2018年08月28日

ウィンチェスターハウス アメリカでもっとも呪われた屋敷/WINCHESTER

 どう見てもB級の勢いなんだけれど(『ソウ』シリーズの監督ってざっくり過ぎて誰だかわからないと思ったが、<最新作の監督>ということならば『プリデスティネーション』の兄弟監督だ)、ヘレン・ミレンが出るからにはそこまで外さないんじゃないか、とちょっと期待して。
 まぁ、実話ベースとはいえ“inspired by true events”のレベルなんで(“based on true story”のほうが信憑性は高い)、そのへんもB級の香りが。

  ウィンチェスターハウスP.jpg 増築し続けないと、死ぬ。
   サウスウィンチェスター通り525番地、屋敷<それ>は今もそこに実在する

 1906年、アメリカ。 銃の開発・製造により巨万の富を築き上げたウィンチェスターはウィンチェスター一族が支配する企業である。
 精神科医のエリック(ジェイソン・クラーク)はウィンチェスターの重役会から、筆頭株主であり社主でもあるミセス・サラ・ウィンチェスター(ヘレン・ミレン)の診察を依頼される。 奥様は夫と娘を不慮の事故で亡くして以降、ウィンチェスターの屋敷を24時間365日態勢で増改築を繰り返して多額の費用を使い、企業の利益を圧迫しつつあったたため、責任能力がないと診断されれば経営から彼女をはずすことができるから。 カリフォルニア州にある屋敷を訪れたエリックはその異様さに呆然とする。 だがサラは「この増改築は必要なもの」だと言って譲らない。 一体彼女の本心は何なのかを探ろうとするエリックだが、屋敷に“なにか”がいることを否定しきれなくなり・・・という話。

  ウィンチェスターハウス1.jpg なにしろヘレン・ミレンを観るための映画。
 あ、時代ものなのか〜、と思うとホラーとしての怖さがランクダウンする気がする。 ゴシックの雰囲気を楽しむほうに気持ちをスイッチするべきか、ヘレン・ミレンだけを楽しむと割り切るか。 しかし奥様の登場まで意外と長く、観る気持ちを固めきれないうちに話が進んでいたのがまずかったのか・・・と思う。 なんというか、ホラーとして特に新しいものはなかったのよね、音と突然の登場で驚かす感じばかりでいまいち映画に入り込めないままだった。 でも、「何故奥様は屋敷を増改築しているのか」という謎に特化したミステリーだと思えば、そっちのほうが興味深い。 とはいえ、ヘレン・ミレンがいなかったら付き合うのが難しい映画だったかもしれない。
 奥様の気持ちはまるでアメリカの罪を一手に引き受けているかのような感覚で、そりゃ重役たちには理解できなかろう。 1906年設定なのに、そこに流れるのは非常に現代的な考え方のように思えて。 それは現代のアメリカに広がりつつある銃規制の考え方にも近く、あの時代にそう考えられたのは社会に接点を持つ妻であり母である女性ならではと描かれているようだ。 それだけ奥様を非凡な存在として扱っている。

  ウィンチェスターハウス2.jpg ジェイソン・クラークはだんだん、どこか吉田鋼太郎さんぽくなってきている。
 そんな奥様をそこらへんの精神科医がどうこうできるわけがないではないか。 しかもエリックはアヘンチンキ中毒であり、“なにか”を禁断症状のせい・恐怖は自分の中にあるものだと自分に言い聞かせる。 人を診察する前におまえ自分をなんとかしろよ、とつい説教したくなるタイプなのでとても頼りにできないキャラなんだが、がんばる人でした。
 だけど、なんで見える“なにか”はまず子供なんだろうなぁ・・・さめるわぁ。
 ショッキング描写に現代性は取り入れつつも展開はオーソドックス。 時代物だから王道から離れられないのか〜。
 とか微妙に物足りなさを感じちゃうかな〜。
 罪の意識・贖罪というテーマ性は強く感じますが・・・。

  ウィンチェスターハウス3.jpg 子供を憑代に、というのはよくあるパターンよね。
 他の主な登場人物としては、サラの姪のマリオン(セーラ・スヌーク)とその息子ヘンリー(フィン・シクルーナ=オプレイ)、家の使用人たちなど。 コンパクトな人物配置はわかりやすいが物語の意外性にはつながらない。 増改築を繰り返してきた屋敷の構造の不可解さは序盤ではそこそこ描写されるんだけど、途中からは同じ場所しか出てこない感じで、<一歩間違えたら迷宮のように迷い込んでしまう>ような恐怖は感じられなかった。 “途中で天井にふさがれる階段”もあたしはあまり不気味に思えなかったのよね・・・なんか残念。
 とはいえ、「そうか、地震のあまりない地域では揺れはポルターガイストとして解釈されるのかも」ということにすごく納得できた。
 エンディングで本物の奥様の写真が映るんだけど、その感じではまるで奥様がすべての現象の原因みたいじゃない・・・奥様の尽力があったからこそなんじゃないの?、という気が。 ヘレン・ミレンの存在が大きいが故の違和感。
 実話ベースだからその後についてなにか言及があるかと期待したら、特にない・・・ウィンチェスター一族は今でもアメリカでは有名もしくは子孫がつながりを明らかにしたくないなどの意図があるから語れないのか?、と邪推してしまうほどだ。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。