2018年03月27日

北の桜守

 あぁ、結局観に行ってしまいましたよ・・・。
 仕事場の人が、「母親が観に行きたいとせがむから観てきた。 堺さん、うまいなぁ」と言っていたし・・・北の冬の光景は大事ですよ。

  北の桜守P.jpg 失われた記憶へ向かう親子の旅の果てに・・・
   衝撃の最終章――

 1945年、樺太。 夫(阿部寛)・二人の息子とともに不自由がある中も幸せに暮らしていた江蓮てつ(吉永小百合)だったが、8月になってソ連軍が侵攻してきたため、夫の指示により町の人々ともに北海道に逃げることに(軍人である男性たちは戦場に向かったので)。 飢えや寒さにさらされながら、生き延びるために必死だった。
 1971年、オリンピック前の好景気に沸く札幌に、次男の修二郎(堺雅人)はアメリカで成功を収めたチェーンストアの日本法人社長として帰ってきた。 が、仕事中心の生活の修二郎のもとに、網走市役所からてつについての連絡が入り、急遽母に会いに向かうが、修二郎には「母に捨てられた」という気持ちをずっと拭えずにいた・・・という話。

  北の桜守3.jpg 1971年って、こんな感じなんですか?
 本社社長の娘(篠原涼子)と結婚した修二郎。 アメリカ育ちのオーバーアクション気味天然お嬢様がたいへんバカっぽくて面白いが、修二郎の性格的にこういう相手を好きになるか微妙。 時代的に、恩ある上司に望まれたから結婚したって感じなのか、だから妻としては不安なのか、それもこれも修二郎が心を閉ざしがちの人間だから。
 謎のお店<ミネソタ24>のインパクトが大きすぎて、そしてビジネス方面の話も展開させちゃうから、<親子の絆>のほうが主題として比重重めだと思っていたんだけれど、なんか薄らぐ感じがしなくもない・・・。
 そもそも、「樺太からの引き上げ」という北日本の人間には比較的なじみのある話なれど全国的にはそうではないものをこうして取り上げてくれるのはありがたいなぁと思うのですが・・・序盤で描かれるだけなので1971年パートに入っちゃうと薄らいでしまうのですよ。 しかも予算の関係なのかどうなのか、ソ連軍の攻撃は明らかにCG感丸出しだし、てつさんの脳内風景として舞台劇が挟み込まれるため、その惨劇にワンクッション置かれてしまい、その悲劇に迫ってない感じがする。 勿論、残酷に描けばいいというわけではないんだけど・・・あまり知られていないことをオブラートにくるんで語ったら本質は届きにくいよ。

  北の桜守6.jpg 回想シーンが挟まれることでいろいろわかってくるが、むしろひどい目に遭っているのは子供時代の修二郎くんのほうである。
 それでまぁ、あたしが観に行ったのは例によってレイトショーであるが、それでも観客の平均年齢は高かった。 あたし、もしやいちばん若いほう?、的な。 <吉永小百合映画>というジャンルがあるんだな、と感じてしまうというか・・・滝田洋二郎監督は『おくりびと』のせいで巨匠扱いされてるけど、実際は当たり外れあるんだよなぁ。 吉永小百合に対してだけでなく、役者のみなさんに演技指導つけたのか大変不安になる感じ。 特に樺太のくだりは「立ち位置の順番に台詞言う、みたいになってる?!」と学芸会的な空気に満ちており、「まずい、あたしが観たい演劇世界ではないものに踏み込んでしまった」と感じたのだ。 その場に阿部寛や岸部一徳がいたにもかかわらず。
 まぁ、脚本にも問題ありとは感じるのですが・・・結構力入れて作っているんだろうからもっと練りこんでもいいでしょう。
 リアリズム芝居重視になってきてるのかなぁ、自分。 いや、そもそも芝居は作り事であるという大前提はわかっているつもりだけど。 などと、「芝居とは、演技とは」ということを考えてしまったよ。

  北の桜守5.jpg いい人なのか悪い人なのかわからない体で登場のヤミ米屋として佐藤浩市が登場したときはちょっとほっとした。
 彼の照れ笑いにはきゅんとしてしまった。 ところどころいい場面はあるんだけど・・・それ以上の破壊力がある場面もあるので「・・・どうしよう」感は最後まで拭えない。 むしろ、ラストシーンの破壊力もさらにすごい。
 雪の光景もあまり寒く感じないし・・・まだ『北のカナリアたち』のほうがずっとよかったように思えてしまった。
 せっかくの堺雅人もいまひとつ・・・優秀な兄に対してコンプレックスを持つ弟、誰よりも母に認めてもらいたかったのに捨てられたと感じ、鬱屈した気持ちを原動力に野心を抱いている男、なのだろうけど・・・「母親に対して複雑な気持ちを抱いている」部分は十分表現できていたので、そっちにもっと特化すべきだったのでは。
 普通の革靴&スーツで母の言うままについていき、結構な岩山の上にあるお堂にお参りしてしまう場面には、すごくびっくりしたわ(登るだけならなんとかなったかも、でもどうやって降りた? しかも服が全然汚れていない!)。

  北の桜守4.jpg 樺太時代の隣人、山岡さん(岸部一徳)とのシーンはよかった。
 なんかいろいろもったいないよ・・・。
 でも次の日本アカデミー賞にはいっぱいノミネートされちゃうんでしょうねぇ。 なんだかなぁ。
 てつさん、という一人の女性の波乱万丈な人生を息子の目から見直したもの、ということだったんだろうけど・・・。
 「親の心、子知らず」であり、「子の心、親知らず」でもあるという。 そしていつも折れるのは子の方だという話、ですか。
 ほら、樺太の話、どっかいった・・・。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | 映画 movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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