2018年10月19日

散り椿

 木村大作監督作品だから観に行くけどさー(がんこジジイ好きなあたしは昔から大作さん本人のファンである)、藤沢周平風・浅田次郎的な時代劇ってなんか苦手というか、こちらの人生経験が足りないせいなのでしょうけどよさがよくわからないんだよなぁ。 だから葉室麟も読んだことないのよ、勝手に同じ匂いを感じてしまって。 あたしの時代小説はじまりが人形佐七捕物帳だったから?
 まぁ、でも岡田くんは時代劇あってるよね。 『追憶』のときの胸板の厚すぎ感、着物なら目立たない。
  散り椿P.jpg ただ愛のため、男は哀しき剣を振るう――

 享保15年、一刀流道場の四天王の一人といわれていた瓜生新兵衛(岡田准一)は、扇野藩の不正を告発したため追放の憂き目に遭い、京に逃れる。 藩でのことは忘れて最愛の妻・篠(麻生久美子)とともに静かな暮らしを送っていこうとしていたが、それでも刺客は新兵衛を狙い続ける。 胸の病により時間が残り少ないと悟った篠は新兵衛に藩に戻ってほしいという。
 かくして新兵衛は因縁の扇野藩に戻り、篠の弟妹、坂下藤吾(池松壮亮)と坂下里美(黒木華)のもとに身を寄せる。
 「藩を混乱に陥れた」として藤吾は新兵衛に冷たい態度をとるが、里美は「兄上ですよ」と弟をいさめる。 四天王のもう一人は坂下家の長男・源之進(駿河太郎)なのだが、不正にかかわることに責任を取って切腹している。
 残る四天王は二人、藩の要職についている榊原采女(西島秀俊)と篠原三右衛門(緒方直人)。 二人は新兵衛の友人でもあるが、いまはお家騒動にかかわる微妙な時期のため、表立って新兵衛のことは歓迎できない様子。 すべては石田玄蕃(奥田瑛二)が藩の実権を握っている以上は・・・という話。
 ちなみに<散り椿>とは、首ごとぼとりと花が落ちる普通の椿と違って、花びらが一枚一枚舞い散る種類の椿のこと。

 「藩から逃げましたが今も追われています」のくだりは映画が始まって余韻とか感じる間もなく(クレジットもまだ出てない!)、いきなりナレーションが語ってくれる。 「えっ、もう!」とびっくりするし、そのナレーションがトヨエツだからなおびっくり! 少しでも台詞がある人、顔のアップがある人はほぼ名前・顔の知られている人ばかりという豪華キャストには、<木村大作ブランド>の俳優の世界での大きさを感じる。
 ただねぇ・・・大作さん、リアリティ追求するし画の力はすごく綺麗なんだけど、監督となると役者への演出がいまひとつなところがあり・・・今回もそれが出ちゃいましたね。 たとえば藤吾の未熟者感が出たやたら声を張る音高めの喋り方、他にそういう喋りをする人が誰もいないので池松くんが下手に見えるじゃないか・・・映像のバランスばかりじゃなくて役者たちのバランスも考えて。
 瓜生新兵衛の剣はかなり実戦向きの速さのある構えで、「おおっ」と思わされるんだけど、同じ四天王のわりに榊原采女はそこまでではないように見えちゃう・・・“岡田くんと西島さんの差”として映ってしまうことが残念だ。
 「散る椿は、残る椿があると思えばこそ、見事に散っていけるもの」という新兵衛さんの言葉がテーマなのだろうけれど・・・。
 お家騒動と妻への愛が同じ重さ、むしろ後者のほうが重く描かれているように感じるのだけれど、その両者がうまく噛み合っていないような。 そこに更に<同士愛的男の友情>も絡んでくるので「いったいどうしたいのか、何を目指したいのかよくわからない!」ということに・・・登場人物の性格がよく伝わってこないんだよ! いや、これはあたしのせいだろう。 こういう世界観にあたしがなじめないのだ。
 いちいち説明しなくとも、その美学、わかりますよね、という「こういう時代劇」のお約束が、いまいちあたしにはわからない。
 ・・・やっぱりダメだったか、残念だ。

 リアリティ重視の、手首を切って相手の戦意を喪失させる殺陣はあっさりしすぎて逆に面白かったんだけど、血がドバドバと飛び散る斬り合いは黒澤映画へのオマージュですかね? 両端に振り切った“まったく新しい殺陣”への心意気はすごくいいと思うんだけど、間がなさ過ぎて両立できないというか、地味なほうを基準にすればもう片方は派手すぎると感じるし、派手なほうを基準にすると「なんでさらっと手首なで斬りされたぐらいでぴくぴく倒れちゃうの?」となってしまって物足りない。
 物語自体が<静>すぎるので、<動>の殺陣が引き立つというより悪目立ちしてしまうせいもあるかも。
 扇野藩がどのあたりにあるかも個人的には気になりました。 京にも行けて、江戸とも取引ができる場所・・・山が多くて和紙が主産業。 風景も考えると富山か長野あたり? まぁ、風景はロケ地で変わるから、お城は明らかに彦根城だしね(さすがにあたしもそれくらいはわかるようになってきた・・・)。
 オープニング・エンディングクレジットは何故ご本人たちの自筆でなければならなかったのかしら?(しかも筆ではなくてサインペンぽかった) 「わ、この人、字が上手! この人は残念」となってしまうのはなんかかわいそうでしょう! しかも大作さん本人は達筆すぎて読めなかったし。

  散り椿P2.jpg そして恒例、ひらパー兄さんによるパロディポスター。
 今回は「下手な鉄砲数うちゃ当たる」式な面白さで・・・ひらかたパークの心意気を感じました。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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