さっそく聴いてみました。
前作『流動体について』と比べると、きらきらするほどの多幸感はいささか控えめ・・・。 まぁ、あれは『LIFE』世代へのサービスだったのかな。
今回は父親と息子の関係性をテーマに歌っているので・・・ちょっと童話的なところもあり、力強さみたいなものがサウンドに出ているのかな。 あ、慣れたのかオザケンの声は前より出ていると思います(声質が低くなったのはしょうがないとしても)。
セカオワとのコラボですが、「えっ、歌い出し、そっち?!」という驚きはあれど、意外にもそんなに違和感はなかった。 なんだろ、年齢不詳なFukaseの声が“息子”役になっている感じなのかしら。
詩はやっぱり相変わらずオザケンで、なんだかニヤリ。
“父から息子への、この世界を生きるための教え”の体裁をとりつつ、<世界>を再び定義しなおす。
本当と虚構、混沌と秩序、絶望と希望、孤高と協働、残酷さと慈悲、ベーコンといちごジャム。
「フクロウの声が聞こえる」ことは、もしかしたら今が平和で幸せであることの象徴なのか。 強さには知恵が必要であるという意味なのか。
カップリングの『シナモン(都市と家庭)』は、『犬は吠えるがキャラバンは進む』時期の発展形のようで・・・でもぐっと哀愁みたいなものを感じさせて、ちょっときゅんとなるかも。
そして2曲のインストルメンタルが収録された全4曲構成。 ヴォーカルなしで聴くとまた別の印象になるから不思議。
でも『流動体について』のオーケストレーションほどの感動はなかったな。 今回はセカオワがアレンジも担当したみたいなので、そのせいもあるかな(逆に「あ、ここオザケンっぽい!」と気づくことができます)。
アルバムを出さない・シングルで毎回勝負する(?)、そういうスタイルの人って今の日本の音楽業界にあんまりいないと思うので(アルバム聴いてみたらシングル曲しかいい曲なかった、というのは世界中いろいろいたりするけど)、オザケンにはこの独自ポジションでしばらくは活動してみていただきたい。 あくまでマイペースで。
ラベル:邦楽