2018年08月16日

錆びた滑車/若竹七海

 不運な女探偵、葉村晶がまた帰ってきた!、ということで・・・読んだらすぐ終わってしまうんだけど、でもこれはすぐ読みたくなっちゃうよなぁ、と気がついたら手に取っていた。 自分としては長引かせていたつもりだったが(読みかけ本も図書館予約待ち本もあったから)、でも一ページから読み始めちゃったら、もうダメよね・・・。

  錆びた滑車.jpg タイトルは『星の王子さま』の一説から。

 吉祥寺のミステリ専門書店のアルバイト店員でありながら、書店二階が事務所である<白熊探偵社>の専属調査員である葉村晶。 単独の調査依頼はなかなかないので、昔なじみの大手調査会社の下請けの仕事を回してもらっている。 ある日、ある老女の素行調査のため尾行していたら、その老女が訪ねた相手・青沼ミツエと喧嘩をはじめ、二人が階段から転げ落ちて晶の上に降ってくる。 おかげで晶も怪我をして、青沼ミツエと知り合うことに。 彼女の孫・青沼ヒロトは交通事故に遭ってひどい怪我を負いリハビリ中、そして何故その事故に遭遇したのかを含め最近の記憶を失っていた。 晶はヒロトから「自分の失っている記憶を埋めてほしい」との依頼を受けるが・・・という話。

 帯には「葉村晶史上、最悪最低の事件!」とありますが・・・あたしとしては「葉村晶史上、最もせつない事件」ではないかと。
 ヒロトやミツエに対する感情は葉村晶には珍しいというか、いつも対人関係に一歩引いているところがある彼女がつい一歩踏み込んでしまったがためにこうむる痛手がせつないのです。 『悪いうさぎ』とは種類の違うたちの悪い事件だということもあり、調査の過程もある程度解明された後もなんだかすっきりしない。 犯人がわかったからって、起きたことは変えられない、という不条理。
 そして、彼女の衰えを感じてかなしくなる・・・彼女が衰えたことそれ自体にではなく、彼女自身が自分の衰えを思い知ってしまっていることに。 読者として「こいつがあやしいって!」と結構早めに気づくのに、彼女がうっかりスルーしてしまうなんて!
 やはり体力が衰え、満身創痍でろくに食事もできてない状況では頭の働きも鈍るのか・・・。
 探偵(調査員)の仕事は体力勝負、いくら生き方や覚悟が備わっていても若さにはかなわないのか。
 これからの葉村晶の生活に、心配が。

ラベル:国内ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。