2018年10月14日

クワイエット・プレイス/A QUIET PLACE

 <『IT/イット それが見えたら、終わり』を超えた全米No.1ヒット!>とか言われたら期待しちゃいますよね。
 しかもエミリー・ブラントとジョン・クラシンスキー初共演、脚本と監督もジョン・クラシンスキーと、アイディア優先の低予算なので奥さんに主演頼んじゃいました的な裏事情も見え隠れするけど、エミリー・ブラントうまいし好きだからいいんです。

  クワイエット・プレイスP2.jpg 音を立てたら、即死。

 今は2020年。 ある日突然、地球は得体の知れない<何か>によって襲われ、人類は存亡の危機に陥ってから400日以上がたっていた。 生き残っている数少ない人々はその<何か>が音を聞きつけて襲い掛かってくることを学習したので、些細な音にも神経をとがらせ、静寂の中で生きていた。
 農場を営むリー・アボット(ジョン・クラシンスキー)とエヴリン(エミリー・ブラント)夫妻は自給自足が可能なため、娘と息子2人と5人で「やつらを引き付けるような音を立てない」というルールを家族みんなで実践している。 しかしエヴリンは妊娠中で、そろそろ臨月を迎えようとしていた・・・という話。
 映画は前半、たいへん静かで、些細な生活音にも神経をとがらせる空気。 だから観客側も、音を立ててはいけない気持ちにさせられた。

  クワイエット・プレイス4.jpg 予告で流れていたのは、長男が風邪をひいたため町の店にまで薬を取りに行った帰りの場面であった。
 うらぶれた廃墟のような商店街(?)だけど、誰かが何かを必要としてくるかもしれないから、とアボット夫妻は必要最低限のものしかもらわない。 そのビジュアルはディストピアものにはおなじみの光景で、そこから自宅の農場に帰る道は自然豊かで牧歌的ですらある。 音さえ立てなければ平和なんだからね。
 正直、「音を立てれば、即死」のコピーはいささか大袈裟である。 小さな音だったら大丈夫だったり、川や滝といった水の流れなど常に一定の音が流れているものは<何か>には生物個体の音とは認識されないようなので(<何か>は地球に来て学習したのかもしれないが)、水音のそばでなら会話はOKとか。 カナル式のイヤフォンで音楽を聴き、ダンスをする余裕すらある。 そういう緩急がないと、生きていけないよね。

  クワイエット・プレイス5.jpg 『ワンダーストラック』のあの子だ!
 長女リーガン(ミリセント・シモンズ)は耳が聞こえない。 だから家族の会話には元から手話が使われていたのもアボット一族がこれまで生き残ってこれた理由のひとつかも。 <耳の聞こえない女優>ってなかなか使いづらいと思われそうだけど、彼女は結構順調に仕事している気が。 今後もいい役に巡り合ってほしい。
 リーガンは耳が聞こえない、<何か>は音を聞き取りすぎる。 決して相容れられない立場だからこそ、何らかのヒントはそこにありそうな気配が・・・、と考えちゃうのがあたしの悪い癖。

  クワイエット・プレイス2.jpg 静かにすることが親から子に教えられるいちばん重要なこと。
 弟のマーカス(ノア・ジュープ)は姉のリーガンに比べると気が弱くて臆病者。 リーは次世代の人類をつなげられるように、子供たちに自分たちが身につけた知恵・サバイバル術を伝えていきたいと思っている。 奥さん妊娠してるし、アボット夫妻は現状に絶望せず、未来を信じている人たちだということがわかるが、その気持ちが全部子供たちに伝わるのはもう少し時間がかかりそう・・・。
 どこかで見たことあるよなぁ、と思ってたら『サバービコン』のあの少年ではないか。 登場人物は少ないが、きっちり演技のできる豪華キャストを揃えたね! 荒唐無稽な物語だからこそ、うまい役者が必要ですのよ。

  クワイエット・プレイス3.jpg いくら4度目の出産とはいえ、さすがに無音は無理ではないのでしょうか。
 そして生まれた子供はガンガン泣くのではないでしょうか? その対策はどうするの?、とハラハラします。
 まぁ、ツッコミどころは意外と多いですが、そのへんは「きっとそういうことなんだろうなぁ」と脳内補完をすることで気にならなくなりますので、粗探しするよりはこの世界を楽しみましょう! そのほうが絶対面白い!
 <何か>は正体を現さないほうがよかったかもしれないような気もしないでもないのだが・・・(『プレデター』一作目の半透明状態からカッパ姿が見えてしまったときのがっかり感を思い出した)、ここはどのホラー映画でも悩みどころですからね。
 結局のところ、描きたいのは家族愛・親子愛で、それを際立たせるためのディストピア・週末世界なのかと。
 描きすぎない、一歩手前のラストシーン、好きでした。

 上映後、大学生ぐらいの男子3人連れが席から立てずに呆然としていたのか(そこそこ込んでいたので客がはけるのを待っていただけなのかもしれないが)、「あれから400日以上たってるってことは、奥さんが妊娠したのってそういう世界になってからだよな? よくこの世界で子供をつくろうと思ったな。 ありえないよ」とざわざわしていて、日本における子供を産み育てるハードルの高さが若者にも十分すぎるほど浸透していることを実感しました。 アボット夫妻は自分たちの主義主張として、ちょっと宗教観もあり、人類を滅ぼさないための宿命を引き受けるという覚悟での妊娠だったと思うのですが・・・勿論考え方は人それぞれなんですが、それが伝わらない日本は、そりゃ少子化ですよね。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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