2018年03月30日

ネメシス 復讐の女神/ジョー・ネスボ

 結局、本が部屋から見つからないので、図書館から借りてしまったよ・・・本末転倒。
 でも続きがすぐ読みたかったのだ!
 前作『コマドリの賭け』の翌年、個人的にある捜査から引き下がれないハリー・ホーレはハルヴォルセンとともに調査を続けていたが、オスロ警察内では浮いていた。 ハリーに理解を示す唯一の上司メッレルですらも、「もういい加減にしたらどうだ」という始末。 しかし読者は知っているのだ、ハリーの勘が間違ってはいないことを。
 とはいえ未解決事件ばかり追ってはいられないのは、凶悪事件が発生するから。

  ネメシス1.jpgネメシス2.jpg ちょっと冬の近くなったオスロが舞台。
 白昼堂々銀行強盗事件が発生。 しかも犯人は金を奪っておきながら、何故か行員を一人射殺して逃走。 現場には手掛かりひとつ残さないプロの手口で、だからこそ銀行員を殺す必要があったのかわからない。
 そんな折、ハリーはかつて一時期付き合っていた女・アンナから食事に招待される。 気がつけば記憶がない状態で自宅で目を覚ましたハリーだが、後日、アンナが自殺したいとして発見されていたことを知る・・・という話。
 これでもか、というほどいろんな事件・人間の思惑が絡み合っていて、「ちゃんとまとまるのか、これ」と心配になるほど(余計なお世話、ちゃんとまとまります)。 ただ、それらを“偶然”ととらえるとご都合主義っぽくなってしまうので、そこは“必然”とみなしたい。 そうするとスリラー要素が強くなるようにも感じられますが、骨格はきっちりと論理的ミステリです。 終幕も実にドラマティック。
 だけどハリーのダメっぷりには・・・悲しくなる。
 ノルウェーにはAAはないのだろうか(多分似たようなものはあるんだろうけど、ハリーは行かないもしくは北の国にはアルコールの問題を抱えている人が世界規模で見て比率が高いのであろう)、とつい考えてしまうほどに。
 今回、ハリーの相棒としてベアーテ・レンという新人女性刑事が登場。 でもありがちな新人女性刑事じゃないところが面白い。 レギュラーメンバーのキャラも立ってきているところがシリーズものの醍醐味です。
 だけどハリーよ・・・。
 まぁ、最近の傾向として主人公はシャーロック・ホームズのように完璧な頭脳の持ち主ではなく、知能的には普通かそれ以上のレベルくらいだけど勘は鋭く、更に必ずと言っていいほど手ひどい心の傷や弱み・問題を抱えているものですが・・・そういう<等身大のキャラクター>が感情移入しやすいのかもしれないけれど、名探偵黄金時代の作品を読んで育った身としてはときどきじれったくなってしまうのだ。 でも、それも時代なのよね。
 舞台はノルウェーだけど、このシリーズがいわゆる北欧ミステリとは違う手触りなのは、アメリカ的ハードボイルドが根幹にあるから(明らかに銃の発砲場面も多いし。 そういう意味ではジェイムズ・トンプソンも同じ流れにいたといえるのかも、彼の新作はもうないが)。 だからアメリカでも人気があり、英語版から訳されるんだろうな・・・。
 ラスト1ページの展開には、「ハリー、いい加減にしろよ!」と思っていたあたしにもはっとさせるだけの彼の立ち直りと新たな展開が示唆されていて、「続きを読まなければ!」という気にまたさせられる。
 大丈夫、次作『悪魔の星』はすぐ手元にあるんで!

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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