2017年10月16日

思い出した訪問/エドワード・ゴーリー

 ゴーリーの新刊、出ました。
 まぁ、新刊というか・・・日本で新しく翻訳されたもの、という意味ですが。 展覧会が続いているせいもあるかもしれないけれど、この感じでは意外に残りの作品も地味に出版されそうな気配! 昨今のゴーリーブームをブームで終わらせてはいけない!、と感じます。

 というわけで、『思い出した訪問』。
 アルファベットブックではない、しっかりした物語で。
 副題に<人生から取った物語>とあります。

  絵本ゴーリー思い出した訪問.jpg この青緑はこれまでになかった色かも!
    これは装飾刈込(トピアリー)と呼ばれるもののようです。
 あらすじだけを語ってしまえば・・・両親に連れられて外国に遊びに来た女の子が、そこで知り合った人とふとした約束をしてしまうんだけど、なんかぼやっとしているうちのその約束を果たすことを忘れ(もしくは「まだいいか」という気持ちの延長のまま時間が流れ)、「あ、そういえば」と思い出したときには遅かった、という話。
 ありきたりといえばありきたりなんだけれど、ちょっとシチュエーションを置き換えれば大概の人に起こりうる話で、ものすごくせつない。
 それがまたゴーリーの不穏であやしげななにかをかきたてる絵柄で進むので、更にちょっと不吉な予感が常にプラスされた状態で語られる。
 そんなわけでこれは、あたしにとって、「じゃ、またメール(電話)するね!」とあっさり言っておきながら、実はなかなかメール(電話)しないとか、「あぁ、しばらく連絡とってないから(喪中で年始の挨拶は失礼します的なこともあったし)、手紙でも書くか」と思っているのにまったく手紙を書いていない、レターセットすら引っ張り出していない状態みたいな、日常でよく起こっている出来事を容易に想起させるもので。
 この本自体は不穏を漂わせつついっぱいの切なさで幕を閉じるけれど、あたしには<切なさ>どころではなくて。
 いまはまだ「ごめんごめん、しばらくでした」で笑って済ませられることでも、そのうちそうではなくなるぞ!、という明らかな警告。
 あぁ、ゴーリーが人生の教訓になってしまった・・・。

posted by かしこん at 23:59| Comment(0) | ☆ 読んじゃいました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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