2018年06月16日

孤狼の血

 日本映画だし、R15+だからしばらくやっているだろうと思って『ピーターラビット』を先に観に行ったのに、確かに上映はしてるけどいつもの映画館ではレイトショーからは3週目ぐらいから姿を消して戻ってこなかった。 他の映画館ではやっていたけど、さすがにちょっと遅すぎる時間帯で(家に帰るまで時間もかかるから翌日に響く)、そうこうしているうちに一日の上映回数が一回になり、レイトショーに戻ってくる保証もないし、「あぁ、間に合わなくなるかも!」と冷や汗。 そしたら今日はOSサービスデーではないか! このチャンス、逃してどうする!
 そんなわけで「土日は別のことに使う」のポリシーを曲げ、参戦。 14時半からでした。
 ただ・・・やっぱり観に行くのが遅かったな・・・「評判よい」というのを聞いてしまったので気づかぬうちに期待値が上がってしまっていたらしい。

  孤狼の血P.jpg 警察じゃけぇ、何をしてもええんじゃ。

 昭和63年、広島・呉原市。 表面上は第二次暴力団抗争のあとの静寂の中なれど、広島市の巨大組織傘下の五十子会系・加古村組が台頭してきて、もともと呉原を地盤に持つ尾谷組はそれを快く思わない。 近いうちに緊張関係は爆発すると呉原東署刑事二課の職員たちは覚悟していた。 そんな折、加古村組の関連金融企業の社員(駿河太郎)が行方不明になっていることがわかる。 刑事二課(マル暴)の主任でベテラン刑事の大上章吾(役所広司)巡査部長は、そこに暴力団抗争のバランス均衡のきっかけと殺人事件の存在を感じ取る。 広島大学卒業の新米刑事・日岡秀一(松坂桃李)巡査は大上とコンビを組まされるが、破天荒な大上の行動に振り回されるばかり・・・という話。
 <『アウトレイジ』への東映の回答>とか<新時代の『仁義なき戦い』>などという惹句が聞こえてきてますが、あたしは『仁義なき戦い』シリーズを数年前に観たばかりで当時の<東映実録もの>が生み出した熱狂は知りません。 なので思い入れ的先入観はなかったと思う。 ただ昭和63年は記憶にあるので、「あ、そのマンガ雑誌に載ってるの『マージナル』!」とか、「あの頃、そういう小さい包装のお菓子あったっけ?」みたいなことが気になりました。

  孤狼の血1.jpg 『仁義なき戦い』とは時代も設定も違うから比較する気もおきませんが。
 ただ共通するのは群像劇であるということ。 一応、主役は大上と日岡だけど、それ以外の人々はきちんと自分の役割を担っている。 あたしはインテリ臭が一切ない矢島健一さんにびっくり! 田口トモロヲ・滝藤賢一もいかにもで、バイプレイヤー好きとしてニヤリとする場面が多いのは楽しい(でも『アウトレイジ』と結構キャストがかぶっているのは、そういう顔の人たちが限られてきているということなのか)。
 R15+らしくバイオレンスシーン満載。 でも冒頭のシーンで(気構えがないとここの場面で脱落しそうになる人が出そう)、ある人が口にあるものを押し込まれるのだが、そのあとその人が喋るときに口のまわりがきれいで、「あれ、いつ口を拭った?」と思ってしまったり・・・指を切られているのにそんなに痛そうな声じゃないなぁ(それまでのことで感覚がマヒしているからなのか?)、とか微妙な違和感を持ってしまったんですよね。 暴力シーンを見慣れているわけじゃないからあたしの中のイメージが紋切り型なのかもしれないのだけれど。

  孤狼の血4.jpg 尾谷組若頭・一之瀬(江口洋介)。
 おやじさん(組長:伊吹吾郎:現在服役中)に忠誠を誓い、古き良き(?)極道の在り方を体現・・・という役どころなれど地方の小さい組であることは変えられず。 大上が提示する大局を見られず、「我慢の限界」とプライドを優先させてしまう・後始末も結局手下任せってあたりで所詮小物でした、とわからせるあたり「暴力団を美化した」という反論をかわすためなのかな。 ドスだって立派な道具、それをそんな風に使うなんて刀に失礼だよ!、と思ってしまったじゃないか。
 でも彼は見せ場があるだけまし。 竹野内豊は完全に無駄遣いだったよ・・・。

  孤狼の血5.jpg ま、とりあえず、役所広司ですよね。
 原作読んでいないのでイメージ通りなのかはわかりませんが、ガミさん(大上の通称)のサングラスがいかにも過ぎてちょっと引くけど、役所広司的佇まいで納得しつつ。
 そして暴力シーンはともかくエロ部分は確実に不必要なんだけど、“昭和の猥雑さ”の雰囲気を出すために使ってるのか?、って感じでどうも・・・「男の世界では女は道具でしかない」ってことの強調なんですかね。
 あと、物語的にまったくひねりがない・・・ガミさんが疑われている13年前の殺人事件の犯人、前半の早めの段階で誰かわかっちゃうし。 どうやらエリート新人らしい日岡が大上とコンビを組まされる理由なんかさっさと想像つくし、「えっ、そうだったの!」的なカタルシスはまったくない。 映像からあふれる役者さんたちの発する熱量と圧力を眺めているうちに過ぎる126分でした。

  孤狼の血6.jpg 松坂桃李もすごくいいと聞いて期待しちゃった・・・『MOZU』のときよりずっといいけど、『おっさんずラブ』の田中圭と林遣都のほうが演技の振れ幅広かったよ、と思ってしまったじゃないか(基準が違うよ)。
 理想に燃える新人が現実を目の当たりにして愕然とし、無茶な先輩に呆れつつその熱意に感化されて自分なりの刑事像を見い出す、という典型的な通過儀礼付き成長物語なれど、彼のがむしゃらさがいい感じに作用していて、だからガミさんも受け入れたんだろうなと納得できるのはやはり彼がよかったからでしょう。 でも現場の近くで吐いたりするのは鑑識さんの邪魔になるからやめようか。
 あ、遺体(特に発見されるまで時間がかかったもの)の描写はリアルさと見るに耐えられる範囲のぎりぎり線上といった感じで、小道具・特殊メイク担当の方々のご苦労がしのばれました。
 ただいくつか消化しきれない部分があって・・・続編作るらしいからそっちに残しているのかなぁ。 原作読もうかしら。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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