2018年02月12日

羊と鋼の森/宮下奈都

 仕事場の人に貸す約束をしていたので、早いうちに読んでしまおうと思った。
 そうしたら2時間かからず読了・・・分厚い翻訳物ばかり読んでいると自分の読むスピードが若い頃に比べて遅くなったと感じるが、こういうのを読むと「あたし、まだまだ大丈夫!」という気持ちになるのが不思議。 でもこれくらいで満足してちゃだめだわ・・・。
 「ピアノ調律師の人の話」という大雑把な記憶にたがわず、そういう話でした。
 ただ、自分というものに確固たる何かを持たない高校生が、学校のピアノを調律に来たその人の仕事ぶりに感銘を受け、自分も同じ道を目指すんだけれども、若き調律師は自分の腕に自信が持てない。 そんな主人公と、彼をめぐる人々との出会いと成長の物語。

  羊と鋼の森.jpg 羊はフェルトのことだったのか。
 初めて読む作家、というのは少し緊張する。 文体にクセがありすぎないだろうか、逆につたないところが目立ちすぎてくじけないだろうか、すごく面白かったら「何故今まで読まなかったのだろう」と後悔するのではないか、等々。
 あたしはピアノを弾いてきませんでしたが、子供の頃ヴァイオリンを習ってました。 だから音楽が題材のものって点が甘くなるというか、自分が行かなかった世界のことを見せてもらうことはどこかノスタルジーにつながっている。 主人公がピアノの音に生まれ育った森の気配を感じるという描写にもノスタルジーのようなものがほの見えて、だから余計読みやすかったのかな、と思う。
 ただ、数か所「この台詞、誰が言ってる?」と引っかかったところがあってそこは読み返した。 あえての著者の個性で、あたしが慣れてないせいかもしれないけど、そこはちょっとマイナスポイントかな。
 主人公の主体性のなさというか、自己主張の薄いところも好みがわかれるところかもしれないけれど、一人称で進むのでそんなにひどくは感じられない。 これ、映画にするときどう処理するのかな(ナレーションか?)。 客観的に見ると、彼は周囲の人たちにとても恵まれているからよかったのだ。
 それだけ、他の登場人物たちがなんだかんだみんないい人たちばかりだから成立した話、ともいえる。
 素敵なおとぎ話だ、これは。

ラベル:国内文学
posted by かしこん at 06:07| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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