともある。 ま、ジョン・カーペンターとデヴィッド・クローネンバーグもごっちゃになってたりしたので、子供だったので許してください。 カーペンターのほうが大胆、クローネンバーグのほうが神経質、とざっくりわけて区別しましたけど。

  遊星からの物体XリマスターP.jpg 映画史上に燦然と輝く不朽の名作 SFホラーの至宝が36年ぶりに蘇る。
   閉ざされた南極基地に擬態する地球外生命体来襲 戦慄の一夜が始まる――

 アメリカの南極基地に、ノルウェー基地のヘリが犬を追いかけてやってきて殺そうとしている。 「何をしてるんだ?!」と聞くが興奮しているノルウェー隊員と意思疎通できず、撃ち合いになりヘリが爆発。 何があったのかと数人でノルウェー基地に向かえば、全滅していた。 どうやらノルウェー隊は南極の氷の中からUFOを発掘したらしい。そこにあった「なにかよくわからないもの」をアメリカ基地に持ち帰るが、犬の姿をしていた“X=The Thing”はその間にひそかに、アメリカ隊員の中に紛れ込んでいた・・・という話。

 さすがデジタルリマスター、すごく画面がきれい! 36年前の映画とは思えなかった!
 まぁ、確かにカート・ラッセルはすごく若いけど・・・なんとなくマーク・ウォールバーグとジェイソン・クラークの雰囲気が混じった感じに見えた!
 で・・・あれ、前半こんなにゆったりしたテンポだったのか、ということに驚いた。 合間にショッキング映像を挟むことなく、人影や揺れるものなどで「この後に起こるであろうこと」を漂わせるだけで直接描写はしない。 かといってピリピリの緊張感が支配しているというわけでもなく、何が何だかわからないアメリカ隊員同様、観客もまた「これからどうなるの?」という戸惑いに投げ込まれている。
 しかし“ヤツ”の正体がおぼろげにわかってからは一転、一気に心理スリラーに。
 ヤツがいつ出てくるか、ということよりも、「隊員たちの中の誰かがヤツに乗っ取られている」という認識から来る相互の疑心暗鬼が緊張感を生む! それは本来的と戦うべきなのに、同士討ちをしてしまって仲間を減らしてしまう危機。 でもその予兆は映画の最初から描かれていて、登場人物がみな(理由はそれぞれなれど)何かを壊す。 ヘリ飛行士(カート・ラッセル)はテレビゲームのチェスに負けて飲んでいた酒をぶっかけてショートさせてしまうし、隊長は室内からノルウェー隊が来ていることに気づいて危険を察して窓ガラス越しに銃を撃つ(南極の基地なのに外気が入ってきたら困るとか考えないのか、それだけ緊急事態だということなのかもしれないが)、など。 メンバーは男性ばかりでみな攻撃性を持っているということなのか、ずっと閉鎖空間にいるからそういう心理状態になっているということなのか、みんながそんな攻撃性を持っていなければこんな展開にならなかったのか。 それとも人間という種がそもそも持っている性質なのか。
 で、いざ“ヤツ”が出てくればものすごいビジュアルで、「あー、この質感とかグログロネトネトの気持ち悪さみたいなものは、最近のVFXやCGでは出せないよなぁ」とアナログ時代最強の実力を感じてしまいました。 ほんとにそこにある実体感が全然違うので。 でもちょっとこの感じ、懐かしいわ・・・。
 そしてのちのちのいろんなホラー映画の要素を見る・・・たとえば『トレマーズ』のすぐ地下を移動するときに床板がバラバラバラっと持ち上がっては落ちる場面とか、「あ、元ネタはこれなのか?!」と感じるところいろいろ。 もちろんすべてがこれのオリジナルではないだろうけど(ジョン・カーペンター自身、『遊星よりの物体X』の制作者ハワード・ホークスの影響を受けているとのこと)、なるほど、「不朽の名作」と呼ばれる意味がわかった気がする。
 個人的にはジョン・カーペンター作品では『パラダイム』・『マウス・オブ・マッドネス』・『光る眼』なんかも好きなんですが(特に『マウス・オブ・マッドネス』のサム・ニールの使われ方が大好きで、のちにそれに明らかに影響を受けたっぽい『イベント・ホライゾン』もニヤニヤして観ちゃった)、「ジョン・カーペンターといえば『遊星からの物体X』」な言われ方も仕方ないか。
 えっ、音楽、エンニオ・モリコーネなの?!、と驚くエンドロール。
 子供の頃テレビで見ただけの映画、改めていろいろ観直したい!
 家に帰ってから『ジョン・カーペンター読本』を読む。 な、なるほど、そうだったのか・・・。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。