2018年03月10日

プルーフ・オブ・ヘヴン/エベン・アレグザンダー

 <天国の証明>というものすごくタイトルですが、いわゆる「臨死体験もの」に分類されるものかと思います。
 ただ、この場合体験した著者が現役の医師であったことが他の体験ものよりも信憑性あり、という感じですかね。
 なにしろ、“名門ハーバード・メディカル・スクールで長らく脳神経外科医として治療と研究にあたってきたエベン・アレグザンダー医師”ですから。
 とはいえあたしは「臨死体験」に並々ならぬ興味があるわけではなく・・・(ないわけでもないですが、という程度)、むしろこの本を著者の特別な体験にプラスした自分の人生を語るエッセイ集として楽しみました。

  プルーフオブヘヴン文庫.jpg なにせ著者を突然襲う病気が、とても珍しいものなので。
 エベンはある日、背中に激痛を感じた。 お風呂に入って温まったらよくなったので安心していたら、翌朝さらなる激痛に襲われる。 あまりの苦しみように妻のホリーは救急車を呼ぶというが、医師として自分の勤務する病院のERに運び込まれることを恥と感じたエベンは(医師はほぼそう思うらしいが)救急車を固辞、「少し休んだらよくなるから」とベッドに横になる。 二時間後、様子を見に来たホリーは意識を失っている夫に気づき、救急車を呼ぶ。 ERに運ばれた頃にはエベンは痙攣発作を起こしており、脳血管障害の症状を示していた。 腰椎穿刺検査により大腸菌性髄膜炎と診断されるが、大腸菌がそのような悪さをする相手は新生児から生後数か月の子供が多く、成人が感染することは限りなく稀である。 しかしひとたび感染してしまえば年齢に関係なく死亡率は40%〜80%、ましてエベンのように意識不明になってから運ばれてくるということはすでに重症化しているということで、致死率は90%以上、更に昏睡に陥った場合生還率はほぼゼロであるらしい。 なにしろ医療ドラマを山ほど観てきているので、こういうところが面白い!
 本人は昏睡状態なので、あとで人から聞いた病室・病院の様子と、昏睡状態の中で自分が体験したことをほぼ交互に短い章立てで書いている、という構成。 その中で著者は妻との初デートのことやら、果ては自分が養子であることなど、極めてプライベートなことも書き綴っているので、そのあたりがエッセイ的で興味深い(でもそのあたりに触れていなければ、臨死体験で見たことを説明できないという都合もあるのだが)。
 そんなわけで面白いは面白いんですが・・・彼がキリスト教徒であるせいか発想がそこからなんですよね。
 <この世>と<あの世>があって、<あの世>をのぞいて帰ってきた・・・ということで説明できちゃうのでは?、と感じてしまったあたしは日本人です(解説によると世界の中でも「他界観」―つまり<あの世>と<この世>―をもっともはっきり持っているのは日本人であるらしい)。 臨死体験を信じる信じないの前に、あたしは慣習的に<あの世>が存在すると受け入れているわけですね!
 本書を発表後、著者は世界中で講演したりダライ・ラマと対談したりしてるみたいなので・・・考え方が今では変わっているのかもしれず(続巻『マップ・オブ・ヘヴン』があるようです)。 そして自分の体験がキリスト教だけでは説明できなくなっていると認めたことで、キリスト教者からは反論が出たりしているらしい。 なんだかちっちゃいなぁ。
 筆者の<臨死体験>が脳の誤差でではないこと(そもそも病状から脳の多くの部分にダメージを与え、損害がなくとも機能していないと考えられた)、治療過程による投薬等の影響でもないことを仮説ながら医学的に検証しているのも面白い。 でも医学で解明できることは一部でしかないんだけどね。
 そもそもなんで大腸菌性髄膜炎になってしまったのかも原因不明だし。 そこは海外ドラマのように、答えは出なかったらしい。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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