2018年07月27日

真鍮の評決 リンカーン弁護士/マイクル・コナリー

 久し振りにコナリー作品に復帰。 どこから読んでないんだっけ、と思ったら『真鍮の評決』だった・・・<リンカーン弁護士>シリーズ2作目。 もう5作目も出てるよね・・・まぁ、ボッシュものもっと放置してるけど。
 そんなわけで6年遅れで読みました。
 一作目『リンカーン弁護士』事件から約一年後、ひどい痛手から刑事弁護士業務から遠ざかっていたミッキー・ハラー。 しかしそろそろ復帰しようとしていた矢先、弁護士仲間のジェリー・ヴィンセントが非業の死を遂げる。 ジェリーは自分に何かあったときの代理人としてミッキーを指名していた(別に命の危険を感じていたからではなく、形式的なもの。 ずっとミッキーも同じ書類にジェリーの名を書いていた)。 おかげで休業明けの弁護士はいきなり32件の訴訟を抱える売れっ子に。 その中でもいちばん大きく、厄介な案件は「映画製作会社のオーナー、妻とその愛人を殺害」というやつ。 その事件の被告ウォルター・エリオットは検察側が十分な証拠を持っていると言っているのに落ち着き払い、「自分は無実なんだから当然、無罪評決が出てすぐに元の生活に戻れる」と疑っていないようで、その動揺のなさに逆にミッキーは疑惑を覚えるが・・・という話。

  真鍮の評決1.jpg真鍮の評決2.jpg 『真鍮の評決』の意味とは・・・最後にわかります。
 いつも「ミッキー」と呼ばれているし自分もそう言っているので、実は本名(?)はマイケル・ハラーだと思い出させる場面で「あぁ、そうだったね!」と深く頷く。 外国語の愛称の付き方のルール、やっぱりよくわからない(愛称をどの状況でまで使うのか、を含めて)。
 物語はそんなミッキーの一人称で進みますが・・・あぁ、そうだった、ミッキーは口は達者だけど(弁護士だから?)、結構腰抜けで、でもお坊ちゃま育ちだからか根本的にはいい人でつい人を信じてしまいがちで、だから「依頼人が有罪であろうと関係ない、無害を勝ち取ることが仕事」とあえて悪ぶっている自分に酔いつつ、そんな自分を恥じている。 ダメ男だがにくめない、そんな人だった。
 で、前任者が殺されて犯人が見つかっていないため、その調査と護衛の意味も含めてロス市警からやってくるのがハリー・ボッシュ。
 ミッキーとハリー、初共演!、が本作の肝。 とはいえLAタイムズの新聞記者ジャック・マカヴォイくんも出てくるんですが・・・あくまでちょい役。 そんなちょい役でもいい印象を残さないジャック・マカヴォイ、あたしはほんとに彼が好きではないらしい。 ジャックに比べたらミッキーなんてかわいいもんさ。
 事件の方は・・・翻訳時差とあたしの時差のせいで、裁判物としての意外性はあまりなかったかも(その間にあたしが裁判物の映画やドラマを見ちゃってたから)。 でも事件を構成した背景などは、いかにもLAというか、映画製作にどれだけお金がかかるかということにも絡んでいてなんだか悲しくなる・・・映画は夢でも、それをつくる過程は容赦ない現実なのね。
 しかし驚いたのは、ミッキーとボッシュの秘密のつながりについてこの話で明らかにしてしまったこと(ボッシュが知っていることは読者もわかっていたけど、ミッキーは知らないことだったから)。 それで引っ張るような話は書かない!、というマイクル・コナリーの矜持か。
 でもシリーズものってどうしてもキャラクター小説になっていくもの。 その制約の中で、単体のミステリとして面白いものを書く、という気概を期待しています。
 さて、次は『スケアクロウ』(ジャック・マカヴォイ主役)だな!

ラベル:海外ミステリ
posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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